「THE THREE HAPPINESS 精神科医が見つけた3つの幸福」を読んで

本日は、精神科医である樺沢紫苑さんが書かれた「THE THREE HAPPINESS 精神科医が見つけた3つの幸福」について、書評していきます。

樺沢さんは、元々精神科医として働き、2004年からアメリカ イリノイ大学に3年間留学後、樺沢心理学研究所を設立。

「情報発信を通じてメンタル疾患、自殺を予防する」をビジョンとして、本、Youtube、ブログなどを手掛けています。

執筆の方でも、「Output大全」「Input大全」など、ベストセラーになった本も多く、精神科医という切り口だけでなく、様々な活動を通じて得たノウハウをコツコツ貯めて、継続的にOutputしたことで、世間の一般の人にまで読者層を広げることとなった、ある意味書籍界のスターではないかと、私は考えています。

この本では、「仕事を一生懸命頑張りすぎれば、メンタル疾患になる!」「仕事以上に「大切なもの」をないがしろにして、必死に働くから不幸せになる」

これが樺沢さんが精神科医として患者と対峙してきた結果得られた結論です。

その幸せとはどう定義され、「幸せになる」ための答えを幸福物質の存在や、実践的な面から書いた本となります。

以下が目次です。

第1章 幸福とは、「脳内物質」だった!

第2章「3つの幸福」のイメージを固める

第3章 幸せの「4つの性質」を知っておく

第4章 セロトニン的幸福を手に入れる7つの方法

第5章 オキシトシン的幸福を手に入れる7つの方法

第6章 ドーパミン的幸福を手に入れる7つの方法

第7章 人生が変わる「お金」「遊び」「食」の習慣

最後に 幸福なあなた、幸福な世の中

①幸せの土台は、「①心と体の健康」「②つながり・愛」「③成功・お金」の3層構造にある

人はえてして「成功・お金」を追い求めるが、「心と体の健康」「つながり・愛」をおざなりにすることで、幸せを得られなくなるケースが多い。

幸せに感じる脳内物質/ホルモンは、ドーパミン=成功・お金、セロトニン=心と体の健康、オキシトシン=つながり・愛の3つが注目されているが、まず「心と身体の健康」があり、「つながり・愛」があり、そのうえで「成功・お金」全てを手に入れることができる

これが、筆者が最も伝えたい最初のポイントです。

②セロトニン的幸福を達成するには?

セロトニン的幸福とは、「心と体の健康」を得ることだといいました。

具体的には、「体調が良い、リラックスできる、集中力が高い、爽やか、健康である。」などです。

この幸福は普段「当たり前」なので、「気が付かない幸福」です。

逆に健康を失って初めて知るのです。

このセロトニンを出す3つの方法として、樺沢さんは3つ挙げています。

「朝散歩」「運動」「睡眠」です。

また、

・「小さな不調」に気づき、予防する。

・「今楽しい、毎日楽しい」を積み上げる。

・3行ポジテイブ日記を書く。

・悪口を言わない。

・緩急をつける-昼はバリバリ働き、夕方からリラックスし、夜はぐっすり眠る

なども挙げています。

③オキシトシン的幸福を達成するには?

オキシトシン的幸福とは、「つながり・愛」を得ることだといいました。

その為には、スキンシップを持ったり、仲間との交流を図ったり、親切なことをしたり、感謝したりすること、ペット(動物、植物)を育てる、他人を信頼するなどがあることを述べています。

尚、樺沢さんの特徴的なアドバイスとして、職場の人間関係は、「みんなと仲よくしよう」「誰からも嫌われないようにしよう」という人がとても多いが、優先度をつけて、家族・友人・職場関係を軸に全体で5-6名、重要な数人とだけ、親しい関係を作ることが大切だと述べています。

特に「家族」「友人」と盤石な人間関係を育てることで、結果として職場人間関係も改善すると述べています。

④ドーパミン的幸福には光と闇がある

ドーパミン的幸福、つまり「仕事の成功」「社会的成功」「お金」「社会的地位や名声」が、一般的には幸福として想定する人が60%程度いるそうです。

ドーパミンは「もっと頑張ろう」「もっとすごい結果を出そう」「もっと便利にしよう」など、もっともっとという感情ややる気、モチベーションを引き出してくれます

また、ドーパミンは「学習物質」とも言われ、集中力、生産性、モチベーションが上がり、記憶力が高まる効果もあるそうです

一方で、「「努力して結果を出して得られる幸せ」よりも「今すぐ手に入る幸せ(快楽)」へと向かいやすい。

このことが、お酒、ギャンブル、買い物、ゲームなどの依存症になっていくになることで、「仕事に行けない」「学校にいけない」状態になり、人生を失うことにもなります。

また、ドーパミン的幸福を得るには、お金や物に「感謝する」、享楽的な快楽を制限する、毎日の自己成長を味わう、自己肯定感を高める、与える、天職を見つけることだと述べています。

⑤自身の所感について

樺沢さんは、精神科医として、何人もの患者を診る中、このまま一生精神科医を続けていても、多数の患者の病気を治せない。

メンタル疾患を治すには、予防が一番効果があると判断し、そのような発信を行ってきました。

私も、一時期仕事のし過ぎで不調になった際に、樺沢さんの動画や本を見て、朝散歩や睡眠を一番重視する事、またお酒を止めたり、それまで仕事一辺倒だった一日の生活リズムを見直したりなど、色々とアドバイスに従って、生活を変えていきました

この本の内容は、その集大成的なところがあるので、いきなり全てを取り入れるのは難しいと思いますが、身体が不調な方も、そうでない方も、まずはセロトニン的幸福を高める工夫をされては如何でしょうか。