本日は、事業家botさん著作「金儲けのレシピ」を紹介します。
最近金儲けの源泉はどこにあるのかというテーマに嵌っていて、その過程でこの本に辿り着きました。
事業家botさんは如何にお金を儲けるかに絞って書いています。
身も蓋もなく冷徹に分析する、だからこそ見える側面があるものだというのが、読後の感想です。
事業家botさんは、東京大学在学中に起業、フランチャイズチェーン企業に事業売却後、再度起業し、現在年商10億円以上の起業を経営。
起業しビジネスを作っていくプロセスの中で、「金儲け」のノウハウが確立していないこと、既存のビジネス書があまりあてにならないことを痛感し、「金儲けのノウハウ」をまとめることを決意。とあります。
「世にあるビジネス書は、「仕事術」にフォーカスされているが、真の「仕事術」とは「金儲け術」であるべきなのであり、金儲けこそが最強、最高のビジネススキルと考えられる」
これが事業家botさんの主張です。
Recipe0 商売の原理原則
Recipe1 消費者から買う
Recipe2 客に作業させる
Recipe3 まとめると高くなる、切り分けると高くなる
Recipe4 1:n構造を作る
Recipe5 両方から金を貰う
Recipe6 合法的に麻薬を売る
Recipe7 確率をいじる
Recipe8 空気を売る
Recipe9 意思決定に介入する
Recipe10 仕入れで儲ける
Recipe11 他人の財布を狙う
Recipe12 高いものはいいものだ
Recipe13 勝手に「権威」になる
Recipe14 信者ビジネス
Recipe15 究極のレシピ
➀まともな商売をやれば最終的に時給1000円になる
筆者の考えでは、全ての商品の売値が公開され、消費者が自由にアクセスできる状態になれば、利益は自分が働いた分しか残らない。
つまり儲けるためには、「特殊な理由で「完全競争市場」にならない市場」を発見し、また創り出す必要があると考えるそうです。
また、通常の損益計算書ではなく、1人の顧客が通算でいくらの利益をもたらすLife Time Valueと顧客1名を獲得するための営業コストCustomer Acquisition Costとのバランスで考えるべきで「顧客あたりの収益性」がビジネスを判断する本質的な基準だと言います。
②消費者から買うビジネスを考える
利益の源泉は、消費者に売る部分ではなく、消費者から買う部分にある。
つまり消費者は買うことには注意を払うが、売る価格についてプロフェッショナルではないため、例えば中古車販売業なども仕入れ部分にフォーカスすることで利益率を高めているそうです。
また、人材派遣/ゼネコンなども労働力を纏めて買うときに、マージンを抜くというビジネスだと言います。
特に日本では、労働者保護のための解雇規制が厳しい分、人材の流動性の提供とダイナミックプライシング(個別に価格を変えること)が労働力取りまとめ業のニーズであると言えると考えられるそうです。
③客に作業させる
事業家Botさんが上げるDIYという文脈に載せて組立作業を客に押し付ける典型例として、IKEAを挙げています。
家具のコストの材料費は高くなく、寧ろ組立にかかる労働コストのほうが重いが、その部分を客に押し付けていると考えます。
同様に焼き肉屋なども、客に調理させることで調理コストを客に転嫁できると言います。
更に、
➀家で作りにくい料理である、
②仕入れで優位性を築くことができる、
③酒の注文が出やすい業態であるところに強みがあると考えています。
このように、客に作業を押し付けられないか考えてみると、商売になるかもしれないと考えることで、セルフ○○というフレーズで新しい金儲けのレシピが見つけられると言います。
④集めて売るか、分けて売るか
集めて高くする典型例として、土地。
分けて売ることで高くなるものとして肉や魚を上げています。
また、鮨が、魚の切り身一切れ+少量のご飯の塊と考えると、鮨は高いというイメージが成立しているという前提条件のもと、高い値段を取ることに成功していることを着目しています。
つまり支払う金額というのは、前提となる商品カテゴリーのイメージにかなり左右されていて、実際の中身について価値を詳細に検討して 購入する人はほとんどいないと言えるそうです。
従って、ビジネスを立ち上げるうえで「高級とされるカテゴリーに勝手に入り込む」という手法は極めて有効だと言えるそうです。
例えば、立ち飲みバルをカジュアルフレンチと言ったり、築地を銀座東と言ったりするなどの例を挙げています。
⑤合法的に麻薬を売る
中毒性がある嗜好品の販売業は、原則として非常に儲かるため、国家が集中管理を行う対象となっている。
その代表的な合法ドラッグである酒やたばこは、国家により税金が課されており、昔は塩もその対象だったそうです。
上の国家が管理しているものを除くと、「砂糖」、「小麦粉」、「脂肪」の白い粉3点セットは、原価率が極めて低く、消費者が再訪する確率が高くなる中毒性の高い商材だと言います。
