先日大江英樹さんが出演するYoutube動画を視聴したことをきっかけに、大江さんが生前どのようなことを考えていたのか、知ってみたいと考え、一度手にした本「定年楽園」を再度購入し、読んでみました。
以前より「隣の億り人」「となりの億り人 サラリーマンでも「資産1億円」」を読んで-給料天引きしないと! | すがわら あつし
「知らないと損する年金の真実」「知らないと損する年金の真実」-公的年金は老後の土台です! | すがわら あつし
など、大江さんが書いた公的年金やお金持ちになる方法など、説得力があると感じていましたが、今回は、大江さんの定年後の生き方を調べてみたいと思い、この本を手に取った次第です。
大江さんご自身は2024年、71歳でお亡くなりになりましたが、生前に出された書籍や講演/メデイア媒体での活躍など、60歳の定年後、凄く充実した人生を送られたのではないかと推測します。
目次
はじめに
第1章 齢をとっても働く働く人が増える
第2章 老後の3つの不安
第3章 これだけ知っていればお金の不安は無くなる
第4章 60歳からの多様な働き方
第5章 起業は定年楽園への近道
第6章 自分の居場所をつくる
終章 定年楽園への道
①サラリーマンの多くは退職し、会社を離れてようやく本当の自由を得ることができる
「はじめに」にて、大江さんは、江戸時代、歌川広重が火消を36歳で引退してから東海道五十三次など浮世絵を書き、有名になったこと。
またステイーブジョブス氏の「Stay Foolish, Stay Hungry」という言葉を大江さんとしてあ、「一つのことに信念と好奇心をもって愚直に追い求める」と解釈していること。
多くのリタイヤメント本には、「老後の生活のために1億円必要」などお金の話ばかり出てくるのに対して、普通の人は普通に働いて得られる公的年金だけでも十分に生活を楽しむことができ、大江さん自身の定年後の生活は、自分の好きなこと、自分が本当にやりたかったことができるようになることがこんなにも素晴らしいことなのかということを実感していることに触れています。
定年楽園とは、”定年後に楽しく活動できる園”を目指して今から準備しましょうという意味でタイトルをつけたそうで、60歳という定年を控えた40歳代後半、50歳代の皆さんにとって、その後の仕事や生活をどう充実したものにして豊かなセカンドライフをおくるか?
そのためのヒントを本に書いたんだそうです。
②齢をとっても働く人が増える
高齢化社会、これは全人口に占める65歳以上の人の割合が7%を超えたところを指す
これに対して高齢社会とは65歳以上の高齢者の割合が14%以上、
更に超高齢社会とは高齢者比率が21%以上を占めるそうです。
この超高齢社会に2007年になっているんだそうです。
高齢化が進むと、年金、医療、介護の問題が大きな問題と考えられますが、大江さんは年金については、1970年代から検討/対策されてきており、問題にはならないと指摘しています。
一方、働き方や生き方についてどのくらいの人が満足して人生の後半をおくることができるのか。
かつての日本は三世代同居がごく普通だったのに対して、近年単身世帯が増え、2030年には38%に増加するという予想がある。
また、現在65歳までの雇用義務化があり、2012年の高年齢者雇用安定法改正により、希望する社員を最長で65歳まで再雇用することが実質的に義務付けられた。
これによって、一部の企業では定年そのものまで65歳に変えてしまったところもある。
ところが雇用延長で働くことになると、再雇用された本人の問題として、今まで課長や部長であっても今度は一契約社員に過ぎなくなる。
「責任」も「権限」もほとんどなくなる。
両方がそろっているからこそ仕事に対する意欲が湧き、昇進する事がその二つの大きさが増す。
再雇用の結果、その二つがなくなってしまう。
次に本人を取り巻く職場の周りの人たちも、今まで課長、部長だった人が契約社員になるため、周りも同じぐらい困惑する。
更に会社から見た場合、大きな可能性があり活躍を期待できる若い社員と、再雇用したとはいっても数年で契約が切れる中高年社員とを比較した場合、どう考えても若い社員への対応に力を入れるのが当たり前となる。
従い、60歳になった場合、目標達成を第一に考えるのではなく自分が納得できる仕事をやる。
あくまでも若いリーダーが目指す方向の中で自分が貢献できる、あるいは貢献したいと思うことをやる。
