日立製作所の復活-これから株価が爆発する気配が、、、。

7月12日に柳下由紀さんのaurea lotusのセミナーに参加しました。

『Aurea 人生と投資の会』第2ステージ・第187回卒業生サロン一般募集の御知らせ | 蓮華 with にゃんこ達 (ameblo.jp)

今回は日立製作所と味の素がその紹介企業でした。

特に日立は、この十年でとんでもない経営改革を実施しており、以前の日立から何が変わったのか。

何を目指しているのか。

そしてその経営実行は身を結ぶことが出来るのか。

株価が急激に上昇していることも相まって、気になっていました。

以下は、一部柳下さんの講義の一部を抜粋します。

①転機となった2009年3月の7873億円の赤字

2000年代に入り、Amazon、Apple、Google,Facebookなどのアメリカ企業が台頭し、デジタル化によるデータ蓄積、処理システムの開発を圧倒的な研究開発力で高機能化、高付加価値化し、各々のプラットフォームを確立して国際的なプレゼンスを高める。

一方で台湾や韓国等のアジア企業が水平分業の流れで設備と製造に特化した大規模な設備投資による規模の経済性を追求するビジネスモデルを確立する中、日本企業の総花的な事業領域の拡大が競争優位性を失っていく。

これが、日本の電機産業8大メーカーが次々と苦境に立たされていった要因だと柳下さんは分析しています。

そこで日立は、リーマンショック後の日本製造業最大の赤字を受けて、事業構造の変革に着手。

生産集約化、事業所統合、海外調達拡大に加えてHDD事業、中小型デイスプレイ事業、薄型テレビ生産から完全撤退。

更にその後も、車載情報システム事業、画像診断関連、鉄鋼事業、セラミック端子事業もその後、売却していきます。

日立物流、日立キャピタル、日立化成、日立金属、日立建機などはかつて日立グループの中でも優秀な企業群でした。

私が仕事で関係していた領域でいうと、日立の製鉄設備部門が三菱重工と合併。

後にSiemensとも合併し、Primetalとして、三菱重工の傘下に入りました。

このような事業/子会社の売却によって得た資金をM&A資金に活用し、経営資源の最適配分を図っていったんだそうです。

②現在の事業領域は3つ

現在は、

①デジタルシステム&サービス分野(主にはデジタルソリューション、ITプロダクツ、ソフトウエア)、

②グリーンエナジー&モビリテイ(エネルギーソリューション(パワーグリッド、再生エネルギー、原子力)及び鉄道システム、

③コネクテイブインダストリーズ(ビルシステム、生活・エコシステム、計測分析システム、産業機器等)

に分かれています。

この事業を誰が所管しているのかを執行役員体制から見てみると、多少イメージが沸いてきます。

例えば主にコネクテイブ・インダストリーズを所管している副社長は阿部 淳さんという日立出身の方です。

つまり、この部門は昔からの日立が事業を行っている分野のうち、本体に残すと決めた事業なんでしょう。

一方、1)グローバル経営戦略を担当している副社長は、ブリスゴッホさん、元ABB送電線事業の方です。

更に、2)鉄道、原子力、エネルギー事業の担当は、アリステア・ドーマーさん。

彼は、Alstomから2003年に日立に転職し、日立のヨーロッパでの鉄道事業を拡大していった方だそうです。

更に、3)アメリカ担当の専務は、シャシャンク・サマントさん。

彼はGlobal Logiⅽの社長だった方です。

そして1)パワーグリッド事業担当専務はクラウデイオ・ファキンさんで、元ABB送電線事業の責任者。

実は、現在の日立の事業の根幹の一つとなる②グリーンエナジー&モビリテイに1)ABBのパワーグリッド事業を2022年までに約1兆円で買収し、送配電事業に経営資源を集中。

その背景に、今後再生可能エネルギー関連需要が拡大する中で、その活用には、パワーグリッド(送配電網)の整備が不可欠であること。

従って、グローバルNo.1の送配電プロダクトサービス事業を提供する体制を作ったことが大きな転換点で、現在日立エナジー(旧日立ABBパワーグリッド)がグローバルトップシェア50%を握っているんだそうです。

