本日は、川上徹也さん著作日本実業出版社出版「キャッチコピーのつくり方」を紹介します。
キャッチコピーとはこれまで無縁の世界で生きてきた。
サラリーマンであるが故、意識してこなかったのですが、自分で商品を考えるに辺り、キャッチコピーについても、少し勉強してみようと思ったのがきっかけです。
川上徹也さんは、コピーライター。
「ストーリーブランデイング」という手法を開発した第一人者なんだそうです。
私は、井上新八さんのXの投稿でこの本を知りました。
この本では、一般のビジネスパーソンがコピーライテイングのメソッドを知ることで、自分のビジネスに役立つ本にするという目的で書かれたそうです。
2010年に出版された本が「キャッチコピーの基本」。
そして今回本作を14年ぶりに出したものなんだそうです。
Chat GPTでなんでも作れてしまう時代に「キャッチコピー」として価値を持つのは、人間の心理を理解した上で「何を」「どのように」伝えると、人の心を動かせるのか、考え抜いてつくられた一行なんだそうです。
目次
序章 キャッチコピーをつくる前の大前提
STEP1 キャッチコピーの目的 WHY
STEP2 誰に?いつ?どこで?Who,When,Where
STEP3 何を言うか?What to Say
STEP4 どう伝えるか?How to say
STEP5 おさらい
①キャッチコピーをつくる前の大前提
キャッチコピーを作る際の原則中の原則、それは「強い言葉を使う」ことなんだそうです。
では、強い言葉にするにはどうするか。
まず
①常套句(空気コピー)を使わないこと、
競合商品や同業者が言っても成立するようなキャッチコピーは空気コピーだそうです。
ちゃんと気を入れた本気コピーを書く。
次に
②言葉の化学反応を考える。
急がば回れ、負けるが勝ち。
またはツンデレ、キモかわいいなどもオクシモロン(意味の矛盾する語句を並び立てて効果的な言い回しにする)だそうです。
更に
③リズム、語呂をよくする。
キャッチコピーはリズムや語呂で印象が大きく変わるため、つくったら何度も声に出して読みながら自分の耳で確認するそうです。
その際、3つの言葉を並べる、韻を踏む(語尾をそろえ、同じ音にする)、対句にする(帯に短し、たすきに長しなど)そうです。
更に、読み手主役か、書き手主役かを考える。
読み手主役の場合、メッセージがお客さんや生活者の心にどう響くかを考慮しながら、生活者(読み手)の視点からコピーを構築する。
一方、書き手主役型は、企業やブランドなどの源流から発信され、その根本的価値やめざすべき方向性を示すメッセージとして機能するキャッチコピーをいうそうです。
ちなみに、企業活動を川の流れに例えると、企業が発したメッセージが、お客さんや生活者に対して、より深く意味のあるコミュニケーションを実現することが理想となる。
つまり、企業活動でいうと一番大切なのは書き手主役のコピーになるそうですが、この本では、一般のビジネスパーソンが書く機会が多い読み手視点のキャッチコピーの作り方に絞って解説しています。
②キャッチコピーの目的 Why
コピーを書く前に、最初にやるべきは、コピーを書く対象のことをよく調べ知ることだといいます。
商品や会社であれば徹底的にリサーチする。
説明書などをただ読むだけではなく、実際使ったり食べたりする。
商品が売られている店舗があれば必ず訪れるようにし、可能であれば製造されている工場なども見学させてもらう。
とにかく徹底的にリサーチする。
「何を言うか」の原石を見つけ出すことができれば、次のプロセスでコピーを書いていく。
まずそのキャッチコピーをつくる「目的」を明確にしていく。
目的を5つに分けると、
①知ってもらう、
②興味を持ってもらう、
③好きになってもらう、
④価値を高める、
⑤買ってもらう(参加してもらう。行動してもらう)
があるそうです。
更に、コピーライテイングの世界では、「ハードセル」という商品やサービスの販売を最終ゴールとし、コピーを書く流派、一方で「ソフトセル」という商品やサービスのベネフィットを間接的、イメージ的に訴える方法があるそうで、時と場合の使い分けによって有効なんだそうです。
③誰に?いつ?どこで?Who,When,Where
目的の次は、「誰に伝えるか」を考える。