これは再雇用だけではなく、転職や企業の場合も含め、60歳でいったん定年した人のその後の働き方の基本といえる。
また、大江さんは元気で働けるうちは働くべきという前提にたち、老後の生活を考えた場合、様々な不安要素があり、その不安な要素を払拭し、問題を解決するための方法が「60歳以降も働き続ける」ことだと言います。
③老後の3つの不安
老後にだれもが感じる不安、人生の最大不安というのは、「病気」「貧困」そして「孤独」だそうです。
2006年の厚生労働省の「高齢期における社会保障に関する意識等調査」によれば、老後の不安で最も大きいものは「健康」の約45%、次いで「生活費」。
つまり病気と貧困に対する不安が非常に大きく、全体の約8割近くを占める。
一方、内閣府の調査では、過去30年間で高齢者人口に占める一人暮らしの老人の割合は、女性で2倍、男性で3倍にも増えている。
こうした傾向が高齢者の犯罪増加に繋がる可能性も高く、「孤独」に陥ってしまう不安がさらに増加することが想定されるそうです。
なお、大江さん自身は健康の専門家ではないため、詳しくは語らないものの、一病息災、「完璧を求めないようにする」ことが肝要ではと伝えています。
この考え方は、和田秀樹さんの「80歳の壁」https://amzn.to/42QFoAo
に近いと私は感じました。
また、大江さんは、生山 匡さんという享誠塾理事長の方が提唱する「駅でエスカレーターやエレベーターを一切使わない。」
この少し無理をする運動により、強靭な体力が得られるという考え方に共感しています。
それ以外の様々な健康法については、一人ひとり異なる運用方法があり、世の中のあらゆる健康法の中で、自分の体質に合っているか判断し、食べた方が良い食材や運動方法の個別論では相当個人差があると認識しておくことが大事だと考えているそうです。
次に、「お金に対する不安」ですが、2013年の日本銀行の「家計の金融行動に関する世論調査」で調べた結果、実は定期預金や株式等の金融資産を全く持っていない世帯が31%もいるそうです。
その中には、若い世代も含まれますが、実際に50歳代で金融資産ゼロという世帯が33%近くあるそうです。
実は、老後に必要なお金がいくらか「分からない不安」「どれくらい自分でお金を準備しておけば安心なのか?というのが分からない不安」があると大江さんは推測しています。
「老後夫婦二人で最低限かかる費用」と「ゆとりある老後生活を送りたい場合の費用」というのがあり、2013年の調査によれば、前者が約22万円、後者であれば35万円程度だそうです。
また、60歳以降の収入の柱となるのは年金、次に退職金や企業年金、最後に個人が持っている貯えとなります。
自分で用意する金額=(何もしなくても入ってくる収入)-(定年後から生涯かかる生活費)と考えると、生涯終身でもらえる公的年金、そしてサラリーマンでいえば退職金や企業年金、また人によっては株式等の配当やマンション、アパートの家賃等の不動産収入がいえます。
大江さんは、この公的年金をベースに考え、不測の事態に退職金若しくは自分の貯金があれば、十分に事足りるという考え方を持っています。
一方で大江さんが考える「サラリーマンの」最大の不安は「孤独になること」だと考えているそうです。
自営業と違ってサラリーマンには定年がある。
定年後も仕事を続けていくのであればまだしも完全に仕事から引退してしまうと「自分の居場所がなくなる」
大江さんの先輩から老後に大切なことは「きょういく」と「きょうよう」。
これは「今日、行く」
そして「今日、用」
すなわち毎日「今日行くところがあるか?」「今日、用があるか}」ということが大切だというわけなんだそうです。
会社が用意する雇用延長といってもわずか5年。
その後の人生の方がずっと長くなる。
更に30歳代や40歳代の5年間とは違って、年を取ってからの5年というのは非常に大きな差になる。
60歳ならまだ何かやろうという気力があったとしても、65歳になると意欲も気力も衰えることは容易に想像がつく。
大江さんの考えでは、継続雇用に応じて働くこと自体はよいが、大切なことは60歳時点で継続雇用終了後のことをどうするか考えておくべきということだそうです。
さらに言えば、60歳でも遅いと大江さんは考えるそうで、遅くとも60歳の定年を迎える数年前から、できれば50歳くらいから老後の自分の居場所について考え、自分自身で居場所をこしらえる準備をすべきだそうです。
