「19歳までに手に入れる7つの武器」を読んで

精神科医の樺沢紫苑さんには、Youtube、本を通じてだいぶお世話になっています。

アウトプットの大事さや、頑張りすぎない考え方、睡眠/運動/朝散歩の重要性など、私自身が生きる上で、だいぶ樺沢さんの考え方を取り入れてきました。

今回は、若い人(学生)向けに書いた「19歳までに手に入れる7つの武器」を紹介します。

この本では、人生の成功法則は、「整え、つながり、行動する」。

これを一つ一つ丁寧に説明しています。

この反対、世の中のほとんどの人は、真逆にことをやっていると樺沢さんは言います。

睡眠不足や運動不足、スマホのやり過ぎで整っていない。

コミュニケーション不足で、人とのつながりがない。

相談しない。

新しい挑戦はおろか、失敗をおそれて行動しない。

目次

STEP1 整える

第1の武器 整える力

第2の武器 レジリエンス

第3の武器 コントロール力

STEP2 つながる力

第4の武器 つながる力

第5の武器 読解力

STEP3 行動する

第6の武器 好奇心

第7の武器 アウトプット力

➀あなたの悩みの根本原因は「お疲れ」

朝起きたときに、

「頭がボーっとする」

「疲れが取れない」

「もっと寝ていたい」

それは心も身体もお疲れの状態でまるで整っていない。

整っているとは、8時間以上の睡眠、夜更かしをしない、1週間に計2時間以上の汗を流すような運動、バランスの良い食事。の4項目がすべてそろっている状態をいうそうです。

様々な要因はあるにせよ、夜更かしや睡眠不足によるお疲れによって日々のストレスを解消することができない。

心と身体が整っていれば、学校で嫌なことが多少あっても、スルー出来る、やり過ごすことが出来る。

一方、この整った状態にない人が8-9割を占めるそうです。

まず最も重要なことは、質の良い睡眠をしっかりとること。

夜更かしをせずに、昼夜逆転にならない。同じ時間に寝て、同じ時間に起きる。規則正しい睡眠時間を8時間確保することで、大半の悩みが解消する。

では、睡眠不足の悪影響とは何か。

➀職場、学校の成績が悪くなる。

②記憶が定着しない。勉強や練習の成果が出ない。

③脳が成長しない。脳が破壊される。

④ミスが多くなる。発達障害と勘違いする。

⑤意欲が低下し、何もする気がなくなる。

⑥体調不良になる、自律神経が乱れる、起立性調節障害になる

⑦モテない、外見的魅力がなくなる

⑧感情が不安定になる。人間関係が破壊される。

⑨うつ病、自殺、依存症のリスクを高める

⑩不安が強まる

では、睡眠不足を解消するためには、何が大事か。

一つは夜更かし厳禁。

十台の睡眠が短くなる最大の原因はインターネット、スマホやゲームの長時間利用。

人間には体内時計が備わっていて、タイムスケジュールに従って、昼に出る脳内物質、夜に出るホルモンと時間によって変わるのですが、体内時計がズレるとこの分泌が不安定になる。

夜更かしは、睡眠不足に加えて「体内時計のずれ」という追加ダメージを与えるのだそうです。

この体内時計を整えるための樺沢さんの提案は、「朝食」をとる事と「朝散歩」をすること。

朝起きてから1時間以内に、5-15分程度、姿勢よく、リズムよく、やや早足で散歩する。

それだけで体内時計がリセットされ、セロトニンが活性化するそうです。

更に、運動することで、集中力が高まること。

そして、「ダイエットしない」「朝食をとる」だけで、栄養が行き届き、成長する。

脳の6割は脂質で出来ており、脂質の内訳は、コレステロールが50%、リン脂質とオメガ3脂肪酸が25%ずつ。

このオメガ3脂肪酸の代表格となるDHA(ドコサヘキサエン酸)は、体内で合成することができず、食事から摂取しないと不足するそうです。

更に幸福感をもたらす三大幸福物質の二つとなるセロトニンやドーパミンをはじめ、神経伝達物質を合成するには、アミノ酸が必須となる。

特に朝起きたときの血糖値が非常に低いため、朝食を食べてエネルギーを補充する。

朝食によって初めて脳と全身の体内時計が同期し、絶好調の状態が作られるそうです。

②「心のしなやかさ」が人生の分かれ道!

