「勝つ投資負けない投資」を読んで-やはり長期投資ですね。

本日は小松原周さん、片山晃さん著作、クロス・メデイア・パブリッシング出版「勝つ投資負けない投資」を紹介します。

この本はTOPIXなどの指数に対して「不敗」の機関投資家である小松原さん、「究極」の個人投資家である片山さんによる共同著作であり、2015年の初版から2024年度に新たな改訂版として改編したそうです。

特に「投資家にとって最も誠実な本をつくりたい」という共通の思いから、投資に対するホンネを語ることが最も誠実な本になるという結論から、第1章から第3章を片山さん、第4章から第6章を小松原さんが記述しています。

私自身は、柳下裕紀さんの「真のバリュー投資のための智慧と実践」

「真のバリュー投資のための智慧と実践」を読んで-書籍自体に10倍超の価値がある | すがわら あつし

という本がプロの機関投資家として真摯に各企業に向き合い、これはという企業を分析結果も踏まえて、その強さを具体名で開示している姿勢が一番誠実だと感じます。

一方、この本で語る投資の哲学「投機ではなく投資」にも共鳴する部分があったため、今回取り上げました。

目次

序章 投資家になるということ

第1部「勝つ投資編」個人投資家 片山晃

 第1章 デイトレはそろそろ限界かもしれない

 第2章 株式投資で勝つための銘柄選択法

 第3章 買い方、売り方、見分け方のポイント

第2部 「負けない投資編」機関投資家 小松原 周

 第4章 株式投資のキホン

 第5章 プロはこうして銘柄を選ぶ

 第6章 ポートフォリオの組み方と勝つ投資家のメンタル

終章  2人が考える、これからの市場

①投機家ではなく投資家になろう

相場の動きを捉えて短期のトレードで勝つことは、それを専門とするプロの投資家でさえも、極めて難しい。

相場は常に変化しており、必ずしも過去と同じ連続性を持った動きをしているわけではない。

これは片山さんが最初デイトレーダーとして時間を費やしたが、誰でも勝てるパイの拡大期と縮小期で未熟だけどお金を持っている人たち、つまり「カモ」が次々現れ、上級者は先行した優位性を武器に勝てる状態、一方安定期、相場の下落時は今あるパイの取り合いとなったり、小さくなるため上手い人でも勝てなくなる冬の時代が来る。

リーマンショック前の下落時に片山さんはそのようなことを理解し、今は「小型の成長株がその頭角を現し始める初動を捉えて集中的に投資をする」

これをやるには、普通の人があまり見ていないような小さな株を常にウオッチし、世の中の次のトレンドが何かを考え続ける必要がある。

小型の株は特定の製品やサービスに特化していることが多いだけにそこに時代の風が吹けば業績や評価が一変する可能性を秘めている。

そのためには、世の中の行く末や企業の盛衰について考えることがそもそも好きで、そうしたことに多くの時間を費やすことをいとわない人しかできない可能性があるそうです。

このような投資の勉強をする時間や情熱を掛けられない人は、

①無理のないリターンを上げる手法を磨く

②信用できるプロフェッショナルを見つけ、自分の代わりに運用してもらう

③投資でかつために自分自身を殺し、勝てる性格に少しでも近づける

ことを上げています。

例えば、①については、企業の純資産価値に着目したバリュー投資、配当利回りを基準とした銘柄選択、相場が大きく下げたときにだけ出動するやり方、

②については投資信託を買うやり方、

③については、長期投資においては、短期的には弱弱しく見える値動きでも、自分が考える将来価値との差にギャップがあると思えば、むしろ買い増ししていく勇気。

などを挙げています。

兎に角諦めずに続けることが何よりも大事で、一度始めたものは細々とでも続けて蓄積していった方がよく、投資で身に付けた知識や考え方が仕事で役立つこともあるかもしれないとも述べています。

②株式投資で勝つための銘柄選別法

日本での認知度が高いのが、その企業が持つ純資産、いわゆる解散価値に着目した「バリュー投資」

片山さんは、リーマンショック回復時にPBRが低い銘柄に投資をしたそうですが、業績回復スピードの差で一部の銘柄は大した値上がりを見せないまま終わった。

その経験から、次第にEPS(1株当たり利益)の成長を重視するようになったそうです。

低PBRの株では儲からない理由。

それは「変化」が起きないことで、単年度の損益が純資産に与える影響が小さい。

これは、PERが低い投資についても、そのPERが将来どのように変わっていくかに着目することで、PERが30倍でも、翌年2倍の利益を挙げることができればPERは15倍に下がり、倍の成長が続けば2年後にはPERが7.5倍になる。