これは仕事だけではなく、趣味やボランテイアで活動したいと思っても、組織の中で活動するのであれば、その組織の中でのお互いの信頼感が書かせず、一緒に活動したり取引したりして徐々に醸成していくものです。
自治会においても、地域活動の中で地道に下積みの仕事をやって初めて周りの人に信頼され、役員でもお願いしますということになるそうで、現役時代からそういう活動に取り組んでいくことがとても大切だそうです。
④これだけ知っていればお金の不安はなくなる
「老後に必要なお金は夫婦二人で1億円!」「ゆとりある暮らしのためには月額35万4千円が必要!」
このような記事や広告を見るたびに、大江さんは大きな違和感を覚えてきたそうです。
この1億円必要というのも特定のモデルを設定し、それを基準に提案する営業スタイルです。
35.4万円×12か月×25年=1億620万円。
一方、大江さんの生活体験から、少々贅沢をしても月30万円は掛からないという実感から計算すると30万円×12か月×25年=9000万円。
ちなみに、生命保険文化センターの調査で最低日常生活費は22万円。
その場合6600万円となる。
では、受け取る側の年金はどうなるのか。
基礎年金部分は20歳から60歳までの40年間全てきちんと払い込んだ場合、平成26年4月時点で受け取れる年帰任額は年間77万2800円、
こちらに報酬比例分として厚生年金が加わる。
日本年金機構のホームページのモデル給与として出ていた金額が38万円であったため、こちらを使うと年間193万円2498円と出る。
こちらにサラリーマンの配偶者で第3号被保険者として基礎年金部分77万2800円を足すと、約270万円。
従い、270万円×25年=6750万円となります。
つまり、必要とされる費用に対して、公的年金で賄われる部分が相当金額あるようです。
次に企業年金、つまり退職金を受け取ることになります。
在職中の勤務年数及び能力ポイントが加算されたものが計算のベースとなっており、それにより退職給付制度による金額を算定することになります。
この公的年金と会社の退職給付制度を把握し、それでも老後の生活資金が足りない場合、今後に向けての資産作りを始めることが必要になるという順序だそうです。
なお、「年金15万円のゴージャス生活」https://amzn.to/3Iirh00
による年金だけによる節約生活なども紹介しています。
⑤起業は定年楽園への近道
大江さんは60歳以降の働き方について、「再雇用」の場合と新たに「転職」する場合についても解説していますが、ご自身が起業したことに心の底から良かったと語っています。
従って、大江さんはこれから定年を迎える人には「起業」という選択肢を勧めたいそうです。
サラリーマンはやりたいことができず、理不尽なことも要求され、不満だらけであることを我慢し、その代償に安定した給料をもらう。
大半のサラリーマンは課長や部長の悪口を仲間と言い合い、90%は解消して、何とか心の折り合いをつけながら愛する家族のために我慢して働き続ける。
大江さん自身も何度か会社を辞めたいと思うことがあったが、家族を考えて思いとどまった。
我慢が足りずに会社を飛び出して家族や友人に迷惑をかけるよりよほどマシだと考える。
ところが、「現役での起業」と「定年後の起業」では全く意味が違う。
なぜなら公的年金や退職金、企業年金などの収入があり、人によってはいくばくかの貯えもある。
起業した後に仕事が来なくても、それほど不安にさいなまれることはないからなんだそうです。
30歳、40歳で起業した場合は、もしうまくいかなければ明日から食べるものにも困ってしまうという事態が待ち受けている。
一方、シニア企業の場合は極端に言ってしまえば「不満も不安もない。
自分の好きなこと、やりたいことをやるわけだから、不満がないのは当たり前です。
多くの人が自分のやりたいことがあるから独立したいと思っている反面、収入面での不安があるために二の足を踏んでいる状況を考えると、定年退職した人こそ一番企業に適した立場であるとも言える。
仕事は一生懸命やればやるほど改善したいと思う点が出てくる。
その改善したい点が、組織の中では色々な意見や事情があっても実現できないから不満が生まれてくる。
大江さんは仕事をする限りはいくつになってもエキサイテイングにやりたいと思っており、不満をもちながら雇われ続けるというのはまっぴらごめんだそうです。
なお、大江さんが自分で起業してみて、根本的に起業に向く人と向かない人がいると考えるようになったそうです。
