「2か国を連続して回る」ことで見えてきた海外市場の変化

海外営業をしていると、出張先では目の前の顧客との商談に集中しがちです。

私は以前、東南アジアで鉄鋼プラントの営業をしていた頃、ベトナムとインドネシア、タイに頻繁に出張していました。

ただ、私の場合、契約交渉の最終局面など特別な場合を除き、1回の出張で1か国だけを訪問することはなるべく避けていました。

例えば、

ベトナム→インドネシア

というように、2か国連続して訪問するようにしていました。

今振り返ると、これは単なる出張効率の問題ではなく、海外営業における一つの「市場分析の方法」だったと思います。

なぜベトナムとインドネシアだったのか。

2010年代頭は、ベトナムでは鉄鋼プラントへの投資が活発でした。

国内市場だけではなく、アメリカやオーストラリア、タイ、インドネシア、カンボジアなどへの輸出も視野に入れた事業展開が多く、欧州を含む海外から新しい技術を導入する事にも積極的でした。

一方、インドネシアには東南アジア最大級の人口を背景とした大きな国内市場がありました。

私から見ると、

「現在、具体的な投資が動いているベトナム」

と

「将来的な設備投資の種がありそうなインドネシア」

という異なる市場を見ることができました。

この2か国をセットで見ることで、目の前の案件だけでなく、東南アジアの鉄鋼市場全体の変化を考えることができました。

ベトナムで得た情報をインドネシアで使う

2か国を回る事の大きなメリットは、それぞれの国で得た情報を次の国で活用できることです。

例えばベトナムの顧客との面談で、

・どのように設備投資が行われているのか

・どのメーカーの設備が採用されているのか

・どの市場を狙っているのか

・アメリカ市場で何が起きているのか

・欧州メーカーからどのような医術を導入しているのか

といった情報を得ます。

そして、その直後にインドネシアの顧客を訪問する。

そこで、

「ベトナムでは今、こういう投資が進んでいます」

「このような技術を導入しようとしている企業があります」

「アメリカ向け輸出ではこういう動きがあります」

と伝える。

すると、単なる「ベトナムの情報」ではなく、自分たちの市場を考えるための比較材料になります。

顧客にとっても、

「ベトナムではそこまで進んでいるのか」

「インドネシアではどうなのか」

という新しい視点が生まれます。

営業としても、単に自社製品を説明するより、はるかに深い会話が出来ました。

「日本・ベトナム・インドネシア」を比較する

さらに面白かったのが、時間軸を含めて3か国を比較できることでした。

例えば、

日本→ベトナム→インドネシア

を並べてみる。

日本では既に成熟している技術や市場動向が、ベトナムではこれから普及している。

そして、その動きが将来的にインドネシアにも波及する可能性がある。

もちろん、すべてがそのままあてはまるわけではありません。

しかし、

「日本で起きたこと」

「現在ベトナムで起きていること」

「これからインドネシアで起こるかもしれないこと」

を比較すると、単独の市場を見ているだけでは気づきにくい変化が見えてきます。

これは海外営業にとって非常に重要なことだと思います。

既存顧客と新規顧客を一つの出張に組み込む

もう一つ意識していたのが、既存顧客と新規顧客を同じ出張に組み込むことです。

ベトナムには既存顧客がいました。

そのため、ベトナムでは単純な新規営業だけではなく

・アフターサービス

・既存設備の状況確認

・顧客の事業環境の変化

・今後の投資計画

などを確認する。

そして、その後にインドネシアへ移動し、新規顧客との商談を進める。

こうすると、一つの出張の中に

「既存顧客との関係維持」

+

「新規案件の発掘・商談」

+

「市場情報の収集」

を組み込むことができます。

結果として、出張するたびに新しい市場に触れることが出来ました。

商社も重要な情報源だった

そして、もう一つ忘れてはいけないのが商社です。

東南アジアの鉄鋼ビジネスでは、

・日本からの鉄鋼母材の輸出

・ベトナム国内での販売

・ベトナムからアメリカへの輸出

・インドネシア国内での販売

・インドネシアへの鉄鋼製品・母材の輸出

など、さまざまな商流があります。

そのため、メーカーやエンドユーザーだけを見ていてもわからない情報を、商社から得ることが出来ました。

「どの市場が動いているのか」

「どこから製品が入っているのか」

「顧客は何に困っているのか」

「今後どこに需要が出そうなのか」

こうした情報を複数のプレーヤーから集めることで、市場を見る解析度が上がっていきます。

出張は「商談のため」だけではない

海外営業では、出張回数を増やすこと自体が目的になってしまうことがあります。

しかし、私が意識していたのは

「一度の出張で、どれだけ多くの市場情報を持ち帰れるか」

ということでした。

そのために

2か国を連続して訪問する。

既存顧客と新規顧客を組み合わせる。

顧客だけでなく小差yからも情報をとる

前の国で得た情報を次の国でぶつける。

そして、

過去の情報、日本、ベトナム、インドネシアを比較する。

そうすると、単なる「出張」が、少しずつ市場を分析するための営業活動に変わっていきます。

海外大型案件では、目の前にある案件だけを見るのではなく、

「今、この市場で何が起きているのか」

「次に何が起きるのか」

「その変化を誰より早くとらえられないか」

を見ることが重要だと思います。

私にとって、東南アジアでの「2か国連続出張」は、そのための非常に有効な営業手段の一つでした。

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本記事で紹介した考え方は、海外大型案件を発掘・形成し、受注につなげる営業プロセスの一部です。市場分析、顧客開拓、交渉、案件管理など、これまでの経験を体系的にまとめています。

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