本日は、ジェームス・マッケナさん、ジェニーン・グリスタさん、マット・フォンテインさん著作、関 美和さん訳、ダイヤモンド社出版「13歳からの億万長者入門」を紹介します。
近年日本でも学生に向けた投資教育などを学校で教える気運が高まるなど、金融教育への取り組みが取りざたされています。
一方、十数年間、曲がりなりにも多少株式投資や不動産投資に手を出した身からすると、「投資」の前に、「稼ぐ」ことや、「貯蓄」が前に来ますし、「投資」も対象を相当勉強しないと、ころっと騙されてしまうという実感があります。
また、投資は長期で考えるべきというのは、複利の概念を分かれば、イメージはつきますが、実際に本当に長期投資のメリットを理解し、長期投資のお眼鏡にかなう優良企業を選択して投資している人の割合は、日本でもまだあまり多くなさそうです。
一方、アメリカでこういった金融教育を中高校生の頃から教わることは、その後の起業、投資家への道を模索することにつながりますし、近年アメリカで沢山の起業家が生まれる背景には、このように実社会を早めに勉強する土台があるのではないかと思います。
そこで、今回の「13歳からの億万長者入門」の紹介を通じて、日本の若い方、そして親の皆様にもアメリカでの金融教育を説明した本を紹介します。
はじめに 歴史上今ほど1億円が簡単に手に入る時代はない
第1章 億万長者だけが持っている「億万長者マインドセット」
第2章 自分宛てに10億円の小切手を切った男の10年後
第3章 最高の貯蓄法は「PYF戦略」
第4章 1万円を手に入れるおこづかい大作戦
第5章 ベゾス、バフェットなど億万長者8人に学ぶ「はじめての仕事」を見つける方法
第6章 13歳からの起業入門
第7章 貯めて、貯めて、貯めまくる
第8章 複利は宇宙最強の力
第9章 投資という名の冒険に出よう
第10章 億万長者にならない方法
おわりに あとは行動あるのみ
①億万長者だけが持っている「億万長者マインドセット」
「億万長者マインド」
この著者によると、1億円を貯めるという目標にコミットすることから入るんだそうです。
まず、億万長者になる秘訣は、みんなが持っているからという理由で、最新のものを買ったりしない。
億万長者のように考えるというのは、お金を使うのではなく、やりくりで貯める方法を見つけるということだそうです。
そのためには、
1.(目標に)集中する
1億円の貯金という最終目標に近づくことに、集中する
2.辛抱する
億万長者は、長い時間をかけてたくわえを増やし、投資し、じっと町、虎の子(投資)を守り、その間も定期的にさらにお金を貯め、それが育つのを、長い時間かけて見守る
3.(周りと合わせない自分に)自信を持つ
飛び抜けてたくさんのお金を貯めるためには、最新のファッションや車やテクノロジーを身に着けるなどせず、みんなとは違う独立したマインドセットが必要となる
4.賢い知識を得る
億万長者になるためには、お金について理解し、お金の貯め方、増やし方、守り方を知る必要がある。
この集中を保ち、辛抱強く、自信をもって、賢い知識を得ることに当たれば、お金を増やせる可能性が高くなる。
では、沢山のお金があるのはなぜいいと考えるのか。
それは、お金があれば選択肢が増える。
1つに自由を買うことができること。
2つ目にいざという時の備えになること
3つ目に誰かを助けられること
を著者たちは挙げています。
更に、お金を稼いで貯金し始める時期が早ければ早いほど、お金を育てる時間が長く取れる。
ある程度までお金を貯めたら、そのお金に働いてもらってさらにお金を作り出してもらう。
そのためには、億万長者マインドを持つことから始めるんだそうです。
②自分宛てに10億円の小切手を切った男の10年後
目標金額達成のために、その時間軸を3つに分ける。
今から1年以内の短期目標、1年から10年の中期目標、そして10年より先の長期目標と分け、それぞれ目標を立てる。
