本日は、井上 新八さん著作「続ける思考」を紹介します。
以前、複利で伸びる1つの習慣を紹介しました。
「複利で伸びる1つの習慣」を読んで-習慣化による長期的な改善 | すがわら あつし (ironman1977.com)
この本は、欲求をつくり、習慣化することで、長期間の時間軸の中で圧倒的な変化を起こすことができることを書いた本でした。
一方、今回紹介する本は、習慣化するための目的だの意味を考えず、兎に角「続ける」ことを楽しむ。
この手法によって、「やりたいこと」と「やるべきこと」を無理なく、すべてやりきるようになった井上さんの実体験を元に書いた本です。
尚、著者の井上 新八さんは、新聞社で編集者を務めたのち、2001年に独立してフリーランスのデザイナーとなり、今は、ひとりで年間200冊近くの本をデザインするそうです。
その中には「SHO-TIME 大谷翔平 メジャー120年の歴史を変えた男」など有名な本のデザインもされてるそうです。
また、趣味では映画、ドラマ、アニメ、そしてダンスや納豆を食べることなど「継続すること」そのものを趣味としているそうです。
目次
Chapter0 「趣味は継続」、わたしが「続ける」ことが好きな理由
Chapter1 続けることへの「苦手」をなくす
Chapter2 続けることは「仕組み」がすべて
Chapter3 続けることで「やり抜く力」は身につく
Chapter4 続けるだけで「自分は変わる」
Chapter5 続けることで「夢中になれること」を見つける
Chapter6 続ける中で「見つけたもの」
➀「続ける」ことの何が楽しいのか?
井上さんの考えによると、次の3つだそうです。
1.続ける「仕組み」を考えることが楽しい
2.続けるを「コレクション」するのが楽しい
3. 続けることで自分が「変化」するのが楽しい。
「続ける」ことを考えた時、井上さんが一番楽しいのは、いつも何か新しいことをはじめようと思った時、「どうやったら無理なく続くかな?」って考え、自分なりにやり方を考えて生活の中に落とし込んでいく。
やりながら続け方を考えていく。
仕組みを考えてそれをゲームのようにクリアしていく感覚。毎日を小さな達成を積み上げていくゲームにしていく。
「仕組み」でゲームデザインして実際それをプレイしてクリアしていくといった毎日がゲーム化する考え方なんだそうです。
次に「続ける」ことを圧倒的に楽しくするのが「記録」だそうで、続いたことが形になっていく。
「続ける」は「記録」することでコレクション化していく。
更に何かを続けることで人は確実に変化する。
目に見えないような小さな変化が起き、何でもないような変化がいつのまにか大きな変化になっていく。
それが「続ける」ことの最大のご褒美だと井上さんは考えているそうです。
②続けることへの「苦手」をなくす
まず「続ける」ことを考える時に、「正しい努力」「成果をきちんと出す」努力という考え方を捨てて、「ただ続ける」ことをまずは意識する。
また、最初から効率を求めず、まずは1回自己流でやってみて、ゆっくり着実にコツコツ積み重ねていくと、何かが変化していく。
また、「自分でやると決める」「やると決めたのは自分」と宣言することが大事であること。
そして「なんでもいいからはじめる」。
「なんとなく」やってみようかなと思ったことをはじめてみる。
それをコツコツとずっと続けていく。
そうすると、それはその人の個性=パーツになる。
この目的や意味を考えずにやることが大事なんだそうです。
③続けることは「仕組み」がすべて
続けることは、「仕組み」さえつくってしまえば、あとは勝手に続いて行く。
これが井上さんが20年以上試行錯誤して辿り着いた方法なんだそうです。
まずいちばん大事なこと。
「絶対になんでも続く」すごい方法。
それは「毎日やる!」と決めることだそうです。
「週に3回やる」だと週に4回やらない日ができる。
人間の意思はそれほど強くないため、続くようになるには毎日やることなんだそうです。
まずは30秒でも良いから小さくやる。
また、「いつやる」をとことん具体的に決める。
そして「ない」時間は朝につくる。
更に続けるために欠かせないもの。
それが「記録」すること。
井上さんの考えでは、「記録」することはいわば「継続」のコレクション化。
つまり記録は、「続ける」ことの「見える化」でありつつ、そのこと自体が楽しみになって促進剤にもなるすごい方法だと感じているそうです。
そして「小さい事」をやることに慣れてきたら、無理せずに少しずつやることを増やしていく。
朝の読書を5分始めたら半年くらい続けてみる。