この動きは、日本国内でも顕著に表れており、全国の一般送配電事業者10社が設立した「送配電システム図合同会社」から、次期中央給電指令システムを一式日立が受注したそうです。

このシステムは、再エネの大量導入を支える電力ネットワークの次世代化、巨大規模のシステムで全国の発電所への発電指示を一元的に担うこと、さらに電力売買の取引市場との接続なども担っているそうです。

次に、①デジタルシステム&サービス分野を拡大するために、2)アメリカシリコンバレーのGlobal Logic Incを1兆円で買収したこと。

これにより、日立の制御運用技術に加えて、デジタルエクスペリエンスの設計開発で多様な業界に関する専門知識を持つGL社を通じて、デジタルエンジニアリング関連市場でIlluminate(照らす・輝かせる)+DataでLUMADAというIOTプラットフォームを誕生させ、ソリューション提案できる体制を作り上げたんだそうです。

最後に鉄道事業。

鉄道事業全体では、ドイツSiemensに次ぐ2位、鉄道自動運転システムではトップシェア30%を誇っているそうです。

2)のドーマーさんの活躍により、イギリスでの高速鉄道車両の受注を皮切りに2015年には、イタリア大手鉄道信号メーカ―、鉄道車両メーカー(アンサルドSTS/ブレダ)を買収。

従来の車両製造から鉄道制御システム部門にシフトし、信号システムや保守ビジネスの売上の比率が57%と逆転。

更に、2024年5月にフランスThalesグラウンドトランスポーテーションシステムズを買収。

現在は世界51か国展開。鉄道事業の売上収益の約60%が高利益率の信号システム事業で占めるんだそうです。

③自分の所感―日本から全世界(欧米含む)にアプローチするインフラ関連の競争優位性のある企業が出てきた。

更なる詳しい内容を知りたい方は、先に紹介した柳下さんの講義を購入して、聞いてみてください。

この講義では、財務諸表からROIC、WACCの推定から将来の企業価値を算出し、なんと現時点の理論株価まで算出して解説頂けます。

尚、見逃し配信を4000円で購入できます。

『Aurea 人生と投資の会』第2ステージ・第187回卒業生サロン一般募集の御知らせ | 蓮華 with にゃんこ達 (ameblo.jp)

また、日立製作所の経営計画を見ても、分かりやすい説明資料となっています。

(以下2024年3月決算時の中期経営計画進捗説明資料)

f_0426pre.pdf (hitachi.co.jp)

私の中では、グローバル企業という視点では、この2-30年、トヨタ、ホンダなどの自動車産業、そしてダイキン、味の素など一部の日本企業が世界の市場、特にアメリカ/ヨーロッパを取り込む動きにしっかりと手を打ってきた印象がありました。

しかし、インフラ分野で、日立がこれほどに大きく変貌し、持続的な競争力を保有するであろう

①電力分野-送配電、

②鉄道ビジネス、

③デジタルソリューション事業

に焦点を定め、グローバル企業として、強い競争力を持つ企業に変革しつあることを心の底から賞賛します。

一方で、この変革の間、日立及び日立グループ会社の従業員は、間違いなく大変な思いをしてきた方が多いとも容易に推測できます。

ある日立グループの会社は、アメリカの投資会社に売却されましたが、投資会社は日立グループの現場の従業員の声など一切聞かないという話なども聞きました。

ちなみに、私が最初にいた鉄鋼会社でも、事業再編に伴う子会社化により私自身もグループ会社へ転籍。

更に、鉄鋼会社が買収を繰り返す中で、一部製鉄所全面閉鎖など、思い切ったリストラを日本で実施し、その効率化した資金で、インドやアメリカの事業拡大に投資しています。

これだけ日本企業が株主を意識した経営を実行するようになったことによって、一従業員としての安定性に対する危うさを感じるようになりました。

一方、株主の立場になっておくことが、会社収益の恩恵を受ける上でいかに重要かということも、この日立の事例を見ただけでも改めて強く認識しました。

いずれにせよ、株式分割もして購入代金も小さくなりましたし、日立製作所への長期株式投資、お勧めです!