「あなたを疲れから救う休養学」を読んで-土曜日から予定を考える!

「疲れたら休む」という当たり前のことをする。

かつての自分が出来なかった。

いや、軽視していた考え方について、この十年程で日本社会にも漸く浸透してきた気がします。

本日は、片野秀樹さん著作、東洋経済出版「あなたを疲れから救う休養学」を紹介します。

片野さんは、日本リカバリー協会代表理事。

この協会では、休養に関する社会の不理解解消や、リテラシー向上を目指して啓黙活動に取り組んでいらっしゃるそうです。

今回の話では、仕事の合間のちょっとしたすきま時間でも十分休息に充てられる。

休息日の時間の使い方が単純に寝るなどではない方法の方が、回復するなど、幾つか新鮮な発見があったため、紹介します。

目次

第1章 日本人の8割が疲れている

第2章 科学でわかった!疲労の正体

第3章 最高の「休養」をとる7つの戦略

第4章 眠るだけでは休養にならない

第5章 新しい「休み方」を始めよう

➀疲労は病気につながるサインである

そもそも疲労とは何か。

「過度な肉体的および制震徹活動、または疾病によって生じた独特の不快感と休養の願望を伴う身体の活動能力の減退した状態である」

つまり体を動かしたり、頭を使ったりすることで、本来の活動能力が下がった状態、これが疲労の正体と定義しているそうです。

では、肉体的ストレス若しくは精神的ストレスによって起こった疲労を放っておくとどうなるか。

疲労は自律神経の乱れから神経系、内分泌系、免疫系の変調から病気に繋がる重要なサインなんだそうです。

特に疲労が半年以上続くと、慢性疲労の状態から、慢性疲労症候群を発症することもある。

ちなみに、疲労感とは、疲労が存在することを自覚する感覚で、

「あなたは疲労しています。これ以上活動を続けると危険ですよ。今すぐ休みなさい」

という警告、アラートなんだそうです。

ちなみに、身体が発するアラートは、疲労以外にも、痛み、発熱がありますが、疲労については、無視したり軽視したりする人が多いそうです。

一つには疲労が病気に繋がるサインであることを大項の人が見落としていること、

そして疲労感を一次的に「マスキング」覆い隠すことが出来てしまうことにあると著者は言います。

尚、疲労が起きる原因は、ストレスという言葉になりますが、肉体的・精神的な疲労の原因になるような外的刺激はすべてストレスなんだそうです。

ちなみに、5種類のストレッサーの具体的な中身は次のようなものだそうです。

・物理的ストレッサー=暑さ、寒さ、騒音、混雑、振動

・化学的ストレッサー=公害、薬物、化学物質

・心理的ストレッサー=不安、緊張、怒り、悲観

・生物学的ストレッサー=細菌、感染、ダニ

・社会的ストレッサー=家族関係、友人関係、人間関係

たとえば100mを走ると、身体は熱を出すため、物理的ストレッサーの暑さがストレスになり、疲労のもととなる。

また、運動すると体内に活性酸素が生み出せますが、これは化学的ストレッサーの一種となるそうです。

さらに、脳をフル回転させると、体内に熱が生じ老廃物が生まれる。

これは化学的ストレッサーとなるそうです。

このように思ったより広い範囲に、私達を疲れさせるストレッサーが存在するんだそうです。

また、自律神経は疲労回復にとりわけ重要となるそうで、24時間サイクルで私達の身体をその時間帯に最適な状態に自動的に調整する神経なんだそうです。

朝起きると交感神経が優位となり、夕方になるとリラックスの神経となる副交感神経が優位となるそうです。

この副交感神経が優位になると、心臓がそんなに強く打つ必要もないのでゆっくり打つようになり、筋肉が弛緩状態になり、血管も緩んで広がり血圧が下がる。

このように見てくると、しっかり休むには、夜、副交感神経が優位である必要があることが分かる。

にも関わらず、心配事があったりイライラしたりしていると、寝る時間になっても交感神経が優位なままで不眠や便秘などの症状も出てくるようになるんだそうです。

ちなみに自律神経のトータルパワーのピークは10代後半から20歳までで早々とピークに達し、40歳ではそれが半減、60歳では4分の1になるそうです。

②「活動→疲労→休養」のサイクルから抜け出す

今の私達の休養の取り方を図解すると「活動→疲労→休養」の3つをグルグル回っている。

この日常のサイクルに「活力」を加えることで、休養では50%程度しか充電できなくても、活力を加えて満充電に近いところまで持っていく。

この活力を高めるためには、あえて軽い負荷を自分に与えると、活力が高まることが分かっているんだそうです。

もとの体力が10だとするとあえて負荷をかけることで、一時的にパフォーマンスが7-8に落ちても、回復時には体力が11になっている。

そして次の休日に同じことをすれば、回復するころに体力が12になっている。

こうして基礎体力が徐々に上がって来るそうです。

この活力を高める上手な負荷のかけ方。それは次の4つの条件を満たすことが必要なんだそうです。

1つは自分で決めた負荷であること。

2つ目は仕事とは関係ない付加であること。

3つ目はそれに挑戦することで、自分が成長できるような負荷であること。

4つ目は楽しむ余裕があること。

土日は寝たり、だらだらとしたりして凄し、月曜日になったらまたなんとなく活動に入るのが「守りの休養」に対して、攻めの休養は、もっと積極的・主体的に休むというアプローチなんだそうです。