例えば短期目標で10か月後までに100ドルためるなど。
また、中期目標として車を買う、旅行する、20歳までに一人暮らしを始める、ヨーロッパ旅行に行く費用5000ドルを貯めるなど。
更に長期目標は、10,20,30,40年、さらにはもっと年を取ってからの目標。
歳を取ってからいつか突然「13歳のときに長期目標を考えておくべきだった!(つまり気づいたときには、億万長者になれる時間が残っていない)」と気づく人はすごく多いそうです。
そして目標をはっきりさせたら、自分の望みを詳しく書き出す。
さらにそれを毎日見える場所に貼っておく。
実は、自分宛てに10億円の小切手を書き、10年後の振込日付とし、「演技の対する対価として」と付け加えて、小切手を財布に入れて持ち歩いた俳優。
それが俳優のジム・キャリーさんで、実際に達成したそうです。
どんな未来を手に入れたいかを自分ではっきりさせ、目標を設定して計画を立てる。
そして常に状況に細心の注意を払い、定期的に進捗を図る。
具体的な金額目標のある計画を立てることが、経済的に自律した未来の土台になるそうです。
また、貯蓄の方法もまず自分自身が貯蓄する額を決め、支出する予定のものもすべて書き出す。
そして実績も把握することで、予算と決算比較をし、コントロールできることを書いています。
③1万円を手に入れるお小遣い大作戦
この本は、13歳向けに書かれた本のため、お金をどう得るかから入ります。
①お小遣いの一部を貯め、経済的な自由を手に入れる道のりの簡単な一歩の紹介。
そのためには、手伝いリストの項目を増やし、小遣いの金額を上げる。
②次に仕事をする。
家のちょっとしたお手伝いで、納屋のペンキ塗り、車寄せに生えている雑草の引き抜き、お父さんの下着のアイロン掛けなど、なんとか最初の1万円に近づく。
③また、もらったプレゼントの大部分を銀行に貯金して、プレゼントをくれた人に、1億円という長期目標のために役立てていることを伝える。
④お金を借りる。
⑤金利または投資リターンを稼ぐ。
この5つのいずれかの方法でお金を手に入れ、短期目標の1万円を貯蓄口座に入れることが出来たら、目標を2万円、5万円、10万円、その後は50万円、100万円の大台を目指す。
運用の元になるお金が貯まったら、お金を増やす秘密のアクセル、複利という宇宙最強の力に踏み込むことを解説しています。
④初めての仕事を見つけるための5ステップ
次に、この本では、初めて外部から仕事を受けることについて解説しています。
一番先にやらなければいけないのは、自分にできそうな仕事をまとめること。
片側に君のスキル、もう片側に君の興味を書く。
両側がマッチするのはどんな仕事か。
接客が好きか。動物が好きか。
などから仕事を探す方法。
また、家族や友人に若い時にどんな仕事をしていたのか聞く方法もあります。
ちなみに、アメリカでは15,16歳からでないと雇用者が雇用できないと法律で決まっているが、家族経営ビジネスで親のために働く、友達やご近所のために仕事の内容と時給を決めて働くこともできる。
また、初めての仕事を見つける5つのステップとして、①求人を見つける。
家族や友達、採用情報を調べたり、レストランに立ち寄ったり、ウェブサイトの求人を見たりする。
そして②応募。
個人情報、これまでやった仕事、照会者を準備する。
③履歴書を用意し、名前と連絡先、目的、学歴、職歴、他のスキルなどを書き込む。
④面接を受ける。
そのために①企業をあらかじめ調べておく、②練習する、③好奇心を持つ、④自信を持つ、⑤フォローアップするといったステップで面接に対応する。
⑤そして失敗しても、あきらめずに挑戦する。
このようにアルバイトをする手順について、本書では説明しています。
⑤13歳からの起業入門
本物のすごーいお金持ちは起業している。
お金を稼いで1億円貯めようと思うなら起業を真剣に考えてもよい。