つまり、クレープ屋、タピオカ屋、パンケーキ屋は原則儲かるため、極めてマーケテイングドリブン、つまり広告宣伝費用をたっぷり掛けるビジネスになっていると言います。
⑥確率をいじる
宝くじ、競馬、競艇などの公営ギャンブルなども、射幸心を刺激するものとして、繰り返し顧客をゲームに参加させる性質があり、LTVが非常に高いビジネスとしています。
ちなみに射幸心をWikiで調べると、努力や苦労をすることなく、利益や成功だけを願う、偶然の利益を労せず得ようとする欲心とあります。
その他にも、人間は損失回避性を持っており、例えば「ガンになったらどうしよう」などという、わかりやすいテールリスクを刺激することで保険に購入させることも儲けに繋がると言います。
つまり、人間は、確率を期待値として正確に認識することが困難で、人生自体も期待値的に進行していくわけではないため、どうしても特定のシナリオのイメージに引っ張られる。
その点を活用して儲ける代表的な手法の2つが「射幸心の刺激」と「損失回避性の利用」だと言います。
⑦水を売り、空気を売る、更に形のないものをどう売るか
水商売などは、異性が接客することを提供価値としているが、料金の中身は、高額の水や酒である。
更に、ジュリアナ東京などをヒットさせたことで有名な折口氏は、デイスコ事業のセンターピン(成長の最重要ポイント)は人が集まっていることで、人が集まるから人が集まり、デイスコは空間に入るだけ、つまり空気を売っているだけなので、損益分岐点を超えれば全て利益になると述べているそうです。
更に、無形商材、保険や投信などの金融商品、コンサルテイング業なども当然にして儲かることが多い。
その無形商材を売るポイント、それは、➀有形商材っぽくする、②購入後のストーリーを想像させる、③課題解決として提案するの3点だそうです。
⑧意思決定に介入する
取引の一回性が強いビジネスでは、リピートが想定されていないため、1人の顧客からなるべく多くの理性を搾り取る方向性でビジネスを展開したほうが有利である。
例えば家を売る時に、消費者が高く買わされた、つまり非合理的な意思決定をしても、家を買う理由や営業マンが信頼できそうかどうかといった定性的なファクターの方が、顧客満足度に対する寄与度が高いと考えるそうです。
更に、非合理的な意思決定をさせるビジネスの典型例として、来店型保険ショップであるほけんの窓口グループを挙げており、「ネットで売る」ことに対して「リアルで売る」ことの優位性は、「意思決定を捻じ曲げて儲かる商品に誘導することができる」ことだそうです。
⑨他人の財布を狙う
商売の鉄則は、他人のカネを狙うことだそうです。
接待ニーズ狙いとなるとコスパの理屈から逃れることもできますし、結婚式も葬式も他人の財布を前提として支払われることが多いことから、支出が多いと言えるそうです。
また、他人にプレゼントするための商品を作るというのは、商売を考える時の狙いの一つだそうです。
更に、客に借金をさせて物を買わせる不動産なども、儲けを最大化することができると言います。
⑩勝手に「権威」になる
「ブランド」が無い状況で事業を始める場合に、勝手に「認める側」に立つことで、極めて有利に事業を展開することができるそうです。
食べログなど糧に格付けすることや、帝国データバンクの企業の信用度の評価を、与信調査を行いたい企業向けに販売するというビジネスモデルもその一つです。
自分が優位な立場になった後は、「教える側に立つ」ことで利益を回収するのが1つのテンプレートとして、将来の収入の為の投資として正当化しやすくなるというメリットが出ます。
また、資格や格付けをすることで自分が一段上の立場であるという前提を作った後に、講師になり、さらに教材を販売し、授業を行うことで利益率を高めていく。
これは商売の1のテンプレートだそうです。
更に信者ビジネスを構築することで、顧客であるとともに宣伝も担ってくれる人になる。
この一つの事例が藤田晋社長が率いるサイバーエージェントであり、スターバックスであるそうです。
そこには、必ず「教祖」「経典」「教会」があるそうです。
これまで紹介してきた金儲けのレシピを自分だけのレシピにし、秘伝のものとしながらビジネスを拡大する、その要素技術を活用くださいとのことです。
⑪自分の所感-世の中の倫理観/固定概念などすっ飛ばせ。
上で上げた項目以外にも、1体N構造を作る、両方から金をもらう、また上で説明した内容の詳細が本には書いてあります。
お金儲けという観点で、既存のビジネスの儲けのポイントを、世間の倫理観など取っ払ってビジネスを分解すると上のような項目になるという点、儲けの源泉がどこにあるかおおざっぱにでも整理された本に触れたことが新鮮でした。
私のビジネスの場合は、Recipe1「消費者から買う」の労働力を集めて活用すると、Recipe10「仕入れで儲ける」、更にRecipe11「他人の財布を狙う」辺りでしょうか。
尚、今回ちょっと、本の内容を明かしすぎたので、もしこの後著者や出版社からクレームが入ったら、この書評は消します。
興味がある方は、是非本書をお読みください。