「知らないと損する年金の真実」-公的年金は老後の土台です!

大江 英樹さんの本は、過去「となりの億り人 サラリーマンでも資産1億円」「となりの億り人 サラリーマンでも「資産1億円」」を読んで-給料天引きしないと! | すがわら あつし (ironman1977.com)を紹介しましたが、実は目から鱗だった本が、今回紹介する「知らないと損する年金の真実」でした。

実は公的年金の制度は、社会保険料とは異なり、健全に運用されており、実際に受給を受けている人たちは、生活をしていけないほど、年金支給額が少ないわけでもないこと。

そして、世の中の年金不安を煽る風説がかなり事実と異なっていることを、事実に基づき、一つ一つ説明しています。

今回は、大江さんが選ぶご自身の著書Best4冊の1冊でもあるこの本を紹介しようと思います。https://www.amazon.co.jp/%E7%9F%A5%E3%82%89%E3%81%AA%E3%81%84%E3%81%A8%E6%90%8D%E3%81%99%E3%82%8B%E5%B9%B4%E9%87%91%E3%81%AE%E7%9C%9F%E5%AE%9F-2022%E5%B9%B4%E3%80%8C%E6%96%B0%E5%B9%B4%E9%87%91%E5%88%B6%E5%BA%A6%E3%80%8D%E5%AF%BE%E5%BF%9C-%E3%83%AF%E3%83%8B%E3%83%96%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9PLUS%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E5%A4%A7%E6%B1%9F-%E8%8B%B1%E6%A8%B9-ebook/dp/B09HMRZWFP?&linkCode=ll1&tag=yukapina-22&linkId=0750efa0df9fd464e95969f33fb8150b&language=ja_JP&ref_=as_li_ss_tl

目次

第1章 年金の本質

第2章 年金に対する誤解を解く-初級編

第3章 年金に対する誤解を解く-中上級編

第4章 知っておくべき年金の歴史

第5章 年金改革で変わること

第6章 公的年金をうまく活用する

第7章 これからの年金との向き合い方

➀年金に不安を感じる3つの理由

年金不安については、今から30年ぐらい前でも「将来、年金が貰えなくなるのではないか?」という不安が囁かれていたそうですが、実際に大江さんが年金を受給する年齢になってみると、年金は破綻もしていないし、年金積立金は昔よりも増えていいるそうです。

にもかかわらず年金不安が世の中にあふれているのには、以下の理由があるのではないかと考えているそうです。

未経験者は不安だし、経験者は黙っているから。

人間は不安や不満があれば声高に唱えますが、満足している時には何も言わない。

「十分頂いていて満足している」などと言って、年金支給額を減らされると大変だと思うからだそうです。

年金不安を煽る三悪人(マスコミ、金融機関、野党の政治家)が流す風説の流布

マスコミは、世の中で起きたことのうち、悪い事や困ったこと、不安なことを報道する姿勢が基本であり、暗いニュースや不幸な話を放送しないと視聴率が上がらない事から、不安を煽りやすい老後や年金の話に行きつく傾向にあるそうです。

また、金融機関は、年金は不安で破綻するかもしれないというイメージを持ってくれることで、自分たちが販売する金融商品が売りやすくなるため、営利企業としては、当然の行為をするそうです。

最後に野党は、2009年度の自民党から民主党政権交代期に、年金加入記録問題により政権が変わったムーブメントに繋がったことがあり、自分たちの利益を最大化することを目的とすることから考えると、不安を煽る傾向にあるそうです。

③年金不安の理由は、年金を知らないことではなく、年金を間違って理解している

以前は年金破綻論を唱える学者や評論家の言説が取り上げられてきており、間違った知識を持っている人が9割ぐらいいるそうです。

一方、最近はその風向きが変わりつつあるそうで、正しい知識をエビデンスを交えて話すことで正しい理解を得られるフェーズに入ってきたと大江さんは考えているそうです。

②年金の本質とは

年金は、貯蓄ではなく、保険であること。

しかも民間の保険ではなく、社会全体でカバーする公的保険であるということがポイントだそうです。

つまり貯蓄は将来の楽しみのために自分で蓄えるものに対して、保険は将来の不幸のためにみんなで備えるもの

特に公的年金は予想外に長生きすることへの所得保障となる。

年をとって働けなくなった時に死ぬまで受給出来る老齢年金が長生きリスクに備える公的年金の最も大事な役割だそうです。

また、病気や障害を負った場合に終身で受ける傷害保険

働き手が死亡した時に残された家族への補償となる遺族年金は家族が一定の年齢になるまで払われるそうです。

厚生年金や国民年金に加入していればこの3つの機能が担保されており、いずれも受給出来ます。

元々国民年金が誕生したのは1961年、公的年金制度がなかった時代、親の生活の面倒は子供が見ていました。

当時は、自分で蓄えるのが基本でしたが、その蓄えた財産を相続するのは、戦前の場合だと長男で、親の財産を全部相続できる代わりに親の面倒をみていたというケースが多かったそうです。