その際、架空の顧客像(ペルソナ)を設定するのではなく、「あなたが売りたい商品やサービスが、どのような問題を解決し、どのような人を幸せにするか」イメージするところから始めるといいといいます。
まず、あなたが売りたい商品やサービスで問題を解決し、幸せにできる人を思い浮かべる。
次に、その人の気持ちになり切り、「その人が何を言われたら気持ちが動くか」を考えながら書くことで、読み手は個人的なメッセージに感じやすくなる。
目の前の1人に直接語りかけるようなキャッチコピーをつくることで、結果的に背後にいる同じ悩みを抱える多くの人々の心もつかむことができることを著者は語っています。
さらに、「いつ」「どこで」読者に伝わるのか。
朝の始まりに新しい事への期待を感じるときなど、ひとびとがメッセージに耳を傾ける準備ができているのかが「いつか」、
またどのようなメデイアに掲載すれば効果が上がりそうか。最適な「どこで」を選び、2つの要素がうまく組み合わせることで、キャッチコピーが人々の感情に訴え、行動を促す強力なツールに変貌するそうです。
④何を言うか?What to say
効果あるキャッチコピーとは何を言うか×どう言うか。
一般的にキャッチコピーの書き方は、How(テクニカル)の部分が重視されがちですが、一番重要な根底にある考え方、それは読み手に「自分に関係がある」と思ってもらうことだそうです。
そのためには、①ファクト、②メリット、③ベネフィットを意識し、画期的な商品やサービスの場合、ファクトを伝える。
そのファクトから誰もが得られる利点を伝える。
更にどのように読み手の人生に「ベネフィット=利益」をもたらすかに焦点をあてる。
この利益とは、金銭的なものだけでなく、幸福感や満足感など、お金では図れない価値も含む、つまり「読み手のハッピー」と著者は定義しているそうです。
更にこのベネフィットは、機能的ベネフィット(得られる具体的なハッピー)、感情的ベネフィット(かたちのないハッピー)に分かれるそうです。
更に読み手のベネフィット(買った後のハッピー)を伝えるには、お客様のインサイトを想像する必要がある。
優秀な営業マンは、話しながらお客様のインサイトを見つけることができるが、キャッチコピーは事前にそれを想像で見つける必要があるんだそうです。
更にベネフィットを軸にした場合、読み手のハッピーを入れるベネフィット、
一方、読み手が商品やサービスを使わない場合に生じる「損失」や「不便」を「負のベネフィット」とし、これを伝えるやり方もあるそうです。
更に新しいファクト柄う場合、ニュース型として発信する、相手が心の中で思っている本音をそのままフレーズにする、属性もしくは内面的要素(悩み、価値観、願望、思想)に絞った呼びかけ型などもあるんだそうです。
⑤どう伝えるか?How to say
上で上げたWhat to sayの内容が、How to sayのプロセスの間に逸脱してしまうことがあり、気を付けなければならないことのようです。
なお、How to sayは幾つも型があるそうですが、大別すると「言い切る」(断定型)と「問いかける」(疑問型)があるそうです。
言い切る型としては、
①圧縮して言い切る(いつかはクラウン)、
②予言して言い切る(会社員の9割は課長になれない)、
③前提を示して言い切る(おしりを鍛えると一生歩ける)、
④脅して言い切る(物流ドライバーが消える日)、
⑤命令して言い切る(小さいことにくよくよするな)、
⑥常識と逆のことを言い切る(諸君。学校出たら、勉強しよう)
問いかける型としては、
①疑問を投げかける(恋を何年、休んでますか。)、
②二者択一で迫る(覚醒剤やめますか?それとも人間やめますか?)、
③親身に語り掛ける(毎日のお弁当のおかず、大変じゃないですか)、
④情報を隠す
などの手法があるそうです。
⑥自分の所感-考えてこなかったキャッチコピーの世界、勉強になりました!
キャッチコピーの作り方、サラリーマンのような分業制では、あまり広告を打つことなど考えなかったため、意識しませんでしたが、この度いろいろと自分の商品を開発してみたいという気持ちになったため、この本を読んでみました。
その結果、多少うさん臭さを感じていた広告、キャッチコピーの世界に関して、真面目な調査から入り、相手に届くキャッチコピーを考える術がようやくわかった気がします。
いい本でした~!
早速活用してみようと思います。