起業に向く性格としては、
①好奇心が強く、知らないもの、わからないものに対して興味をもつことが自分でビジネスを始める上でパワーの源泉となる。
②何でも自分でやりたい。
起業すると税務署への届け出、帳簿作り、法人の設立登記、ホームページの作成等、本当にやることが山のように出てくる。
こうした一つ一つのことをできれば自分で全部やるのが好ましく、そういうことが苦にならないことが重要な要素だそうです。
③変えることが好き。
自営業は時代の変化に合わせて変えていかなくてはならない。
大企業ではなく、ニッチなマーケットを相手にするマイクロ起業なので、変化に対してスピーデイに対応できないとお客さんから見放される。
いろいろ考えて、どんどん変えていくことが好きという一が独立してビジネスする上で必須な性格だそうです。
④人とのつながりが多い。
起業する上で最も大切なものは人脈であり、どれだけたくさんの人とつながっているかということが極めて重要だそうです。
ほとんどの場合は自分ひとりで活動することとなり、起業時点で多くのつながりをもっていたほうがはるかに有利なんだそうです。
人脈とは自分に信頼をおいてくれている人がどれだけいるかということなので、起業する前の段階で既につながりが多いのであれば、かなりアドバンテージになるそうです。
⑤摩擦をいとわない。
サラリーマンはできるだけ社内で無用な摩擦を起こさないことをずっと心掛けてきた存在。
しかし独立して自分で事業をやる場合は、そんな心がけは無用で、主張すべきことはどんどん主張して交渉していかなければ自分が潰されてしまうそうです。
一方、起業に向かない人の性格は、以下だそうです。
①安定志向で変化を好まない。
変化が大きくなく安定していることが好きという人は起業に向かない。
実際に起業してみるとサラリーマンはこんなに安定していたものなのかとよくわかるそうです。
その安定を面白くないと感じるか、心地よいと感じるかの違いだそうです。
②面倒なことは嫌い。
自分で事業を始めると本業の仕事以外に本当に面倒くさいことも沢山ある。
そういう面倒なことが嫌いな人は起業には向いておらず、組織に雇われ、自分の得意分野に特化した仕事をするほうがよほど精神的に楽なんだそうです。
③我慢強い。
会社の中で自分のやりたいことを実現できる機会はあまり多くなく、実に理不尽なことを要求される場合もある。
こういった諸々のことに対して我慢できることがサラリーマンの重要な資質であるとともに起業する人には向かない。
我慢できないから変えようと思っていろんな活動を行う。
④知らない人と接するのが苦手。
起業するにあたっては、本業となる仕事以外にも実にこまごましたことを処理する必要がある。
そのため、自分の専門外の多くの人とも接することとなり、全く自分の感覚やセンスとは合わない人も多くいる。
更に仕事を広げていくためには営業もやっていかなければならず、新規の先に対しても出かけて行ってプレゼンするような機会が増えていく。
そういうことが苦手ということであれば、正直起業には向いていないそうです。
⑤バランス感覚が強い。
サラリーマンにとってはバランス感覚がとても大切で、出世している人を見ると、能力の問題というよりもバランス感覚が優れている人が圧倒的に多いと大江さんはサラリーマン人生を歩んできた経験上感じる。
別の言い方をすれば「敵をつくらない」ことで、このバランス感覚が強すぎるとビジネスの推進には邪魔になるそうです。
⑥3つのやること、5つのやらないこと
定年になった後に起業する上で大江さんが最も大切と思うことは「原理原則を守る」ことだそうです。
実際に大江さん自身がつくった原理原則は以下「3つのやること、5つのやらないこと」を決めたそうです。
【3つのやること】
①自分のやりたいことをやる
②自分の能力を活かせることをやる
③世の中の役に立つことをやる
【5つのやらないこと】
①法律や職業倫理に反する事あhしない
②借り入れや大きな設備投資はしない
③規模を拡大しない
④特定の企業や団体のひも付きにはならない
⑤お金のために主義主張は曲げない
まず①自分のやりたいことをやる。
自分は一体何をやりたいのか?ということが一番重要で、その自分のやりたいことを続けるためには常にFoolish(愚直)であり、Hungry(貪欲)であり続けることが必要です。
起業はこれ以上ないくらい面白い事ではあるが、またかなりしんどいことでもある。