しかし、戦後の国土成長期になると、子供たちはどんどん都会に出て行ってしまうため、社会全体で仕組化する必要が出てきたことで、公的な年金制度が始まったそうです。

尚、公的年金制度がない場合、親がお金を準備するかは子供の力ではどうしようもないため、親の面倒を見ざるを得ないと、将来の自分の生活状況が決められてしまいます。

ちなみに、年金の代わりに、将来生活保護を受ければいいのではないかという考え方は甘いそうです。

生活保護というのは、申請さえすればすぐに認められて支給されるものではなく、その人の収入や持っている資産だけでなく、家族や親族との関係やこれまでの人生についてあらいざらい調べられること。

また社会保障や援助金があったりした場合、その金額に応じて給付が打ち切られたりすること。

結果として、2019年の生活保護負担金は3.8兆円だそうですが、このうちの半分は医療費で、生活扶助として支給されている金額は1兆2000億円弱だそうで、簡単に受けられるものではないことを理解しとくべきだそうです。

更に、年金は、賦課方式を取っており、現役で働いている人の給料から一定割合を保険料として収めてもらい、その保険料を年金として支給する仕組みのため、将来物価上昇しても、購買力が維持できる形になっているそうです。

つまり年金保険料を払うということは、将来生活して行く上で必要となるモノやサービスを手に入れる権利を確保することといえるそうです。

③年金財政は赤字という勘違い

昨今政府財政には、巨額の財政赤字があり、公的年金も赤字であるという勘違いがあります。

国の予算となる一般会計は、2021年度の総額106兆6097億円、歳入は約63兆円。

差額の43兆円のうち、24兆円は国債の返済、利息の支払いだそうですが、赤字は20兆円程あります。

そしてこの国債の残高が2021年待つで990兆円になると見込まれており、国の財政赤字が1000兆円あります。

しかし、これは実は一般会計であり、年金を取り扱う会計とは財源が別となります。

年金は、2007年に統合してできた年金特別会計となり、2020年3月末時点で190兆円程積み立てられています

毎年の年金の原資となる収入は4分の3が保険料、そして残りのほとんどが税金。

一方、支出は年金受給者への給付です。

この収入と支出は、毎年大きくは差が出ませんし、赤字になった場合は、先ほどの190兆円の積み立てから補填されます。

実は年金制度の充実が図られた頃は高度成長の真っ只中にあり、毎年給料が上がっていくことで、年金保険料の収入はとても潤沢にあり、逆に年金受給者の数がそれほど多くなかったことで、保険料の一部を積立金として蓄えることが出来たそうです。

更に、この200兆円近い年金積立金は、世界的に見ても極めて多く、毎年の年金給付を全て積立金のみでまかなったとしても4.9年分あるそうです。

④若者は払い損という誤解

実は世代間の給付と負担の関係を見ると、

厚生年金       保険料負担額  年金給付額 倍率

1945年生(76歳)   1000万円   5,200万円  5.2倍

1955年生(66歳)   1400万円   4,600万円  3.4倍

1975年生(46歳)   2400万円   5,900万円  2.4倍

1995年生(26歳)   3,400万円   7,900万円  2.3倍

 

となるそうです。

尚、年金給付額については、年金保険料を払い終えた時点からの平均余命までの合計額で計算しているそうです。

大江さんがいうには、実は、1961年に国民年金制度が始まった76歳の人は当時16歳。

彼らの親は公的年金に入っていないため、現在70歳以上の人たちは親を養いながら、かつ年金保険料を払うという二重の負担をしていたと指摘しています。

厚生年金保険料は、始まった当初給料の3.5%でしたが、現状は18.3%。

公的年金設立当時、二重の負担を強いることになる当時の若者に公的年金の保険料をそんなに高く負担させることが出来なかったそうです。

1970年時点で、65歳以上の人がいる世代のうち、三世代で同居している世帯の割合は44.4%だったため、約半分。

一方、65歳以上で夫婦のみや単身世帯は17%弱しかいなかったこと。

2010年になると、三世帯同居率は16.4%と減少した半面、夫婦のみ、単身世帯は53.3%と逆転しているそうです。

つまり、公的年金保険料だけでなく、世帯としての負担で考えると、世代間不公平にはなっていないそうです。

また、1995年生まれの人でも労使折半であるため、半分企業が負担しており、従業員として払い込んだ保険料の2倍以上が受け取れます

⑤年金の運用は赤字続き-間違い

年金積立金を運用しているのは、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)といいます。

実はGPIFの運用は悪くなく、2001年から20年間の累積収支額は100兆円。

収益率は年率3.7%だったそうです。

尚、年金積立金は長い間、国債を中心とした国内債券で6割運用していたそうですが、現在は、国内債券、外国債券、国内株式、外国株式に25%ずつ分散するというポートフォリオだそうです。

