大型案件営業では「先に予定を入れる」ことで仕事量を管理する

大型案件を複数抱えていると、仕事量が一気に増えることがあります。

顧客との打ち合わせ、社内会議、技術部門との調整、見積、契約条件の確認、サプライヤーとの打ち合わせ、そして突然入ってくる顧客からの要求。

一つひとつは対応できる仕事でも、案件が複数重なると、いつの間にか「今日は何をやるべきなのか」が分からなくなってくることがあります。

私自身、複数の大型案件を並行して進める際に意識しているのが、

「2週間、あるいは1カ月先まで、案件の進捗に合わせ、必要な会議や顧客とのアポイントを先に仮置きしてしまう」

という方法です。

これは予定を固定するという意味ではありません。

むしろ、予定を先に置いておくことで、状況の変化に対応しやすくするための仕事術です。

まず「現時点での未来」を先に決める

大型案件では、毎日のように状況が変わります。

例えば、顧客との設備販売の交渉をしているとします。

当初は設備そのものの価格や仕様が中心だったのに、交渉が進むにつれて、

「設備の据付サービスについて、もっと責任を持った提案をしてほしい」

という要求が出てくることがあります。

あるいは、

「中国製設備については品質面が心配だ。実際に設備を購入している顧客を見せてほしい」

「サプライヤーの工場を見て確認したい」

といった要求が出てくることもあります。

こうなると、営業だけで対応することはできません。

技術部門に確認する必要があり、サプライヤーとの調整も必要になり、場合によっては既存顧客への訪問まで検討しなければなりません。

つまり、最初に作ったスケジュールは簡単に変わります。

それでも私は、まず現時点で分かっている条件の中で、2週間、あるいは1カ月程度の予定を先に組みます。

例えば、

  • 月曜日:社内技術打ち合わせ
  • 火曜日:顧客とのオンライン会議
  • 水曜日:見積条件の整理
  • 木曜日:サプライヤーとの打ち合わせ
  • 金曜日:顧客への回答案作成

という具合です。

この段階では、すべてが確定している必要はありません。

「現時点では、この流れで案件を前に進める」

という仮の工程を置くことが重要だと考えています。

スケジュールを置くと「今日やること」が見える

この方法の一番のメリットは、1日1日の仕事が明確になることです。

例えば、2週間後に顧客との重要な打ち合わせが入っている。

そこから逆算すると、1週間前までに技術的な確認を終わらせなければならない。

そのためには、その3日前までに社内技術部門から回答をもらう必要がある。

そのためには、今日のうちに技術部門へ確認事項を投げておかなければならない。

こうして逆算していくと、

「今日は何をやればいいのか」

が自然に決まってきます。

仕事で意外と時間を使ってしまうのが、

「次に何をやろうか」

と考える時間です。

もちろん考えること自体は重要ですが、毎日ゼロから優先順位を考えていると、それだけでかなりの時間を消費します。

先に大きな予定を置いておけば、日々の判断は、

「この案件を前に進めるために、今日やるべきことは何か」

という問いに変わります。

予定は守るものではなく、変えるために作る

もちろん、予定通りに進まないことの方が多いのが大型案件です。

顧客から突然新しい要求が出る。

競合他社の情報が入る。

社内で技術的な問題が見つかる。

サプライヤーから条件変更の連絡が来る。

あるいは、顧客との交渉が想定以上に進み、急遽別の打ち合わせが必要になる。

こうしたことは普通に起こります。

だからこそ、私はスケジュールを「絶対に守るもの」とは考えていません。

状況が変われば、予定も変える。

ただし、何も予定がない状態で変更するのと、あらかじめ予定を組んでいた状態で変更するのでは、仕事の進め方が大きく違います。

予定があれば、

「この新しい仕事を入れるために、どの仕事を後ろにずらすのか」

を考えることができます。

つまり、スケジュールがあることで、変更そのものを管理できるようになります。

複数案件を抱えると、この方法が特に効いてくる

この仕事術が特に有効なのは、複数案件を同時に抱えているときです。

案件Aでは顧客との契約条件の交渉。

案件Bでは技術仕様の確認。

案件Cではサプライヤーとの価格交渉。

案件Dでは新規顧客との案件形成。

それぞれ重要で、すべてを同時に進めなければなりません。

このとき「全部重要だから全部やる」と考えてしまうと、仕事量は際限なく増えていきます。

そこで、それぞれの案件について、

「次に案件を一歩進めるために何が必要なのか」

を考え、そのための予定を先に置いていきます。

すると、案件ごとの進捗と必要な仕事量が見えてきます。

そして意外と重要なのが、

「今はやらなくていい仕事」も見えてくることです。

仕事量を把握できると、余計な仕事を受けなくなる

私はここが、この方法のもう一つのメリットだと思っています。

仕事が多いときほど、人から新しい仕事を頼まれることがあります。

以前なら、

「これくらいならできるだろう」

と引き受けていたかもしれません。

しかし、自分の2週間、1カ月先の予定をある程度組んでいると、

「この仕事を入れると、現在進めている案件のどこかが遅れる」

ということが見えてきます。

そうすると、

「今は難しいので、○日以降なら対応できます」

と、具体的に答えられるようになります。

これは単に仕事を断るということではありません。

自分が担当している案件を確実に前に進めるために、仕事の総量を管理するということです。

大型案件営業では「忙しいこと」と「仕事が進んでいること」は違う

大型案件では、忙しくしていることが成果ではありません。

メールを何十通も処理した。

会議に何時間も出席した。

社内から依頼された資料をたくさん作った。

それでも、顧客の意思決定が一歩も前に進んでいなければ、案件成約には近づいていません。

だから私は、

「案件成約に向けて、次に何を動かすのか」

を基準にスケジュールを考えるようにしています。

そのために、2週間、あるいは1カ月程度の予定を先に仮置きする。

そして、顧客や社内の状況が変われば、その予定を柔軟に組み替える。

この繰り返しによって、

「今日は何をやるべきか」

「今週は何を終わらせるべきか」

「この案件のために、誰を巻き込むべきか」

が見えやすくなります。

「先に決める」ことで、考える時間を減らす

仕事ができる人ほど、瞬間的な判断が速いように見えます。

しかし、実際には毎回ゼロから判断しているのではなく、あらかじめ大きな方向を決めているから、日々の判断が速くなるのではないかと思います。

私の場合、

「まず予定を置く。状況が変わったら変える。」

というシンプルな方法を取っています。

予定を先に決めることは、自由を奪うことではありません。

むしろ、

「何をやるべきか分からない状態」から自分を解放するための仕組み

だと考えています。

大型案件を複数抱える営業では、すべての仕事を完璧にこなすことはできません。

だからこそ、

「案件成約に向けて、本当に必要な仕事は何か」

を明確にし、そのための予定を先に置く。

そして、その予定を顧客や社内の変化に合わせて何度でも修正する。

これが、私が長く大型案件の営業をしてきた中で身につけた、仕事量を管理する一つの方法です。

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本記事で紹介した考え方は、海外大型案件を発掘・形成し、受注につなげる営業プロセスの一部です。市場分析、顧客開拓、交渉、案件管理など、これまでの経験を体系的にまとめています。

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