60歳を過ぎてなおしんどいと思えることをやるには本当に面白い事、自分のやりたいことでないと決して続かない。
実際自分のやりたいことをやって起業すると働くことが本当に楽しくなり、大江さんの場合どの日も関係なく働いて休むのは仕事がない時だけだそうです。
サラリーマン時代、週末が来るのを指折り数えて待っていた頃とは大違いだそうです。
②自分の能力を活かせることをやる。
サラリーマンは組織で命じられた仕事をこなすわけで、それが必ずしも自分の能力を活かせているとは限らない。
大江さん自身が長年営業の管理職をやっていたため、プロモーター(営業推進役)だと思っていたのが、実はインチィター(直感・創造思考家)タイプだと指摘されたそうです。
本来は物をつくる仕事や考える仕事が合っているはず。
これまで会社に命じられた業務で営業の旗振り役をこなしてきたわけで、あなたにはあってないと言われたそうです。
③世の中の役に立つことをやる。
大江さんの尊敬する先輩が、「自分の好きなことをやって、それが世の中の役に立つのが理想だ」と話していたそうです。
企業の中で働くことは、まずは企業の利益を最優先に考えなければならなかったのに対して、人は何らかの形で社會から恩恵を受けてきたため、人生の後半には何らかの形で恩返しをしていくべきです。
普通にビジネスをやって正当な対価を頂きながらも、自分の仕事を通じて社会の役に立つようなことはいくらでもある。
現役時代にセミナー講師をやった時は、あくまでも自社の金融商品を売り込むことが目的だったが、今各地で投資初心者向けのセミナーでは、どこの記入機関からも一切お金はもらわず、NPO法人や社団法人といった組織を通じて商品のプロモーションを全くやらない形で話をしているそうです。
このように自分が現役時代に培ってきた知識やノウハウを活かして世の中の役に立つ仕事をすることは可能で、間違いなく「生きがい」につながると言います。
⑦誤解しがちな”起業で大切なこと”
起業にあたって一番大切なことは何か。
それは何よりもまず「自分が何をやりたいのか?」を決めることだといいます。
しかし、「自分が何をやりたいのか?」
これを最初から明確に分かっていて、そのためのビジネスプランが出来ている人など殆どいないと大江さんは考えるそうです。
何となくぼんやりと「こんな仕事ができたらいいだろうなあ、楽しいだろうなあ」というレベルで十分なんだそうです。
大江さん自身も「研修とか講演とかそんな仕事が出来ればいいなあ。
それには自分が今まで手掛けてきた確定拠出年金に関係する仕事がやりやすいだろうなあ」という程度のことで、実際にやってみると当初考えていたものとはかなり様子が違ってきて、自分ができるビジネスのフィールドが固まってきたのは起業して1年近く経ってきてからだそうです。
そして今もなお、そのフィールドは変化し続けているそうですが、上記「3つのやることと5つのやらないこと」を原則として変化させないようにしているそうです。
では、次に具体的にビジネスを起こしていくうえで一番大切なものはいったい何か。
結論から言うとそれは人脈だそうです。
ビジネスをするにはまず場が必要で、場が与えられて、初めてスキルが生きてくる。
また、そのスキルがあることを実際にやって見せなくてもある程度信頼されるための武器が資格というだけのことで、その大切な場をつくるために必要なのが人脈なんだそうです。
なお、「人脈」とは、あなたがどんな能力を持っていて、そのレベルを正確に把握している人たちとのつながりのことを言い、だからあなたのところに仕事が回ってくるんだそうです。
もし現在サラリーマンであれば、上司や部下、周りの同僚の人は間違いなく人脈なんだそうです。
なぜなら普段の仕事を通じてあなたの能力をよく知っているからです。
同様に長年の取引先のパートナーも人脈だそうです。
人脈作りのためであれば、ビジネス交流会などに出るのではなく、まず自分が今まで仕事上でつながってきた人をきちんとフォローすることを勧めるそうです。
まずは自分が何をやりたいかを明確にし、そのうえで必要な人脈をつくっていく。
こう考えていくと、必然的に現役時代に自分がやっていたビジネスと同じことになり、違いは従来のビジネスで不合理に感じていたことや不満に思っていたことをやらなくてもよく、自分のやりたいこと、自分が信ずることだけをやることができることになるそうです。
⑧何を決めておくか?
実際に起業するために必要な準備について考える際、
①形態-個人事業主か法人か?
