①市場、②顧客、③商品、④自社/競合情報を法人営業が毎日収集する意味-世界TOPクラスの鉄鋼会社の情報収集術

前回は、法人営業にとって大事なことは、まず事実を知って社内に展開する。更にその内容を踏まえて、社外とコンタクトをし、最終的に顧客に購入してもらうことだと説明しました。

法人営業の最初の役割「売る」前に「知る」を徹底する (ironman1977.com)

しかし、世の中には、様々な玉石混合の情報が提供されており、その中で自社が欲しい情報が何かをしっかり定義して、継続的に仕入れるためにはコツが要ります

今日は、情報収集術について、私が学んできたことを紹介します。

なお、手っ取り早く、自社に必要な情報を効率的、継続的に集める方法であれば、以下の記事に飛んでください。

公知情報の具体的な情報収集手法とは (ironman1977.com)

1.必要情報の定義付け(①市場、顧客、②商品、③自社、④競合他社)

情報収集活動を行うにあたって必要な情報とは、例えば日々顧客や顧客を取り巻く環境、また顧客に対して提供する商品や競合他社の状況等様々な要素が絡み合います。

私は、①市場、顧客、②商品、③自社、④競合他社の4つの分類に定義付けしたキーワードを設定して情報収集をしています

まず、なんといっても、顧客が直面している市場がどういう状態にあるのか。様々な顧客が存在する中で、どういった経営を目指すのか。どのようなプロジェクトが予測されるのか

この市場、顧客情報を抑えるだけで、十分な場面もあるでしょう。

(スタートアップの場合、競合他社情報よりもとにかく市場を見ることが大事だったりもするようです。)

また、自社、競合他社情報を集めることで、日々自社が他社と比べて、どういう状況にあるのか

特に競合他社の新製品や新しい取り組みを発表している場合にはその概略を把握できることになります。

商品についていえば、自社が取り組む市場でなくても、新しい商品やプロジェクトが世界中で展開しており、最先端の取り組みを把握することができます

私の場合、法人営業のため、①市場、顧客、②競合他社、自社、③商品に関して情報を取っていますが、自分の立場の違いによって、取る情報も変わってくるでしょう。

ただし、大切なことは、自分が必要な情報を定義して、限定した情報を毎日継続的に集めることなのです。

この情報に絞って毎日継続して情報を得ること、更にその情報を同じ会社の同僚や顧客に提供することで、自分の知識を増やしたり、信頼関係を高めることができます

2.世界第二位の鉄鋼会社が行っていた公知情報の収集術

この手法を確立するにあたって、役に立ったのが、最初に入社した鉄鋼会社の公知情報の収集術です。

当時世界第2位の粗鋼生産量があった会社が行っていた情報収集術は、経済系及び複数の業界専門紙から必要なキーワードを①顧客、②顧客を取り巻く業界、③商品情報、④自社及び競合他社、(⑤サプライヤー)毎に整理し、そのキーワードが含まれる記事を網羅した記事一覧として日々表示させるというものでした。

例えば、キーワードの一例として、鉄鋼業界にとって最大のユーザーとなる自動車業界であれば、①顧客-トヨタ、日産、ホンダ、②市場-電気自動車、自動車販売台数、各国毎の自動車市場動向、③商品-薄板、電磁鋼板、④競合/自社-POSCO、JFE、日本製鉄、⑤サプライヤー-VALEなどが一例です。

3.私が始めた情報収集及び提供術

私は、当初鉄鋼会社に入社、その6年後にグループ会社に転籍しましたが、上記鉄鋼会社が収集するニュース情報は、分社後も閲覧できました。

日々配信される400~500件の記事情報の中から、当時いた部署にとって大切だと思われる情報を5~10件ぐらいピックアップして、関係者にメールで配信することから始めました。

ありがたかったのは、まず上記①~⑤に整理/分類された形で情報が入手していたことで、網羅的に必要情報を収集することが最初からできたことです。

次に分社後の部署が製鉄プラントの設計/製造/販売であったため、顧客とある製鉄会社にとっての①顧客、②商品、③自社/競合会社、④サプライヤーといった分類が、私にとっては、顧客の頭の中を覗くこととなり、顧客の顧客を意識することに凄く役に立ったということです。

一営業マンが日頃の業務に携わる中で、世の中にあふれる営業情報を取るのは不可能です。

例えば、自社情報だけでも、大企業であれば、日々経営者や他部門が考えていることを知るのが、ニュース記事からということも多々あるでしょう。

このように公知の情報を収集する術や習慣を身に着けることが、営業の第一歩です。

4.纏め

法人営業にとっての情報収集とは、①顧客、市場、②商品、③自社、④競合他社毎にキーワードを設定して、公知の情報を収集していくこと大切です。

収集した情報の中で、顧客や自社に関係すると思われる情報をピックアップして、関係者に送付することで、有益な情報を把握し、信頼関係を高めることに繋がります。

是非公知情報の収集/提供から始めてみてください。