この著書では、起業の良さを6つまずは紹介します。
①起業は楽しい。②大金を稼げる。③子供の時こそなんにでも挑戦できる、④上司がいない、⑤大失敗できる
そのための起業のアイデアがある場合、次の4つのステップを踏むとよいとあります。
ステップ① すんごいアイデア。
すんごいアイデアに共通する四つのD。①ちょっと違うもの(Different)、②人がほしがるもの(Desireble)、③ワクワクするもの(Dynamic)、④実行できること(Doable)、
また、楽しんでやっている答えからお金になるアイデアを持ってきたり、すごく得意な答えからお金になるアイデアを。
もしくは君が大切にしている答えからお金になるアイデアを。
更にはみんなが必要としているけど誰も持っていない答えからお金になるアイデアを。
君が心から尊敬する人、その人の職業からお金になるアイデアをなどという発想もあるそうです。
アイデアができたら、マーケテイングにこだわる。
具体的には①プロダクト、②プライス、③プレイス、④プロモーションを考える。
更に利益が出るか検討し、商売をスタートし、お金の流れを記録する。
こんな起業に向けたステップに触れています。
⑥複利は宇宙最強の力
1万円を貯蓄口座に入れると利子が付く。更に1年後には、元本だけでなく利子にも利子が付く。
つまり、1億円を手に入れるのに、1億円を貯める必要はなく、一定金額を貯めれば、ためたお金が複利で増える。
元本と利子が積みあがっていくにつれ、お金の増え方がますます早くなっていく。
例えば、金利8%の場合、30年で1億貯めるには、月に7万600円の貯金。総投資額2541万円必要。
40年で1億円貯めるには、月3万900円の貯金。総投資額1483万円。
更に50年で1億円貯めるには、月1万4000円の貯金。総投資額840万円
となるそうです。
つまり複利を利用することが、早く1億円に到達する秘訣ということを教えています。
⑦投資という名の冒険に出よう
貯蓄口座の1万円に年利が1%つく場合、投資で5%のリターンがある場合、別の投資で10%のリターンがある場合を比べる。
20年後の1%のリターンは1万2千円に対して、5%のリターンは2倍以上の2万7185円、10%の場合は7倍の7万3870円。
ただし、貯蓄と違って投資には保証がないため、賢い投資家は、お金の一部を投資する。
その対象は、譲渡性預金、株式、債券、不動産、企業オーナー、コモデテイ、アートとアンテイークなど様々ある。
いろいろなものに投資できるが、長い目で見ると、他の投資対象より株は歴史的にパフォーマンスがいいこと、また割安株を見つけ、みんながそれに気が付くまで持ち続ける「バリュー投資」の手法も紹介しています。
更に待ち時と売り時を知り、時間を味方につけ、長期に持ち続けた投資家が最後に勝つ可能性が高いことも挙げています。
⑧億万長者にならない方法
この章では、1億円が夢に終わる人の5つの共通点として以下を挙げています。
1.入ってくるよりもたくさんのお金を使ってしまう
治療法 予算を立てる、いくら使っているかを把握する
2.借金を繰り返す
治療法 現金化デビットカードを使い、現金がたまってから買い物をする
3.計画性がない
治療法 短期、中期、長期の資金目標を立てる
4.ギャンブルに手を出す
治療法 とにかくやらない。最後は必ず胴元が勝つ
5.うそのもうけ話や詐欺に引っかかる
治療法 どんな詐欺があるか知って引っかからないようにする(ねずみ講、投資詐欺、なりすまし、奨学金詐欺)
⑨自分の所感
アメリカでは、こんな金銭教育を中高生から受けているのかとびっくりしました。
アメリカの人気番組「Biz Kid$」という子供向け経済教育番組が2008年からスタートし、その内容をもとに金銭教育プログラムを立ち上げ、本書も出来たんだそうです。
これでは、アメリカでビリオネアが生まれるわけだと感心した次第です。