多くの場合、個人事業主の方がやりやすいですが、大江さんの場合、企業を相手にするものなので、契約主体が法人でないと仕事を発注してもらえないケースを想定して、法人を設立したそうです。
②どんなビジネスをやるか。
仕事の種類は様々な種類がありますが、基本はサラリーマンとして現役時代に経験のあることを活かすことが大原則だといいます。
例えば、金融機関に勤めていた人であればファイナンシャルプランナー、製造に従事していた人とか営業一筋でやってきた人のように会社を離れると仕事として成立しづらい場合はコンサルタントという道もある。
また、やることはサラリーマン時代と変わらないですが、会社と雇用契約を結ぶのではなく、業務委託契約で役務提供を行うというスタイルもあります。
③仕事の場、どんなジャンルの仕事をするかによって変わってくる。
物を作る仕事であれば製造の場が必要ですし、営業中心の場合は、簡単な連絡先さえあればよいことになる。
FPやコンサルタントとして相談を受けるのであれば、それにふさわしい場が必要です。
但し、相談を受ける仕事はそのための場所が必要となりますが、シェアオフィスとかレンタルオフィスを使えばよく、ビジネスのめどが経ち、安定した収入が見込めるようになってから自分の事務所をきちんと構えれば良いそうです。
④事業計画
個人事業主であれ法人であれ、自分のビジネスに関して事業計画を立てることはとても大切で、銀行などから借り入れをしない場合でも自分なりに1年後、3年後、5年後の姿をどうイメージするかは極めて重要となる。
大江さんも初年度半年くらいの間はほとんど売上のない状態が続いたそうですが、できるだけコストをかけずに起業したおかげで焦ることはなく、1年目にはこうやって、2年目にはこういう動きをして、3年後にはこれぐらいの姿になっていたいというのが事業計画だそうです。
もちろん必ずしもその通りにはいかないにせよ、少なくとも自分なりのビジョンをもっておかないことには、ビジネスがうまくいっているかの評価もできなくなってしまう。
事業ポートフォリオと業務内容、サービス提供先を作成し、会社ホームページ上でも公開すること。それらをベースにして考える事業計画は必ず必要となり、事業計画を考えるのが非常に楽しいそうです。
⑨起業した後も忙しい!
企業すればそれでおしまいではなく、起業は長い道のりの始まりに過ぎない。
会社にとって最も大切なことは沢山の利益を上げることではなく、利益を上げ続けて会社を存続させることです。
シニア企業の目的は自分自身で働きがいのある場をつくることのため、かなり事業継続率が高いのではないかと大江さんは考えているそうですが、兎に角無理をしなくても良いということにあります。
とはいえ、きちんとやるべきことはやっておかないとならない。
そのためには、
①会計をきちんとすること。
②広報ということを考えること、
会社としてのブランデイングを構築する上でも広報戦略はとても大切です。
要は自分あるいは自分の会社という存在をどうやって知ってもらうかということです。
③こまめに顔を出す
起業して一番大切なものは人脈である事。
この人脈はあなたを知っているだけではなく、あなたができること、あなたの能力を一体どれくらいの人が正確に把握しているか?ということですが、同じような能力がある人は他にもたくさんいます。
そんな中であなたに依頼してくれるのはなぜか。
それはあなたのことを思い出すかどうか。
そのためには無理をしない範囲内でできるだけ顔を出したり連絡をとったりすることがとても大切だと感じるそうです。
ただし用もないのにいちいち出かけていては時間がいくらあっても足りず、ホームページのコラムやFacebookで情報発信することも大切なんだそうです。
⑩それでも起業が良い理由
起業にはメリットもデメリットもある。
損得勘定だけでいえば、雇用される場合と比較してどちらが得かというのは難しい話ですが、大江さんが「起業」を勧める最大の理由、それは「自由」だからだそうです。
一切の束縛から解放され、自分のやりたいことがやりたいようにできる。
それも体が元気な限りはいつまででも続けられ、いやになれば好きな時に辞めればよい。
サラリーマンが土日の休日が来るのが楽しみなのは言うまでもありませんが、起業をすると全くそんな気持ちがなくなったそうです。
大江さんは仕事が楽しくて楽しくてしようがないんだそうです。
土日であろうが深夜だろうが、気分の乗っている時は際限なく仕事ができるそうです。
逆に気分が乗らない時は、ふらっと近所のスーパー銭湯に出かけたり、都内にライブを聴きに言ったりもするそうです。