今ぐらいの高成長が少なくとも向こう数年は続きそうだと考える人にとって、現在の株価が未来のPER3倍や4倍に見える。

つまり片山さんの「割安」の定義は、「その銘柄が将来実現すると考えられるEPSに対して現在の株価が割安かどうか」ということになる。

決算資料を読み込んで業績の変化に着目し「なぜこうした変化が起こったのだろう?」と疑問を持ち、考えを尽くす。

また、時価総額の大きな大企業には、大勢の投資家がついて自らの投資先が今どうなっているか、一挙手一投足に目を光らせている。

一方、時価総額が小さな小型株となるとプロのアナリストもついておらず、業績の一挙一動を見ている投資家の数も減ってくる。

更に売上が数十億、数百億レベルの企業であれば、数年で業績が②売上3倍になることは十分起こりえることから、業績変化率の高さにおいても中小型株に大きな魅力があると片山さんは考えます。

更に投資した株が「いつ上がるか」が大事で、上がりもせず下がりもせずただ時間だけが経過していることが一番ダメだと考えるそうです。

誰が考えてもそうなるだろうなというストーリーを提示できる企業の株は素直に上がっていく。

また、ある銘柄が駄目になったとしても、それと同じくらい優れた他の銘柄が頭の中にある人は、容易に乗り換えを検討できる。

日頃から常に新鮮な投資アイデアを求めるようにしておけば、塩漬け銘柄をつくるリスクは格段に抑えられる。

また、大きく勝つには個別銘柄の選択術だけでなく、大胆にリスクを取っていくことも大切だと言います。

単なる運否天賦、コインの裏表のようなギャンブルではなく、緻密な調査と分析に裏打ちされた割のいい勝負であれば、相応のリスク量を取るべきだと片山さんは考えるそうです。

③株式投資のキホン

株価、別の言葉で表現すると「時価総額」「企業価値」

は将来に稼ぐ現金、いわゆるキャッシュフローを今の価格に割り引いた土岐の価格が「理論株価」となる。

実は過去の実績をバックテストして検証すると算出された理論株価と実際の株価は実はほとんどずれない。

PERなどの指標を用いて現在の株価が高いか安いかを論じるが、現在の株価が割高か割安かを議論するのには、キャッシュフローから導き出される理論株価に対して割高なのか議論すべきというのが小松原さんの意見です。

また、投機とは「確率」にお金を投じること、投資とは「価値」にお金を投じること。

パチンコ屋競馬などギャンブルにお金を投じるのは「確率」に対してお金を賭けている状態であり、一定の確率で勝ち、一定の確率で負けるように出来ている。

一方、投資とは、需要と供給によって新たに生まれる「価値のギャップ=富」を得るものであり、その実現益は国内総生産にも計上される。

A社が魅力的な製品を世に出し続けて利益を右肩上がりに上昇させ続けたことで、A社の株をほしがる人が増え、株価も右肩上がりに上昇を続ける。

経済的な富とはこのような価値の上昇をいう。

価値のギャップを見つけて資産を増やしていく投資家と、不公平な確率に依存して資産を減らしていく投機家のどちらになりたいか。

小松原さんは投資家になることを強く勧めています。

また、片山さん同様、売買に参加する投資家が多いニューヨーク市場の大企業の情報は多くの投資家が同じ情報を得ているため、差別化が全くと言っていいほどない。

一方、日本株、特に中小株などはウオッチしている投資家が少ない為、情報の効率性がとても低い状態で放置されている銘柄が多数ある。

従って、投資で勝つためには、できるだけ情報が非効率的なところで戦った方がリターンが得やすいといいます。

更に規模の小さい中小型株などは、景気のような外部要因の影響は当然受けるが、新しい製品やサービスに競争力があり、ビジネスに勢いがある会社の場合は、業界内のシェアも低く景気の波を押し切って成長を続けるようなケースが数多い。