レジリエンス。

言い換えると「回復力」「復元力」「心のバネ」、「心のしなやかさ」ともいうそうです。

精神医学では、「落ち込んだときに、そこから立ち直る力」「ストレスに打ちのめされたときに回復する力」をいうそうです。

更にストレスをスルーする(やりすごす)ことができるようになるのもレジリエンス。

レジリエンスが高ければ、いちいちクヨクヨしない。

つらいことでも、心に余裕をもって冷静に対応できる。

仮に落ち込んだとしても引きずらない。

人間関係も融通を利かせて余裕をもって対応できる。

それがレジリエンスが高い人の特徴だそうです。

尚、レジリエンスが高い人は、ストレスに強いという意味ではなく、ストレスを受け流すことが出来る人だそうです。

失敗や挫折、人から叱られた経験がなく、トントン拍子の学生時代を歩んできた人ほど、社会人になってからキツイ。

ではレジリエンスを高めるには、どうすれば良いか。

一つは100回挑戦し、転んで起き上がる。

そして失敗を失敗のまま放置せず、その理由を自分で必死に考え、次のチャンスに活かすようフィードバックする。

この若いうちに失敗をすることが十代の特権。

いくらでも失敗できる絶好のチャンス期にいると樺沢さんは言います。

次に、第3の選択肢を持つ。

成功か失敗か、好きか嫌いか、物事を二者択一で判断する思考パターンを0/100思考といいますが、考え方が極端になる。

一方、物事には、「イエス」と「ノー」以外の「普通」「中間」「ぼちぼち」という状態もある。

何か判断するとき、0か100かではなく、中間はないのかと考えるとすごく楽になる。

「それ以外の方法は?」「そうでない考えは?」「そうでない選択肢は?」

第3の選択肢を考えるだけで、人生の可能性が無限に増えていく。

これもレジリエントを高める考え方だそうです。

更に、ニュートラルな視点を持つ。

初対面の人と会った時、多くの人は即座に「好き」「嫌い」で判断しがちですが、「少し話してから判断しよう」と考えるのがニュートラル。

「今すぐ判断しない。情報を集めてから判断しよう」「先入観を持たない」。

その為には、物事を客観視するためのアウトプットをする。

例えば日記を書くなどして一日の出来事を振り返ることで、自分自身と向き合う。

アウトプットしたら必ずフィードバックをする。

更には悪口を言わない。

むしろ人をほめる、励ます、応援する、親切にする、相手のよいところを言ってあげる。

それによって人間関係も深まり、自分の自己肯定感も高まるそうです。

③思考を整える第3の武器 コントロール力

コントロール力とは、スマホやゲームをする時間をコントロールするという意味なんだそうです。

スマホを保有する高校生の半分が、依存症かその予備軍。

スマホが脳と健康を破壊する理由として、集中力、注意力が低下。

睡眠時間の減少。

コミュニケーション力の低下など15個の理由を挙げており、スマホ利用をコントロールするために、

①スマホの利用を記録する事、

②夜10時以降は使わないなど門限を決め、ルールを設定する事、

③スマホよりも楽しいことを見つけること

などを挙げています。

④人とつながる第4の武器 つながる力

職場のストレスの9割は、人間関係が原因というそうです。

つながる力が低いと、上司、先輩、同僚、部下との最低限の人間関係が築けない。

取引先、クライアント、お客様との関係がうまくいかない。

それが非常に大きなストレスになってダメージを与え続ける。

メンタルの患者さんの共通点は、コミュニケーション下手であり、他人の力を借りないこと。

何でも自分ひとりでやろうとします。

例えばRPGであなたが戦士なら、僧侶や魔法使いの手助けは必須なのと同様、一人でダンジョンに潜るよりも、6人のパーテイーで協力して戦えば6倍の力が発揮できる。

困ったら人の力を借りればいい。

「助け」や「助言」を求めていい。

最低限の「つながる力」がないと、社会人として生き残れない。

