「起業家の思考法」を読んで-マイノリテイ(別のやり方)を恐れるな

本日は平野 丈さん著作「起業家の思考法」を紹介します。

社会人になって、会社で営業の仕方や経理・財務の仕事の仕方は覚えて、ある程度の実績も得てきた。

でも、そもそも事業を起こしていく人の発想法/思考法がどうなっているのか分からない。

そんな中で、出会った本がこの本です。

一度読んでもまだ、行動に結び付けられるまでの理解を得ているとは言えませんが、まずはOutputによって、著者の考えを体に染み込ませることから始めようと考えています。

平野さんは、1982年生まれ。株式会社じげんの代表取締役社長執行役員CEO。

大学在学中に起業したまま、リクルートに入社。

その後じげんの代表取締役社長に終身。

2013年東証マザーズ上場、2018年東証一部へ市場変更。

2021年連結売上高125億円(ちなみに2022年は187億円でした)と、華々しい活躍をしています。

目次

第1章 正解がない時代に圧倒的成果を出す「起業家の思考法」

第2章 発見力目的を設定し、解くべき課題を発見する

第3章 別解力「自分らしく」「優秀な」「別の」やり方を組み合わせる

第4章 実現力別解を連鎖させて圧倒的な成果を生む

第5章 失敗力挫折や失敗を成功の糧とする

第6章 成長力ビジネスパーソンとしての基盤を強固にする

①正解ではなく、別解を目指せ

平野さんは、これからは、誰もが思いつく実現可能な選択肢を選んでいるだけでは、人が無価値になる時代が来る。

誰もやらないような、より創造的な打ち手を繰り出さなければ、勝負にならなくなる

一瞬は正解で勝ったとしても、価値を維持できず、幻のようになくなってしまう。

その傾向は、情報化時代のさらなる進展、SNSなどの個人のメデイア化、ロボット化、AI化などによって拍車をかけると想像しています。

そんな中で、正解を出すことに頭を使うのではなく、自分の答えを考えるために頭を使うことが求められる

それぞれが個々の観点に基づいて問題を発見し、答えを考えた方が突然変異が生まれる確率ははるかに高くなる

それを別解と呼んでいます。

起業家の思考法の中心となるのが、別解力だそうで、この別解力とは、自分で問題や課題を発見し、その答えのない問いに対して自分の持っている知識や経験を活用して、自分なりの答えを見出していく力だそうです。

また、この別解を求めるには、

①「自分の経験、知見、強み、夢中になれること、価値観などを反映した自分ならではのやり方」

②「優れたやり方とは、大きい、多い、早い、安い、高いなど世の中に受け入れられるやり方」

③「別のやり方とは、優れたやり方の正反対をやってみる、自分の強みや価値観を無視してみるなど、固定観念を脱するやり方。」

この三つの力のすべてを満たす部分が別解に相当し、他の人にはまねのできない圧倒的な成果が生まれるそうです。

②起業家の思考法を構成する五つの力

起業家の思考法は五つの力で構成されると平野さんは言います。

その5つとは、目的を達成するために、解くべき問題を発見する発見力が一つ。

次に問題に対して他の人の答えを上回る自分だけの答え(=別解)を生み出す別解力。

そして別解を絵にかいたモチに終わらせず、現実にする実現力。

更に失敗からがおこったときに、失敗から学んで成長する失敗力がなければ何度も同じ失敗を繰り返す。

この発見力、別解力、実現力、失敗力を無限のループで回していくことで初めて、ビジネスパーソンとして成長する力である成長力が備わる

これが起業家の思考法に必要な五つの力だそうです。

③問題発見の基本的な方法論をおさえる

問題発見の基本的な方法論として、

①問題を正しく「定義」する

②問題を正しく「発見」する、

③問題を解決するために「いつまでに、何を、どんな順番で行うか」決める、

④そこにはどのような「障壁」が存在するか把握する、

⑤最終的に、どのような「状態を目指さなければならないか明らかにする」。

この問題のテーマを的確に定めるために、平野さんは、

ア)会社のことを知る、

ィ)経営者がどのようなことを考えているか知る、

ウ)社会のことを知る、

といった視座の高い視点で考えることが大切だといいます。

ちなみに、平野さんはリクルートの新入社員時代、「リクルートにはこの部分が足らない。インターネットが遅れている」等の意見を提言していたそうです。

なお、解くべき問題を発見する8つの視点として、

①目的(なぜやるのかを明確にする)、言い換えると全体の価値がわかれば、仕事のやり方が変わってくる、

②目標(理想を明確化する)、社会や会社の役に立つことにフォーカスする、未来から逆算して目標設定する、

③問題(ギャップから問題を把握する)、その際スピード、膨大な量、コスト低減、売上増加、顧客数増大、価格設定なのかどのようなルールで、どのような種類で、何をする問題なのか、かみ砕けるだけかみ砕く。