また、休養には、➀生理的休養、②心理的休養、③社会的休養の3つがあるんだそうです。

➀生理的休養「休息タイプ、運動タイプ、栄養タイプ」

生理用休養には、休息タイプ、運動タイプ、栄養タイプの3つに分かれ、休息タイプは、活動を一旦停止し身体を動かさず、エネルギーの消費を抑制してエネルギーが回復するのを待つ受動的な休み方をいうそうです。

なかでも睡眠が休養の中ではとても大切な部分を占め、サーカデイアンリズムにそったサイクルで活動していれば、良い睡眠がとれるので、疲労回復も早くなるそうです。

尚、「今日は体の疲れをとるために数時間横になっていよう」と自分で決めて休憩するのは必要なことですが、「何もすることがないから」と漫然と受動的にごろごろするのは悪影響なんだそうです。

また、運動タイプの休み方は、自分で主体的に休むために運動するため、「攻めの休養」になるそうです。

運動すると血液の流れが良くなり、老廃物の除去が促進されたり、リンパの流れがよくなったりするので、疲労感の軽減につながる。

一方で疲れるまで運動しては逆効果で、あくまで「軽く体を動かす」のが大事だということです。

更に、食事については、食べ過ぎないこと、更に食事をとる時間によって生体時間を調整する、といったことになります。

②心理的休養「親交タイプ、娯楽タイプ、造形・想像タイプ」

心理的休養には、「親交タイプ」、「娯楽タイプ」、「造形・想像タイプ」の3つがあるそうです。

「親交タイプ」は、人や動物と親しく交わることでストレスを解消し、活力を得る休み方だそうです。

また、自然に触れることもこのタイプに入れているそうです。

「娯楽タイプ」は、自分が心地よいと思う趣味嗜好を追求する休み方です。

更に「造形・想像タイプ」は、絵を描くとか詩を書くとか、作曲とか創作活動全般をいうそうです。

地図や時刻表を眺めて旅行している気分になったり、美術館で絵を見ながら「この画家はどういう気持ちでこの絵を描いたんだろう」と想像するのもこのタイプに含まれるそうです。

③社会的休養「転換タイプ」

社会的休養とは、「転換タイプ」、

つまり周りの環境を変えることなんだそうです。

転換タイプの最たるものが旅行。

更に買い物や外食でも構わないんだそうです。

④大事なのは7タイプを組み合わせること

これまでの生理的休養、心理的休養、社会的休養、それぞれ7タイプの組み合わせのうち、それぞれの休養タイプを複合的におこなうことで、疲労回復効果が2倍にも3倍にもなるそうです。

例えばちょっとほっと一息ついてリラックスしようとスープを作って飲んでみる。

その際冷蔵庫から具材を出してスープを作れば造形・想像タイプ、

更に家族やお子さんと一緒にスープを作れば会話も生まれるでしょうから親交タイプ。

完成したスープを保温ジャーに入れて公園で飲めば、運動タイプと転換タイプにもなる。

また、眠る場所を変えるだけでも、休息タイプに転換タイプを組み合わせることが可能となるそうです。

⑤睡眠は活力のカギを握る

睡眠は疲れをとるために必要不可欠なもので、大事な役割の一つは細胞の回復なんだそうです。

更に、睡眠が短いと食欲を増進するホルモンが活発に出る一方、食欲を抑制するホルモンが低下する、

つまり肥満の予防、生活習慣病の予防、感染の予防に繋がるそうです。

一方で休んでばかりいると身体の機能が衰えてくる。

たった一日、寝て過ごすだけでも骨格筋という身体を動かす筋肉の中の筋タンパクがおよそ0.5~1%減少するというデータがあるそうです。

⑥新しい「休み方」を始めよう

新年の初めにドイツでは何をするか。

実はそれぞれのメンバーがその年に長期休暇をいつとるかを皆で話し合うんだそうです。

更に言えば、繁忙期の前に長期休暇を取ることで、十分に休養と活力を得た状態で仕事のピークに突入できる。

つまり疲労したから休むのではなく、疲労しそうだから先に休んでおくという考え方。

これは長期休暇に限ったことではなく毎日・毎週のスケジュール管理にも言える。

予定される活動から逆算して必要な活力を蓄えておくという発想に切り替える。

大抵は週末が終わった日曜日に手帳を開いて、明日から1週間の日程を確認する。

この考え方をやめて、週末が始まる土曜日に手帳を開いて、次の月曜日からの1週間の日程を俯瞰するようにする。

「土日に休んだ分で平日に働く」「この週末はどうしても十分な休養がとれない」と判断したら、次の平日5日間のスケジュールのいくつかをその翌週に移す。

更に自分で自分の身体の声をチェックして、記録してみる。

レコーデイングを続け、自分の疲労に敏感になると、疲労がピークに達したと判断したら、会社に行かないという選択肢もあると割り切ります。

⑦自分の所感-土曜日から考えてみよう!

近頃書評や株式投資など、会社の活動以外のことにも取り組み始めていることもあり、職場の方に、どこにそんな時間があるのか問われることもあります。

しかし、この本を読んで、書評を書く「造形・想像タイプ」、犬と戯れる「親交タイプ」、あとボクシングのWeb観戦などの「娯楽タイプ」など意外と意識しないで攻めの休息が出来ていると感じました。

また、会社の仕事は、必ず定時となる17時までに終わらせることが習慣化しており、これも休養を取るという意味では優れていることがわかりました。

これからもう少し仕事以外でも場所を変える「転換タイプ」、

そして土曜日からスケジュールを立ててみることを始めてみようかと思います。