本日は、アメリカの不動産建設販売及び住宅ローン専門金融を扱うNVRを紹介します。
株価の長期的な推移を見ると、きれいなまでの右肩上がりの曲線になっています。
日本の人口減少化での不動産開発となると、あまりポジテイブには考えずらい状況に比して、アメリカの不動産市場は活況。直近では積水ハウスのMDCホールデイングス買収など気にはなる市場ではありました。
今回も例によって柳下裕紀さんの講義の内容を抜粋して紹介します。
なお、興味がある方は、録画した講義を購入することも出来るので、ご覧ください。
(2014年から柳下さんは企業研究して投資をしている会社なんだそうです。)
『Aurea 人生と投資の会』第2ステージ・第190回卒業生サロン一般募集の御知らせ | 蓮華 with にゃんこ達 (ameblo.jp)
①アメリカと日本の不動産市場の違い
この数十年で差が開いたアメリカと日本の金融資産、所得格差。
アメリカにはGAFAMやNVIDIAが出現するなど、起業のダイナミズム。
また、世界中から優秀な人が集まる仕組だとか、要素はいろいろとあると思いますが、住宅制度の仕組みを聞いて、アメリカがいかに個人が投資をするのに適した環境にあるのかを実感しました。
アメリカでは、住宅ローンは住宅を譲り渡せば、残高を支払う必要がない実質的にノンリコース(借主有限責任)となっており、結果として住宅金融機関が資産価格が適性で融資残高を回収可能か予測する必要があること。
つまり、金融機関が慎重に資産価値を予測し、中古住宅としての資産価値が高いものが供給される仕組みがあること。
また、個人の住宅ローン返済が進むと、資産価値とローン残高の差に対して、担保掛目相当分の与信枠が設定される。
結果として個人はその与信枠を活用し、消費や投資が拡大する。
一方、日本では返済リスクは全て借り手が負うシステムとなり、金融機関が物件価値の変化を見ることがないため、金融機関のローン対象となる物件の資産価値に敏感ではなく、価値が下がらないための努力が圧倒的に欠けているんだそうです。
アメリカでは、上で述べた不動産価値の上昇により、買い替えの相乗効果で個人資産が増加につながるそうで、日本とは大幅に事情が異なるそうです。
尚、NVRというホームビルダー兼住宅ローン専用金融会社は、大都市郊外の新興地での事業に特化し、質の高い製品を提供し、かつ担保査定能力を担い、住宅の資産価値査定能力を高め、優良物件、住み続けて資産価値が上昇する住宅を如何に取り扱うかで参入障壁を作っているんだそうです。
②NVRの強み
NVRは、元々は住宅ローン貸出、土地開発、そして建設事業を総合的に扱っていた事業者だったそうです。
一方、1980年代の住宅ローン市場への商業銀行の進出、1980年代の土地不動産の下落、更に新築建設需要の低迷により、1992年にChapter11を申請。
その後、北東部で住宅開発を継続、金融サービス子会社の業務も拡大し、戸建て、コンドミなどの建設販売と住宅ローン専門金融のみにサービスを絞り、大都市郊外の新興地域といった形で地域を絞り、事業を行っていく。
また、工場で木材などをセグメント部材として製造し、3か月以内に家を建てるといった強みを持つのだそうです。
なお、何が驚異的かというと、営業利益率が20%弱あり、ROICが203年決算断面で、なんと66%に達していること。
その理由に、
①土地開発といったリスクが高い部分をビジネス領域に入れていないこと、
②開発地域での営業力が強い事、
③単価の高い住宅価格帯を維持し、無理に開発に走らないこと、
④自社株買いによる株主還元方針
などが挙げられるんだそうです。
③自分の所感
アメリカ経済は、何故この数十年でそんなに強くなったのか。
柳下さんの説明を聞いて、購入した住宅がまさに資産となるよう常に市場、金融機関で評価がされていること。
その評価に見合った与信枠が与えられた個人がリスクを取って株や住宅投資を行うといった背景が見えた気がしました。
また、やはりアメリカの不動産は郊外を中心に強いところは強いことも改めて理解しました。
考えてみると、自分自身が家を購入してから、兎に角住宅ローンを返済することだけ意識し、不動産価値とローン金額の差異を与信枠として借りるなんていう発想はありませんでした。
NVRへの投資の検討と共に、少し自分の財務戦略も考えなおしてみてもよいと感じました。