そのためには、今から繋がる力を育て、仲間と繋がることが大事だと樺沢さんは言います。

その為には、リアルで会い、話し、遊ぶ。

その中で目の前にいる相手と本音の会話をし、自己開示をする。

自分の思っていることや考えを相手に伝え、相手が思っていることを受け止める。

この受容や承認の結果が安心となり、繋がりのホルモンである幸福物質オキシトシンを分泌させる。

次に、相手の顔色を読み、自分の目と表情で伝える。

相手の微妙な目の動きや細かい表情の変化といったものを瞬時に理解し、相手の感情を読み取る力は社会人には絶対に必要なスキルであること。

最後に部活、サークルを楽しむこと。

先輩、後輩との人間関係は気遣いと苦労が伴いますが、ここで上下関係のつながる力が圧倒的に鍛えられる。

更に樺沢さんは友達を作る事にも言及しています。

⑤情報とつながる第5の武器 読解力

「困ったら相談しよう」といっても、「相談出来る人がいない」ケースもあります。

そんな場合情報と繋がればよい。

それらは、「本を読む」「ネットで検索する」「Chat GPTに質問する」などの方法で簡単に利用することができる。

例えば何をしたらいいかわからず、前に進めず、苦しんでいる状態が悩みである一方、その解消のためにやるべきこと、つまりTo Doが明確であれば悩みではない。

ただやるべきことをやっていないだけの状態である。

このTo Doを行動化すれば、停滞や思考停止の状態から抜け出せるので、悩みは確実に、少しずつ改善していく。

悩んだら、迷ったら「人に聞く」「集合知を活用する」。

自分で調べれば「To DO」「何をすべきか」「対処法」は一瞬でわかる。

あとは行動するだけです。

多くの人がさまざまなことで悩んでいるかもしれない。

しかし、その悩みはすでに誰かが答えを出している。

例えば、人間関係がうまくいかない。

勉強ができない。

将来が不安だ。

恋愛がうまくいかない。

お金がない。

ありとあらゆる悩みや問題に対して、すでに対処法が示されている。

あなたは本を読んで、その対処法を実行していけばよい。

しかし、殆どの人は何もしないで悩んでいる。

何もしないから停滞する。

前に進めない。

だから「悩み」の状態が続くと樺沢さんは指摘します。

実は本とネットの中に「答え」はすでにある。

そこにアクセスしないのは、読書をする習慣がないからだと言います。

本を読まない人は、当然ながら「本で悩みを簡単に解決できる」ことを知らない。

つまり、悩みを抱えていても、解消できずに悩み続ける人が2人に1人なんだそうです。

更に年間100冊読んでも目立った結果を出していないビジネスパーソンはごまんといる。

本を読むなら、内容をしっかりと理解してその知識を吸収しなければ、意味がない。

本や文章を読んで内容を理解する。

文脈を理解する力、著者が伝えようとしていることを汲み取る力が必要だといいます。

ではその読解力を高めるためには、本を読んだらアウトプットをする。

本を読んだら感想を話したり、書く。

更に感想を書くことを前提に本を読むことがインプット×アウトプットで深く読めるようになる。

すなわち読解力が養われるそうです。

⑥楽しいを見つける第6の武器 好奇心

整えて、つながったら、自分から行動を起こしていく段階となります。

そこで、正しい方向に進むための人生の方位磁針(コンパス)となるもの。

それが好奇心です。

実は、大人になっても「毎日が楽しい人」はたった31%。

好奇心がない人は、やりたいことがなく、何をやっても楽しくなく、趣味もなく、夢中になれることもなく、毎日が暇。

一方、好奇心がある人は、楽しいことを発見できる。

その結果、自分の強み、特技、個性、可能性に気づくことができる。

好奇心こそが「成功」への最短の近道であり、成功への条件だと樺沢さんは考えるそうです。

整えるは、セロトニン、つながるはオキシトシン、行動するはドーパミン。

それに対して好奇心はアセチルコリン。