半年後に語学の勉強を5分追加する。
小さいことを組み合わせ、組み合わせの中に新しい小さなことを組み込んでいく。
じつは井上さんにとって、「仕事する」といういちばんハードルの高いところに自分を持っていくために、この毎日の小さなステップがすごく重要になってくるそうです。
④続けることで「やり抜く力」は身につく
ここからは、続けるために、逆に如何に気楽に捉え、毎日の習慣にするための秘訣が書いてあります。
それは、「毎日やる」と決めておくことと、「毎日続けよう」と思うことは一緒ではないこと。
「いつやめてもいい」と思った方が、結果として続けられることに繋がる事なんだそうです。
更に気が乗らないときは、やったふりだけする。
やろうとした自分を褒めて終了すると決めると、不思議とさわりだけやれば、意外にそのあとのことができてしまう。
きちんとやろうと思わず、フリをするのが、スイッチを入れることなんだそうです。
また、それでもやる気が出ないとき。
「休むなら明日!今日だけはやる」
これも毎日やることになるんだそうです。
更に絶対に終わる小さなことを一つやる。
その小さな達成を積み重ねてゲーム化する。
小さいことを順番に並べてルーテイーンを作っていく。
小さなことを続けていくと、自分との約束を守り続ける癖がつく。
この癖をつけることで、勝手にやり抜く力が身についていくのだそうです。
⑤続けるだけで「自分は変わる」
ひとりでコツコツ積み上げられるものは無限にある。
そして近道なんてどこにもなくて、コツコツやり続けた先にしか道は拓けない。
井上さんは、実は「文章を書くのが苦手」なんだそうです。
従って、書き上げるのにも時間が掛かる。
しかし書くと決めた以上、映画館で見た映画の感想は全部ブログに書くと決める。
毎日読書メモをXに投稿すると決める。
1週間に1回、月曜日にNoteに文章を投稿すると決める。
その試行錯誤の結果、投稿する前日までに50点くらいの完成度で一度原稿を書き上げる。
この一度完成させる。
そしていったん寝かせることが大事であることに気が付いたそうです。
言い換えると、「昨日の自分に助けてもらう」
つまり、昨日と今日、2人の自分で書き上げる。
昨日の50点の自分と今日の50点の自分で100点を目指す作業。
2回に分けることで負担は軽くなる。
今日、いったん寝かすのは、明日の自分に託す為。
井上さんは毎年1回写真展をしてるそうですが、ある時から毎日1枚写真を選び、現像してブログにアップすることを始めたそうです。
このことで、写真展前には300枚以上の候補写真が用意された状態になる。
この毎日の小さなコツコツが、1年後の自分を助けてくれる。
英語の勉強なら「単語をひとつ覚える」など、毎日小さく積み立てていくことで、10年後には、10年分の自分が今の自分を助けてくれることになる。
一方で継続を阻む最大の敵は「大きな達成」。
「目標の達成」をゴールだと思うと、そこで試合が終了してしまう。
「達成」は終わりじゃなくて、新たなスタート。
そう思うことで、喜びはその瞬間かみしめる一方、そのあとは日常を続けることが大事だと井上さんは言います。
⑥自分の所感
井上さんは、この後も、この本の中で、「納豆」を趣味にする話。
苦手と考えていた「掃除」を「好き」にする話。
「ダンスを始め、続ける話」。
「短歌を始め、続ける話」など、
実体験に基づき、いかに新しく始めた習慣を、自分の物にするために続ける工夫をしてきたのかを披露しています。
そしてそのポイントは、「なんのため」からではなく、「なんとなく」を大事にする。
また、井上さんは、マンガを読むことを例として、バカみたいなことをおろそかにして、大事なことばかりやっていると、本当に詰まらない人生になってしまうのではないかと思っていること。
そして、長い人生で自分を救ってくれるのは、おそらくそういうどうでもいい力なんじゃないかと考える。
この過去に好きだったものについて、小さく続けることで好きを取り戻すことの大切さも書いています。
私は、この本を読んだときに、痛く感動しました。
一つはフリーランスとして長く活躍してきた井上さんが、どのように仕事も含めて、様々な活動を広げているか良く分かったこと。
そして、欧米のTOP DOWNの思考法とは別の、極めて日本らしい現場主義的な発想、強みを感じ、日本人の私にもこれならできると感じたからです。
私の場合は、まずは本業で実績を上げるとともに、英語の勉強、そして書評/ブログを続けることで5年後、10年後に積み上げた自分が将来の自分を助けるという感覚でいようと思いました。
この本も物凄くお勧めなので、是非お読み頂ければと思います。