「「本物の営業マン」の話をしよう」を読んで

本日は、佐々木 常夫さん著「「本物の営業マン」の話をしよう」を紹介します。

佐々木さんは、1969年東レに入社。2010年に引退されるまで、1社(グループ企業含む)に勤めあげた方です。

その一方、ご家庭に事情もある中で、時間管理術などの本も出された方で、私自身は、この本を読んで、法人営業(佐々木さんの言葉では、生産財のマーケテイング・営業)の考え方のイロハを身につけました。

私のブログの最初の方でも、この本から学んだ点を取り上げています。

法人営業、役割、会社の司令塔、消費材マーケテイング (ironman1977.com)

今日は改めて、この本の書評という形で内容を取り上げたいと思います。

目次

第1章あなたは本物の営業マンか

第2章事実をつかむことからはじめよう

第3章鍛えるべきは社内営業力

第4章“人柄のよさ”だけでは戦えない

第5章顧客を幸せにして、自らを磨ける仕事

➀事業を営むことが仕事

「営業というのはその事業に関する会社の司令塔(ヘッドクオーター)でありその事業の損益のあらゆる責任を持つ仕事である」

営業は社内を取り仕切り、損益責任まで追わなくてはいけないのか?

一般的な機能として与えられている「営業」の守備範囲を考えると、上の文章はぴんと来ない方も多いと思います。

しかし、法人営業の立場で考えてみると、顧客やその周辺関係者との対話を通じて、市場/顧客の要望を社内に取り入れ、社内技術関係者と調整上、フィードバックを重ね、商売を続けていくこと

その過程で技術陣と協力しながら、新しい商品やサービスを生み出していく流れを作るのは、間違いなく営業であると私自身は今感じています。

この一連の営業活動の過程の中で、「顧客の支持と満足を得る会社一丸の組織作り」を行い、「何を売るべきか」考え、結果として「顧客及び関係者に幸せをもたらす行為」が営業だと本書では主張しています。

②事実をつかむことからはじめよう

この章の出だしも強烈です。

「「五年先」のニーズは読める」

この考え方も、沢山の供給を提供しているような大会社や、情報分析を専門にしている会社など特有と思うかもしれません。

著者は、五年先に起こることならすでにもう予兆は出ており、それを見つければいいと言います。

去年と比べ今年はこうなった。

ならば来年はこうなるという予想は、そう難しくない。

更に考えを発展させれば「五年後はこうなる」とおよその見通しが立つはずだと言います。

また、その際に消費者に近いところから情報を得ることで、「労を厭わず、正しい場所で正しい人から話を聞くことで、おのずと世の中のニーズはつかめる」と言います。

自分の業界と少し離れたところから情報を仕入れることで大きな成功を掴んだ事例として、ユニクロのヒートテックを著者は挙げています。

ユニクロが自分達と近い関係にある縫製工場や紡績会社などと話すだけでは、あのような商品は出てこず、もう一つ遡って繊維原料メーカーである東レと対話し、共同開発した新しい繊維によって商品が生まれたそうです。

大切なのは、日々より正確な事実をつかみ、専門知識があり、顧客のことを真剣に考える営業マンが実績を上げるということでそうです。

②相手目線の「顧客対応力」を磨き、社内の司令塔を目指せ

「相手の話を丁寧に聞くことは大事なことですが、もっと大切なことは当の相手も気づいていない、潜在的に持っている考えを引き出すことであり、そのためには相手以上の知識を持っていないと難しいことになる」。

また顧客も市場も常に変化しつづけるため、営業マンの本当の仕事は、顧客の意向のうち適切なものを反映させるため社内に対して働きかけ、顧客の要望に応えてスペックを変えてもらう、そのための営業努力こそが営業マンの大事な仕事である。

そこで顧客の要望に応えるには自社の技術力がどの程度のものかを知っておくことが大事だが、同時に技術部門と親しい関係を築いておく必要があると著者は言います。

③どこまでも真摯であれ

営業をしていくうえで最も大事なことは「真摯である」ことで、

顧客への訪問時は時間を守る。

会ったらきちんと挨拶をする。

求められた資料は約束の日までに届ける。

ミスをしたらきちんと謝る。

そうした真摯な行動をとることが顧客との信頼を築き上げる最短コースです。

それを可能にするのが、「正しいコミュニケーション」と「良質なコミュニケーション」だと言います。

この仕事をはじめるに当たって、「その仕事の重要性」「締め切り」「前提となる事実」などを確認することが重要です。

そのために相手の真意をしっかり聞くことが大切で、不明な点や疑問点があれば質問をし、顧客と情報を正しく共有化することが大事だと言います。

また、良質なコミュニケーションとは、相手を思いやる気持ちの入ったコミュニケーションの仕方をすることで、信頼を強固なものにしてくれるはずだと述べています。

④自分の所感

私が2011年に前の会社で、製鉄プラントの法人営業に配属された際、

営業とは日々何をすればよいのか

組織の中でどんな役割を持つのか

を実務を通じて学ぶとともに、一段高い視座を持つために、大変役に立った本がこの本でした。

今読み返してみても、昨今出ている営業手法や営業の狭義の機能を解説した本よりも、よっぽど本質をとらえていると感じます。

例えば、自分の業界と少し離れた消費者に近いところから情報を収集することによって、世の中のニーズが掴めるようになるとあります。

私はこの考え方に沿って、自分の顧客(鉄鋼業界)の更に顧客(建材加工業界)に直接対話することで、インドネシアにおける建材メッキ鋼板設備を複数件受注し、結果として一時期市場を独占することになりました。

優良顧客,マーケテイング,顧客リスト (ironman1977.com)

また、事実を掴むことから始めようを掘り下げた結果、顧客からのヒアリングのみならず、日々の公知情報を如何に幅広く効率的に得るか、そしてその情報を相手に提供するかを具現化しました。

法人営業が必要な公知情報とは何か。 (ironman1977.com)

更に、顧客の支持と満足を得る会社一丸の組織作りでは、顧客との具体的な商談の中で、社内の司令塔的な役割を果たし

課題共有と時間管理を社内外で合わせて対応することで、顧客の信頼を獲得し、社内を顧客の方向に向ける術を掴んでいきました。

顧客との課題共有及び問題解決に向けた継続的なアプローチが顧客との信頼関係を作る (ironman1977.com)

法人営業(生産財のマーケテイング・営業)で結果を出したい方がいらっしゃれば、私はまずこの本を読んでみることを強くお勧めします。

素材産業の目から見ているため、少し社内組織のヒエラルキーが強いと感じる部分も見受けられますが、私自身はその部分を省いても、この本を読んで実践する価値が今でも高いと考えています。