「日立の壁」を読んで‐優良企業になると分かっていれば、株主の立場がいい!

本日は、日立製作所会長 東原敏明さん著作 東洋経済新報社出版「日立の壁」を紹介します。

日立については、以前柳下裕紀さんの講座を受け、日立の直近の復活ぶりを理解しました。

日立製作所の復活-これから株価が爆発する気配が、、、。 | すがわら あつし (ironman1977.com)

それでは、この十数年で日立は何を変えてきたのか。

前体制の川村さん、中西さんから引き継いだ東原さんは、「稼げる会社にする」「社会イノベーション事業の強化」に加え、「グローバルナンバーワン事業をつくること」をポラリス(北極星)、つまり日立の進む道と見定めたそうです。

今日は、その時の経営改革の内容を書いた東原さんの本を紹介します。

序章 日立という壁

第1章 ポラリスを見上げて

第2章 稼げる会社になる

第3章 ルマーダ始動

第4章 日立のDNA

第5章 大みか工場と私

第6章 ロスコストの清算

第7章 グローバルナンバーワンへ

第8章 私の経営理念‐自律分散型グローバル経営

第9章 未来の日立のために

①日立の沿革と東原さんの目標

日立製作所は、1910年創業の100年企業。

元々輸入物が多かったモーターなどの製品について、国産の機会をつくるという志を抱き、明治時代に創業したベンチャー企業だったそうです。

2023年現在、事業分野は主に情報・通信関連のデジタル部門、電力・エネルギー、鉄道など脱炭素に貢献するグリーン部門、家電などのインダストリー部門の3つのセクターで構成され、年間売上は10兆円。

その半分以上の売上が海外なんだそうです。

高度成長期には、新幹線の車両開発、銀行取引や自動車の生産管理などに使われる大型コンピューターの開発、効率的な発電技術の開発など様々な分野で社会貢献を果たしていったそうです。

一方、2008年度の決算で7873億円の当期損益の計上から、川村隆さん、中西宏明さんの経営改革が始まったんだそうです。

その二人の路線を引き継ぎ、東原さんは営業利益率の高い「稼げる会社」にすること、そしてモノ(製品)を売るビジネスからコト(サービス)を売る社会イノベーション事業へ転換を加速させ、その分野で世界に伍していける「グローバル企業への成長」を役割として掲げたそうです。

特に事業を引き継いだ時には」、年間売上10兆円規模を維持する一方、営業利益率は6%、その利益の多くはグループの上場子会社に支えられ、不採算事業や低収益事業が多く残っていたこと。

その原因を東原さんは保守的で改革を好まず先延ばしにする事なかれ主義、失点の少ない人が出世しやすい官僚的体質、自分の担当する事業部門で赤字を出しても他部門が助けてくれるという甘えの構造など「大企業病」にあったと考え、日立のすべての部門を「グローバルで戦える集団」にすることを最大の目的とし、日立という巨大企業の中にいくつも立ちはだかっていた「壁」をたたき壊す作業を行っていったそうです。

そして6年間の経営改革の結果、営業利益率8%を達成。

1兆円を超える大型買収などを成立させ、さらに強い企業となったそうです。

東原さんの見方としては、

①社会のニーズがモノからコトと変容する中で企業の事業内容も変化し、人々の職業観や働き方も変わりつつある。

②一方、働き、知恵を絞り新しいアイデアを生み出すことの楽しさやお客様に感謝されることの喜びに変わりはない。

というのが時代の変化と変わらない考えだそうです。

なお、過去の経営交代に関していうと、日立では副社長の1人が社長に就任すると、同じ時期に副社長だった人の中には、グループ会社や関連会社の社長のポストに退くのが通例です。

川村さんは、副社長からグループ会社の会長を歴任。

中西さんも副社長から米国グループ会社の経営に専念していたが、2008年の経営危機の翌年に経営再建の切り札として日立本社に呼び戻されたんだそうです。

二人が断行したのは「事業構造改革」と「ガバナンス改革」

経営改革の最初に、日立情報システムズなど上場会社5社の完全子会社化による情報通信技術を基盤とした社会のデジタルインフラを構築する「社会イノベーション事業」に注力するため、制御運用技術屋IT技術力を持ったグループ会社を完全子会社化し、一体運営を強化したそうです。