⑥少子高齢化が進むので年金は崩壊する-間違い

「日本は少子高齢化が進む社会なので、多くの現役世代でお年寄りを支える「お神輿型」だったが、今は3人で1人を支える「騎馬戦」。

そして将来は1人で1人を支える「肩車型」に確実に変化していく。今までは将来世代はこの負担に耐えられない」という論旨があります。

しかし、実際に「働いている人」と「働いていない人」で見ると、全く違う現実が見えてくるそうです。

年金のような社会保険料制度は、年齢に関係なく働いていれば保険料は負担しますし、逆に働いていなければ年齢が若くても保険料は払えません。

そういう観点で見た際、驚くべき結果が出てくるそうです。

非就業者数を就業者数で割った数字を年代別に比べてみると

1970年 1.05人

1990年 0.96人

2020年 0.89人

2040年 0.96人

なんと、神輿型と言われた1970年よりも、今の方が、高齢者は増えているにも関わらず、支えてられている人数自体はわずかですが、減っているそうです。

実は1970年の定年年数は55歳、平均寿命は男性で69歳だったそうです。

一方現在は平均寿命が81歳なのに対して、60歳〜64歳の働く人の割合が81%、65〜69歳が57.2%、更に70歳〜74歳でも38.1%の人が働いているそうです。

更に共働き家庭も1980年に614万世帯だったのが1240万世帯へと倍増。

このように就業者が増えて保険料を負担する人が増えていることで、そのバランスは50年前から20年後に至るまでほとんど変わっていないのだそうです。

⑦2004年が公的年金受給制度改革の大きなターニングポイントだった!

高齢化社会の定義は65歳以上が7%以上だそうですが、実は日本は1970年代に既に高齢化社会に入っていたそうです。

日本の経済が曲がり角を迎えたのが1990年。厚生年金の定額部分の支給開始年齢を60歳から65歳までに2001年から徐々に引き上げていくのが決まったのは1994年だったそうですが、検討は1980年ごろから始まっていたそうです。

更に2004年の行政改革で、受給者の年金給付額を確定させてから現役世代の負担額を決めていたのを、現役世代が払い込む負担額をまず決め、それをベースに受給者の負担額を決めるという方式に変えたそうです。

保険料水準の固定については、厚生年金の保険料率を2004年から引き上げ、2017年以降は18.3%とするとしており、これ以上は引き上げられる予定はないそうです。

一方で、保険料収入を一定にするのであれば、年金の給付額を減らすことになる。

その時に物価、賃金とスライドするマクロ経済スライドを導入しますが、その下限が現役世代の平均的収入の50%を下回らないようにするものだそうです。

その調整弁に年金積立金を使うこととなっているそうです。

尚、マクロ経済スライドとは、向こう100年で入ってくる収入の合計額を決め、この収入と同じ100年の年金給付総額が一致するように年金受給者の給付の水準を自動的に調整して決めるやり方だそうです。

⑧年金が持つ格差是正の役割

年金の本質は将来への長生きリスクに対する保険でありますが、もう一つは、所得の再分配機能を果たしているそうです。

つまり、基礎年金と報酬比例部分の2段階のうち、沢山の負担をした人でも少額の負担をしたことでも、基礎年金は同額貰えることで、所得が高く負担が大きい人と低い人の間で差が生じにくくしている機能も持つそうです。

⑨2022年から始まる新しい年度制度とは?

今後の社会、経済の変化を展望すると人手不足が進行するとともに、健康寿命が延伸し、中長期には現役世代の人口の急激な減少が見込まれる中で、特に高齢者や女性の就業が進み、より多くの人が長い期間にわたり、多様な形で働くようになる。

この高齢者や女性の就業が進み、より多くの人が長い期間多様な働き方をするようになる人たち(未加入者1050万人)に向けて、厚生年金に入る人を増やすことで、健康保険や厚生年金を終身で受けられるようにする改正なのだそうです。

更に事業主が保険料の半分負担することで、働く人にとっては負担が減り、給付が増えることになるそうです。

まずは従業員500人超の企業という加入義務を50人以上にすることで、まず65万人増えるそうです。

更に今後労働時間の枠や月額賃金の枠などを撤廃し、1000万人を超える新たな厚生年金加入者を増やす方向になるのではないかと大江さんは予測しています。

これは言い換えると社会保険料を負担出来ない会社に存在意義はないと言う考え方の表れだそうです。

⑩国は受給開始年齢を遅らせたいという誤解-改訂には3-40年掛かる

今回の改正の中で年金の支給開始年齢を60歳から75歳まで15年間いつでも受給開始できるようにしたそうです。

この措置について年金の支給開始年齢をいずれは70歳まで遅らせるための下工作。

遅らせた方が国にとって有利といったコメントが散見されるそうですが、実は60歳から65歳までの引き上げですら決めた32年経っても未だ終了しておらず、全て終わるのに2030年までかかるそうです。

従い、将来の平均寿命が90歳や100歳と言う時代が来れば再び引き上げが検討されるそうですが、その時期は10年、20年では来ないと考えた方が良いそうです。

⑪自分の所感

この本は上記で取り上げた内容以外にも、具体的にサラリーマンや自営業者、独身などに分けたモデルケースの解説も記載してあり、極めて親切な本です。

そして日本の年金制度が大変優れているものであることが改めて理解できると思います。

このような内容を分かりやすく書かれた本として、大江さんが残した傑作だと思います。

是非本書を読んで頂ければと思います。