前回インドを訪問した時に、インドが中国の高度成長の状況に雰囲気が似ている話をしました。
インド訪問(2023年9月18日~27日)-インドが来る! – アイアンマンブログ (ironman1977.com)
そう。
今がインドへアプローチする最適の時だと私は思います。
そこで、日本企業のインド進出状況や、個人が何ができるかといった観点で本日は語っていきます。
➀インドと日本企業
インドへの進出を試みる日本企業は過去に沢山ありました。
やはり人口が多く、巨大な市場になる可能性が高いことから、ビジネスのチャンスがあると目論んだわけです。
しかし、インドと日本は食文化も異なること。
更に、➀信頼できるパートナーの選定、②取引価格の厳しさ、③競合が沢山いることなど、この数十年、数多くの日本企業が進出しては撤退していくという歴史を見聞きしています。
特に、インドの特長は、ヨーロッパと日本が同じくらいの距離にあり、欧米企業も虎視眈々と市場を狙っていること。
インド人も元々グローバルな視点を持つ傾向があるため、物やサービスを購入する際にも、一番良い物を探すためにグローバルに見る傾向があると感じています。
兎に角、外国企業が継続して仕事を受注する際、激しい受注競争に巻き込まれる側面もあります。
インド企業ですら、インド国内での仕事よりも、海外案件の方が、利益率などが高いとの判断で、海外案件に積極的に取り組む方針の会社もあります。
しかし、そんなインド市場においても、ようやく経済成長が軌道に乗り始め、今では全世界の利益の半分をインドで叩きだす自動車のスズキの長期にわたる大成功が、日本企業に勇気を与えていると感じます。
②日本政府のインドへの投資方針
日本政府は、この十年程インドに数千億単位で毎年円借款の供与をしています。
交通インフラ系で言えば、デリー/ムンバイ等を始めとしたメトロ事業への投資、更にデリー-ムンバイ間高速鉄道建設等、インドの経済発展に寄与する重点インフラ投資に対して、莫大な金額の資金を提供しています。
更に2022年3月19日の日印首脳会談では、岸田首相が、今後5年間で、対インドへの投資金額5兆円を目標として掲げました。
何が言いたいかというと、日本政府は、今後のインドの大発展を見越して、今資金不足のインドに対して、投資している状況であるということです。
これを日本人個人が見習わない手はないのではないか?
というのが、私の意見です。
③インドで企業が成功するには、長年に渡り継続的な取組が必要
昨日はJETROの方にお会いしましたが、2020年から日本企業の進出数は減っているそうです。
インドの製品単価はまだまだ安く、商売を成り立たせるのが難しかったり、競合が沢山いたり、規制が厳しく、輸入が難しい等よく分かります。
それでも、これから20年、爆発的に伸びる市場を目の前にして、スゴスゴ日本に帰っていくのか。
改めて、インドで大成功を収めた日本企業の例を順次上げておきます。
あのスズキのインド進出は1982年、インド政府による経済改革が始まる1991年よりも前の事でした。
進出当時は、政府との合弁で出資比率が26%。
それが1992年には出資比率を50%に。
更に2000年からは、インドで作った「アルト」をヨーロッパへ輸出。
2006年には、インド政府が全保有株式を売却、完全民営化となったそうです。
このポイントは、経済改革前から参入し、政府と一緒に公的な組織としてスタートし、保護主義が薄れ、規制が撤廃された後は民間企業として成長したところにあります。
結果、今でも50%程度のインド自動車市場のシェアを誇っています。
次に、紙おむつで有名なユニ・チャームは、2010年にインド市場参入後、10年掛かって赤字から黒字に転換したそうです。
ユニ・チャームが10年でインド市場を黒字化させた攻略の秘訣とは | Agenda note (アジェンダノート) (agenda-note.com)
また、その為には、投資もしっかり行い、現地での体制作りを整えています。
ユニ・チャーム、グジャラート州で第3工場竣工(インド) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース – ジェトロ (jetro.go.jp)
また、空調設備のダイキン工業も2000年からインドに進出し、2009年にニムラナに工場を建設。
2010年に空調競合企業から、インド人をCEOとして引き抜き、更にR&Dセンターの設立、取引販売店を2020年に1万店まで伸ばすなど、長年にわたり、継続してインドでの事業にトライしています。
その結果、2022年度には、1300億円を達成。更に2025年に1700億円を狙っています。
「インドでも大成功」ダイキンの勝因がこれだ 「競合と価格で勝負するつもりはない」の真意 | ダイキン工業 空気で答えを出す会社 | 東洋経済オンライン (toyokeizai.net)
次の「一大市場」に懸けるダイキン、2025年にインドの生産台数を2倍の270万台に | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)