④昔(かつて問題を解いた人の情報を収集する)、過去の強い人の要素を細かく分析し、どのようにして勝ったか、どのようにして成果を出したか見極める、

⑤自分(マイセルフ)、自分の強み、弱み、掛けられるコスト、時間、

⑥周り、仲間、競合、

⑦マーケット、顧客は誰かを明確化する、

問題を発見し、解決するまでの時間は無制限にあるわけではなく、制限時間の中で限られた手札をすべて明らかにした上で何をどのように使えば最適になるかを考える、

⑧未来(今後の課題を予測する)先を読み、世の中はどう変わっていくかを予測する。

今後の企業の課題、産業の課題、社会の課題を予測する。

企業経営を行っていると、事業ドメインや立ち位置で勝率が決まってしまうことが多い。

解く問題によって、すべてが決まってしまう。更に問いは作業を進める中で進化する、つまり問題を自ら発見し、転換させていく力が大事。

更に問題が解決した後、違う問題が待っていると想像する事。

中小企業の問題に大企業的な問題を絡めたり、営業の問題に、編集、企画的な問題を仕込んでおくことを発想できるようになるそうです。

④起業家の思考法の核となる別解力

別解を肯定する三つのやり方、

①自分らしいやり方とはどのような分野でも構わないのでチャレンジしてアウトプットすることで見つかる、他の人と差別化できる自分らしさだそうです。

誰かに評価してもらえたり、客観的な結果が出る機会を体験しなければ、いつまでたっても自分らしさを把握できないといいます。

更に自分と同じ強みや夢中になれることを持った人は世の中に数えきれないほどいる。

だからこそ他の二つのやり方と組み合わせることが必要なのだそうです。

②「大きい、多い、早い、安い、高い」など世の中によいものとして受け入れられるやり方を「優れたやり方」と定義します。

①早くやる、②コストを低くする、③飛び抜けた成果を出す、④成果が出なくても規格外の量をやる、⑤新しい事、誰もやっていないことをやる。

20年間の経営の中で、この5つのやり方しか評価されなかったと平野さんは言います。

しかし優れたやり方と自分の強みや夢中になれることと一致しないため、なかなかうまくいかないそうです。

更に優れたやり方の正反対をやってみる。

自分の強みや価値観を無視してみるといった別のやり方と定義します。

筆者の経験では、上の優れたやり方で示した①から④に比べて、⑤の新しい事、誰もやっていないことをやる方が評価されてきたそうです。

この別のやり方が別解力の要となるそうです。

なお、この3つを組み合わせることが要で一つ若しくは二つでは、長続きしなかったり、独りよがりになったり、コモデイテイ化するそうです。

⑤別解力の障壁を取り払う

マイノリテイのほうこそ「おいしい」。

「マジョリテイに安住しているきみたちは、周囲の流れに乗ることが楽で安心できると思っているかもしれませんが、それは間違い。

マジョリテイではなくマイノリテイを目指してください」と平野さんは言います。

一般的に誤りのように見えている間こそチャンスなのだといいます。

オペレーションを極めれば今日は儲かるが、明日、明後日の飯のタネは仕込めない。

そのためにも起業家は周りと同じことをしていては成功できないので、周りと違うことばかり考えているそうです。

⑥別のやり方を引き出す31のヒント

平野さんは別のやり方を考える31のヒントがあるそうです。

その内容は、この本の肝のため、このコラムでは、詳細は書きませんので、知りたい人は、本を買って読んでください。

但し、私の備忘録的なメモのために、項目を羅列します。

変える-要素に分解して一部を変える、パラメーターに分解する、時間軸、場所、値段、集客、販売チャンネル、登場人物、業態、濃度、原材料

探す-お金を払ってでも欲しいもの、いらないもの、強い部分と弱い部分、特化して価値が出るもの、タイムマシン(Ex.日本→アジア→アフリカ)、定数より変数、法改正、新しいテクノロジー、特定の状況になると価値が出る、複利になる(M&A投資)、LTV、マイナスが低いもの

考える-反対、規模の違うもの、哲学的、仮定法、未来はどうなるか、みんながいやがりそうなこと、アイデアを結合する、古い概念のアップデート、他に転用できるものはないか

⑦自分の所感-次世代経営者が続々出てきそうな予感

筆者は、海城高校から最初は大学に行くつもりもなかったといいます。

また、起業するために慶応大学SFCに入学し、在学中に起業しています。

更にリクルートに入社し、直ぐに独立しています。

この本で明かされる株式会社じげんがなぜ成功したのか。

どういった考え方で事業を作ってきたのかを読めば読むほど、極めて論理的です。

また、私の中で衝撃的だったのは、問題を見つけることが、業界などを考える前に着想の最初に来ている点です。

更に、別解力という発想の仕方。

言われてみると、私は未だに正解を追いかけている部分があります。

今から私のような一介のサラリーマンが身に付けられるか分かりませんが、チャレンジしていきたいと思います。

起業家を目指すなら、この本は買って手元に置いておいては如何でしょうか。

有名になりたい、お金を儲けたいために出版した普通の本ではない気がします。