つまり新しい場所へ行き、新しい体験をして、初対面の人と会ったとき、「それ、面白そう!」と感じると分泌される脳内物質だそうです。

その為には、新しい人と会う、行ったことのない場所に行く、やったことのないことをすることで視野が開けると樺沢さんは考えるそうです。

⑦新しい自分になる第7の武器 アウトプット力

自己成長する最善の方法、それは、アウトプット力。

それは、「インプット→アウトプット→フィードバック」を繰り返す、つまり「アウトプット・サイクル」を回すことが、アウトプット力の最大のトレーニングであり、究極の自己成長の方法なんだそうです。

つまり、インプット「読む」「見る」「聞く」を行い、アウトプット「話す」「書く」「行動する」、そしてフィードバック「振り返る」「見直す」「修正×反省」「改善点を洗い出す」この3つを繰り返すことです。

学校の授業、自宅学習、友人との会話、部活、サークル、本を読んでもアニメを見ても、日々の生活すべてでアウトプットサイクルを回すことができる。

実は、このインプットとアウトプットの黄金比率は「3対7」が最も効果的に記憶に定着することが報告されているそうです。

つまり、教科書を読んで内容を理解したら、問題をどんどん解いた方がいい。

15分教科書や参考書を読んで、ある程度理解が進んだら、30-40分問題集を解くことで、アウトプットの黄金比率「3対7」に近づくそうです。

尚、樺沢さんが、若い方へのメッセージとして、将来、充実した楽しい毎日を送るために、今、何をすべきか解説した背景として、今から10年後、インプットばかりでアウトプット力がない人、つまり自分で考え、自分で決断し、積極的に行動できない人は、仕事がなくなると言います。

つまり「言われたことを、言われた通りにやる」だけの仕事は、すぐにでもAI(ロボット)に取って代わられるからだといいます。

一方、AIはインプットされた命令は確実にこなしますが、自分で考え、自分で決断し、自分から積極的に行動することはない。

従って、好奇心が豊かで、さまざまなアイデアを提案できる人は、やすやすとはAI(ロボット)に仕事を奪われないそうです。

言われたことを言われた通りに推敲する、上司の指示通りに働くことを「インプット仕事」という。

令和の時代は、やり方、書式、マニュアルなどが決まっている仕事はプログラム可能で、AIに任せれば、文句も言わず休みなしで稼働してくれる。

では、あなたがやるべきなのは、自分で考え、決断し、新しいアイデアを盛り込み、より良いものへと改善していく「アウトプット仕事」なんだそうです。

それは、自分ならではのオリジナリテイや、0を1にする創造性を工夫して織り込むことだそうです。

尚、アウトプット力を鍛える3つの方法として、

①本を読んだら感想を書くことで、絶好の経験値獲得&レベルアップのチャンスとなること、

②日記を書くことで、一日を振り返り、自分と向き合うことでレジリエンスを鍛えるトレーニングになる、

③情報発信することで、人に見られる、人に読まれるという適度な緊張感が脳を活性化させる。

つまり、アウトプットのツールとして活用するのが良いといいます。

⑧自分の所感-学生でも社会人でも活用したい一冊

私が樺沢さんの本やYoutubeに出会ったのは、前の会社に在籍した際に、仕事で頑張りすぎて3か月ほど休むことになったりしたことがきっかけでした。

その頃から身体を整えることの重要性。

朝散歩して朝食を食べ、昼仕事したら夜はゆっくり過ごすという一日のサイクル。

そして、インプットしたら、アウトプットする事を意識する。

今はキーワードに絡んだニュース記事を一日100本ぐらい読み、面白いと感じた内容をピックアップし、共有。

更に、本の書評を通じて、優れた著者と繋がる可能性も出てきました。

この本は、小中学生に向けた本に見えますが、中身は、樺沢さんのこれまでの主張をまとめた集大成に思えます。

学生の方でも社会人の方でも、是非読んでみるとよいのではないかと思います。