一方、食品関連では、あのグローバル企業となる味の素、ヤクルト、日清食品などもインド市場に挑んでいますが、ベジタリアンという日本との食文化の違いもあり、これも十分に時間と継続的なマーケテイング活動をしていく必要がありそうです。
味の素(株)、インドの粉末飲料市場に新規参入「Blendy」ブランドを海外初展開~2017年8月中旬より販売開始~ (ajinomoto.co.jp)
【インド】【日印国交70年】乳酸菌飲料市場を開拓[食品] 地域の浸透、ヤクルトレディ貢献 (msn.com)
鉄鋼業に関しては、資本の論理と、高級鋼板製造の技術を糧に、日本製鉄がアルセロールミタルと合弁会社を設立。
Essar Steelを買収し、一貫製鉄所での鋼材供給の形を整えました。
アルセロール・ミタル日本製鉄がハジラ製鉄所を増強(インド) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース – ジェトロ (jetro.go.jp)
JFEスチールも、JSWスチールに15%の出資を行い、更に共同で電磁鋼板製造工場などを作っています。
インドでの方向性電磁鋼板製造販売会社設立に関するFSの実施について|JFEスチール株式会社 (jfe-steel.co.jp)
このように時間が掛かることも視野に入れ、インドの文化を理解しながら、資本を投下し、投資/マーケテイング活動を継続し、粘り強く活動した結果、大きなシェアを獲得できる位置まで来たのが、上に上げたスズキ、ユニ・チャーム、ダイキン、更には日本製鉄といったところなのでしょう。
④日本にいる個人はインド関連株を買えば良い。-私はダイキンがお勧め
では、資本力もインドで商売する余裕も無い個人が、インドの成長に乗っかるためにはどうしたらよいか。
残念ながら、外国人がインド企業の株式を購入することは出来ず、インド株に直接投資したい場合は、投資ファンドへの投資のみになります。
そこで、私は、インド市場の成長とともにその市場でシェアを獲得し、市場の拡大と共に、売上を大幅に拡大していく可能性があるインド関連の日本株として上で上げたダイキンの株式購入を挙げておきます。
ダイキンはアメリカ、ヨーロッパなどでも空調設備のトップシェアを持ち、現在中国企業を押さえて、世界トップのシェア(20%)を誇っています。
また、インドでは国産化に向けて輸入品に対する規制が高まっている中、既に現地で2工場稼働しており、インド単体の売上高も2022年度1,200億円を超しています。(グローバル全体3兆円)
ちなみに、現在のインド内の空調設備は、全国民の6%しか行き渡っておらず、ダイキンがこれから市場拡大期に大幅な売上獲得を狙うチャンスがあるかはよく分かるかと思います。
もう一点、私が注目しているのは、ダイキンがインド人をトップに据え、インドからアフリカ市場を見ている事です。
アフリカには印僑が200万人います。(日本人は8千人です。)
インドからアフリカへ ダイキン・クボタ、最後の成長市場攻める:日経ビジネス電子版 (nikkei.com)
先日「2050年の世界」の書評で述べた通り、インドとアフリカの人口増加が今後凄まじく、更に中間層が大量に生まれることが予測されています。「2050年の世界」を読んで-世界の中の日本を意識しよう! – アイアンマンブログ (ironman1977.com)
そして、気候変動で更に地球が暑くなることを考えると、急拡大する二つの市場シェアを押さえる可能性があると考えると、今のダイキンの売上高3兆円ですらまだまだ成長期に思えます。
なお、ダイキンの経営/投資情報は柳下裕紀さんのAUREA LOTASのセミナーに申し込めば、詳細な分析内容が分かりますので、こちらも参考にしてください。投資運用関連 – Investment Management – | Aurea Lotus
⑤インド駐在の日本人は、幾らでも商売が考えられる
インド現地にいるのであれば、企業の駐在員としてだけではなく、個人として考える手もあると思います。
➀インド人相手に現地で商売する
②インドから日本含む全世界に向けて商売する
③日本人とインドを繋げて商売する
④インド人と日本を繋げて商売する
私は、➀、②といった従来のやり方でなくても、③、④を考え、実行するだけでも、今やSNSで全世界が繋がっている中、色々出来る気がします。
最後に一つの事例として、ムンバイ現地でインド人富裕層相手に上手く商売やってるheng bok(日本、韓国レストラン)を紹介します。
韓国焼肉屋ですが、弁当もカレーもウイスキーの山崎もあります。
ちなみに、音楽はK-popです。
Hengbok Restaurant
022 6221 5588
要は、日本のサービスのみの提供という視点で考えずに、インド人、現地駐在韓国人、日本人を相手に東アジアという視点で良いものを取り入れているところが、現地に受けているのだと思います。
インド在住の日本人の方へ、今が大チャンスです!!!