結果として、独自の内部要因としての成長力がある中小型株には、外部要因の逆風を払い除けるだけの力があると言います。

④プロはこうして銘柄を選ぶ

将来大化けする会社を見つけるためには、まず世の中の大きな流れを感じることが大切で、世の中の根底を流れている潮流、いわゆる「メガトレンド」を見つけ、その流れから外れていない会社かチェックします。

インターネットに代表されるIT革命は、半導体の微細化が急速に進んだおかげで、より安価で便利なデバイスやアプリケーションを手にすることが出来るようになった。

このPCやスマートフォンの心臓部分にあたるCPUはロジック半導体と呼ばれるもので構成されており、このロジック半導体の微細化と高速化は少なくとも2035年まで続くことが示されている。

つまり現時点で当たり前のデバイスやIT系のサービスは10年後にはまったく新しい何かに置き換えられ、無価値になっている可能性が高い。

このような広義のIT革命が間違いなくメガトレンドと言えるそうです。

また、小松原さんの投資したくなる会社には、

①社長の質が高いこと

②強い組織をつくること、言い換えるとフェアでオープンな組織であること、

③ビジネスの競争力があること

を挙げます。

なお、伸びる会社のサインとしては、

①収益性が向上していること、

その中には売り上げの伸びより在庫や売掛金の伸びが低く抑えられていることなどもビジネスの競争力が高まっているサインと言えるそうです。

②経営者がROEの向上を意識していること、

収益性が向上すると、当期純利益が増加するため、ROEが上昇する。

一方、稼いだお金をより儲かる事業へ再投資したり、配当や自社株買いなどによって株主に資金をしっかり返還していないと、株主資本が増加してROEが低下する。

③収益性の高いところへ投資している。

伸びる会社は新規事業やM&Aへ投資する際に、現在の会社の収益性よりも高い収益性が見込まれる事業へ投資することに注力している。

収益性を重視した投資規律を持っているかどうかをチェックする。

④多くの人を幸せにしている。

その会社の製品やサービスによって世の中の人がどれだけ幸せになっているかを見る。

⑤ガバナンスがしっかりしている。

継続的に高い利益成長を遂げている会社には、独立性の高い社外取締役が多いという特徴がある。

対照的に創業者が社長と会長を兼務しているような会社はワンマン経営であり、ガバナンスがない。

⑤おすすめは長期投資

小松原さんが推奨するのは長期投資。

あくまでも継続的に成長を続ける会社への投資のためそのような会社へ投資をしている限りは、売るときのことなど考える必要もない。

あなたが託したお金を効率よく使い、より多くの利益を還元してくれる会社の株主であるならば、極端な話、一生売る必要はない。

株価は短期的に相場の影響を受けて乱高下するが、中長期的に見れば、毎年利益を拡大させている会社の株価は必ず上がる。

本当に株式投資で勝つときというのは、何年もかけて株価が何倍にもなっているような時である。

勝てる投資家が最も労力を費やすのは、投資をするかしないかの意思決定をするまでの過程にある。

また、勝てない投資家は、総じて「面食い」であり、会社の業績(ファンダメンタルズ)を見ずに、株価の動きのみを見て行動する。

一方、勝てる投資家は、会社の内面をよく見て、幅広い視野で、合理的な判断をする。

なお、小松原さんはファンドマネジャーとして、パンデミックの時などマクロ経済の変化が大きい時に大口顧客から問われるといつも同じ回答をするそうです。

「パンデミックにより一時的に業績が悪化するかもしれませんが、投資している企業の成長ストーリーや業績予想は大きく変わりませんので、期待リターンは変わりません。

よってポートフォリオに追加的なアクションは必要ありません。」

彼自身がシンプルに自分の投資スタイルを変えずにいることが、あらゆる相場環境の中でパフォーマンスを大きく崩すことなく生き残れていると考えているそうです。

⑥自分の所感

本の中で、小松原さんが、リスクという振れ幅の中からしかリターンは生まれず、「ノーリスクで5%の配当がもらえる」という話は投資の世界では決して存在せず、振れ幅のないところから得られるものなどなにもない。

投資で勝てるかどうかは、背負うリスクに対してどれだけ大きなリターンを得られるかに掛かっていることを指摘しています。

私自身も配当利回り何%という目先のリターンは意識せず、兎に角投資を検討とする会社の参入障壁はどこにあり、どのように価値(フリーキャッシュフロー)を伸ばしていけるのか。

この一点をより意識して勉強しながら、亀のように少額でも積み立てて行きたいと思います。