本日は野原秀介さん著作実業之日本社出版『投資思考』を紹介します。
金融の視点で自分の生き方を切ると言う手法はあまり自分自身読んだ事がなく、新鮮に感じた部分があった事。
また過去に紹介した『金儲けのレシピ』を書いた事業家botの推薦という事で、一体どんな話なんだろうと興味を持ったのがきっかけです。
野原さん自身は1991年生まれ、東大からゴールドマンサックス証券に入社し、今はxcapitalという会社を創業したそうです。
年次で計算すると2014年新卒入社、2018年会社創業,現在33歳という計算になります。
第1章 基本編
第2章 応用編
①時間を味方につける/資産を積み増す/Exitから考える
生きる人全てに通じる人生にとって非対称的なものは何か?
それは過去から未来に進む時間であり、投資の世界で複利は人生最大の発明という時間の流れを味方につけ、時間の経過が自分にとって有利になるような意思決定をし続けることが重要だと言います。
日常業務に忙殺されるのではなく、本質的な理解に努めたり、起業準備や資格の勉強など、緊急ではないが重要な仕事に取り組む時間を朝7-9時などで確保した上で残りの時間を他の仕事に充てるなど、自分の成長に投資をして昨日より今日、今日より明日と常に自分を高みに押し上げる意思決定をするべきだと言います。
また、自分のお金の使い方だけではなく時間の使い方も含めてバランスシートを意識する。
お金も時間も消費ではなく投資をしてバランスシートの資産を増やすという考えが大事だそうです。
更に投資をするにも事業をするにも全てexitシナリオを描く。
著者は、プロトタイプの商品を作成し、ユーザーインタビューを実施。
上場のリアクションを得て採算の会う価格を設定してローンチしたが、実際にお金を払ってくれる顧客は見つからなかった経験から、お金を払ってでもそのサービス・商品を利用したいという顧客が見つかっていることが一番大事な要件は満たしていること。
つまり最終的な完成イメージを具体的に描き切ってから、そのパーツを集めるような順序で進めるのが鉄則。
会社を売却して資産を築くことが目的か、自分の働き方を実現することが目的か、自分の想いを実現させるための手段が会社経営か。そこから逆算して準備を進めることが大事なんだそうです。
②マーケットは常に正しい/IRRで考える/流動性を意識する
高い成果を生み出すために、より良い人生を生きるために必要不可欠なのは、目の前で起きていることを正として受け入れる姿勢、成功するために必要なのは、自分の考え方ややり方に固執しないこと。
更に常にIRRを意識して考える。
つまり手前の結果にはより価値があることを意識する、30歳になってから海外旅行に行って語学力の必要性を痛感するのと、同じことを20代で経験することでキャリアや人生の幅が変わってくる。
会社の予算を第三四半期に達成するのと年度末ギリギリになって達成する場合。残り3ヶ月を次の成績に向けた仕込みに使うことで変わる。
『いつでもできる』ことは徹底して前倒しして実行することが、IRRの高い投資思考に沿った生き方だと言える。
期限を決めてそれに向かって仕事をするのは、期限に合わせた仕事をする癖がつき、これはIRRを破壊するに等しい行為だと言います。
更に将来時点で選択肢があること自体が価値であるというオプションの発想。
これは例えば現職で働くことと転職先で働くこと、更に将来転職するというオプションで考えるべきだと著者は言います。
例えば第二新卒枠を設定する企業がある通り、若さそれ自体に価値があり、時間と共に将来の幅が狭まり、その価値が失われていく。
更に流動性の考えを入れていく。
例えばある上場企業のCFOは毎日の取引量を気にしている。
何故なら流動性が高ければ、機関投資家などの投資が入らず、株価が上がらない。
これをキャリアで言い換えると、
1.プロジェクトマネジメント経験、
2.会計知識
3.法人営業経験、
4.システム、エンジニア
などは流動性の高い職種であり、買い手が多い職種です経験を積むべきだというのが著者の意見です。
また、筆者の考えだと給与=企業の生み出した付加価値✖️労働者への分配率。
そして企業の生み出した付加価値=投下した労働力✖️資本装備率✖️資本生産性で表すと資本装備率の高い業界、ディベロッパー、一方低い業界を外食産業と捉え、資本装備率の高い業界で働くことを勧めています。
(尚、この考えは私はあまり賛成できず、例えばレーザーテックやローツェなど需要が高まる中、参入障壁の高く成長する企業に勤めることが大事だと思います。)
③ポジションを取る
自分自身の考えを拠り所になんらかのリスクを取ること。
つまりポジションを取る。
そのためには自分自身の頭で考え価値を見極め、ポジションを取り、その結果も自分自身で受け止める。
多くの人が気づいていないことに、自分だけが気づくことで、後から追いかけるようにポジションを取った人があなたのポジションを勝手に押し上げ、利益をもたらすというのが著者の考えです。
④顧客との精神的な繋がりを構築する
競合プレーヤーが真似できない価値を生み出す。
その一つの手法としてクライアントと人間関係、精神的な繋がりを構築することが競合優位性を作れると著者は考えるそうです。
そのためには、自分が相手の勝手なファンになることだそうです。
更に勝ちパターンを見つけたらそれを徹底的に繰り返すことで成果を上げ続けることが大事だそうです。
⑤自分の所感
金融の発想を人生の考え方に活かして考える。IRRの考え方やマーケットが常に正しいと言う視点は自分にとっても面白かったです。
また、ポジションをとるというのは、いいですね。
投資でも個人事業を目指すでも、説得力がありました。
業界知見や個別知識は浅いと感じるものの、この著者のように、個人の人生を充実させたいと考える若い人が沢山増えるのだろうと感じました。