シニア企業の場合、規模を拡大してやろうと考えなければ、やりたくない仕事は断り、好きな仕事だけを選んでのんびりやっていくことができる。
定年後の自由というのは誰かから与えられた自由ではなく、定年まで働いた後に獲得した「自由」なんだそうです。
⑪定年楽園への道
大江さんが定年退職後の生活設計を書いた本に対して、年金不安や健康不安を煽り建てて「自分年金」とか何とか適当に名前を付けて貯蓄や投資を盛んに進める類の本、「定年後は10万時間もあるのだからたっぷり人生を楽しもう」という定年後はバラ色本。
どちらも大江さんにとって疑問なんだそうです。
年金制度は十分ではないにしろ、老後を支える手段としては間違いなく大きな柱の一つであること、
またもっと大きな問題は「老後の孤独」であるにもかかわらずお金のことだけを煽るのは無責任のそしりを免れないと考えるそうです。
また、老後の人生バラ色の類の本も、抽象論だったり精神論で、具体性にかけ詳しく触れられていない。
何故ならば、こういうタイプの本の書き手は成功した人や老後を幸せに送っている人かあるいはジャーナリストの立場で取材してきた人のため、現実味があまり感じられないんだそうです。
大江さんの体験に基づき、定年後を楽園にする方法、
①基本は働くこと、
働くとは収入を得るという意味だけではなく、もう少し幅広く活動するということだそうです。
60歳以降も働き続ければ、自分の居場所をつくることにもつながるし、人間は目的をもって活動を続ける限り、心身ともに健康を維持しやすくなる。
そこから収入を得ることができれば、経済的な不安も縮小し、まさに一石三鳥だそうです。
②準備すること。
定年後を楽園にするためには事前にある程度の準備をしておいたほうがよいそうです。
一番大切なのは「自分が何をやりたいか」を考えることです。
大江さん自身、独立して起業しようと決心したのは定年の半年前ぐらい。
また起業後もビジネスの方向が定まらず、比較的はっきりしてきたのは起業後半年ぐらいたってからだそうです。
やりたいことはこれから変わって来るかもしれない。
ただ常に「考えること」は続けてほしいんだそうです。
そして「何でも自分でやる」というスキル。
これからは何でも人にやってもらうのではなく、自分でやるようにしないといけない。
そこで50歳に入ったころから少しずつ「自分でいろんなことをやる」ことにチャレンジしていくことが大切だそうです。
③「自立」の意識。
大江さんが38年間勤めた会社を辞めてみて、いかに自分が、自分の頭では何も考えていなかったかということに気づいたそうです。
それは、日本が世界の先進国で最も成功した社会主義の国。
国民皆保険、皆年金で老後の心配は不要、起業は原則終身雇用で退職金もあり、人生や生活のことを自分の頭で考えずとも、国や会社が全部面倒を見てくれた。
その代わり、組織の示す方向に向けてひたすら智慧を絞り、懸命に働くという価値交換によって成り立ってきた社会だととらえているようです。
世の中が変わるといってもこうした仕組みが一度に劇的に変わるとは思っていないものの、一個人の人生に限っていえば、サラリーマンにとっての定年というのは大きなパラダイムシフトの変化ですし、定年楽園と憂鬱な老後との分かれ目は、この「自立」の意識にあるのではないかと思っているそうです。
なお、大江さんの会社オフィス・リベルタスの企業理念は「サラリーマンが定年後に「自由」を得て、幸せな老後をおくれるように支援すること」だそうです。
現役のサラリーマンとして居場所を持っている人には想像できないくらい、定年後に「自分の居場所」をつくることは大切なことで、定年を迎えた多くの人が何とも言えない茫洋とした喪失感に襲われてしまうのは、「自分が世の中に必要とされている」と確かに感じられないからだと大江さんは認識しています。
その結論として一番大切なことは「自立して何でも自分でやる。そして誰かのためになることをやる」ことだと考えているそうです。
そうすることで、思いがけない人との繋がりやまわりからの感謝が生まれ、自分の居場所が自然に確立されていくことになるからだそうです。
⑫自分の所感
大江さんがお亡くなりになり、1年超経ちました。
71歳でお亡くなりになるほど、定年後身体に負担を掛ける生活をしていたんではないかと指摘している人もいました。
しかし、この本も含め、何冊も書籍を出し、兎に角楽しそうに暮らしていた大江さんが目に浮かびます。
60歳以降の一つの重要な指針と受けとめ、準備していこうかと思います。