また、「ガバナンス改革」では、カンパニー制を導入し、社内に競争原理が働くようにし、取締役の過半を社外取締役に。

更に公募増資を実施し、自己資本比率を回復したそうです。

東原さんは、執行役社長兼COOの2年の間に経営ビジョンを描き、ビジネスユニット制の導入、自筆分散型グローバル経営の基盤づくり、その推進力となるlumadaの構築を結果として6年で作り上げたんだそうです。

②稼げる会社になる

3年間の2018年には、売上10兆円、営業利益率8%、当期利益4000億円超を達成する。

その為に不採算事業や低収益事業の整理をする。

その為にカンパニー制を廃止し、社長自らがハンズオンするビジネスユニット制に移行する。

川村さんが導入したカンパニー制により、製造、販売、サービス機能が一体となったそれぞれのカンパニーが年間一兆円を稼ぎ、営業利益10%出せば良い。

この制度により日立のV字回復に大きく貢献したが、細かいレベルでは各カンパニーには不採算事業が整理されず残っていたと東原さんは課題感を感じたそうです。

このカンパニー体制の結果、計画の上期までは年度目標の達成との見通しを報告してきたのに対して第三四半期が終わる頃に下方修正される。

各カンパニーはカンパニー全体の売上や利益率で評価する為、高収益事業に注力する。

問題は不採算事業や利益質の低い事業が甘える構造がまだ残っていたこと。

そして各カンパニーは独立した法人とみなし、責任と権限を明確にしているため、サイロ化し、どこに問題があって目標が達成出来なかったのか見えない。

強固な縦割り構造のままだと人事を通して社長の意思を伝えられない。

そこで、このカンパニー制を解体し、社長直轄の14のビジネスユニット別とし、サービスを主体とするフロント、高度なデジタルサービスを提供するための必要不可欠なテクロノジーを集約したプラットフォーム、プロダクトを主体とする群に分類、このプラットフォームが社会イノベーション事業のエンジンとなり、ルマーダと名付けたそうです。

このBU制の狙いの一つは社長が全ての現場を把握することで、各BUのCEOを全員集めて月一回の状況報告を開始。

従来、社内カンパニーの社長が各事業部門のトップに行っていたアピアリングを社長が行う。

そしてBU長会議では、営業利益が5%に満たない事業は改善するか撤退の是非の判断、赤字プロジェクトの早期収束、品質向上とロスコストの最小化を繰り返し指示し、改善策を探ったそうです。

また、トラブルを抱えるプロジェクトがあれば解決策を提案し話し合う。

トラブルを社内カンパニーの中で解決するのではなく、他の技術者と協力し、縦割りの壁を叩き壊すつもりでやったそうです。

その結果、例えば電力需給管理システムに関するエネルギーBUの課題を公共BUのIT技術者集団がトラブル解決したという事例も出てきたそうです。

更に営業利益率5%以下の事業については改善の合理的見込みがなければ撤退が原則と言い渡したそうです。

その他にも、売電ビジネス、土木工事を禁止。

一方、BUの規模が数千億規模だとそれぞれの体力に合った相手しか買収できず、売上が小さいと、発想も小さくなるという課題感を持つようになったことから、①電力・エネルギー、②産業・流通・水、③アーバン、④金融・公共・ヘルスケアの4つの注力分野にグループ分けし、各分野のトップを当時の副社長に依頼。

M&Aでも研究開発でもいいので、何を成長のためのドライビングフォースにするか考えてもらったそうです。

産業・流通・水の分野では、米国のサルエアーという空気圧縮機の製造販売会社の買収、米国のロボットシステムインテグレーター事業のJRオートメーションの買収などを主導したそうです。

電力エネルギー分野は、英国原子力事業からの撤退と火力発電所事業の三菱への売却、更に金融公共ヘルスケア分野の方が、プロジェクト遂行過程を管理するフェーズゲート監理を強化。

BUを4つの注力分野にグループ分けし、しっかり利益を守る。

一方、成長戦略は大きな単位でやると役割分担したそうです。

③ルマーダ始動

もともと中西さんから「社会イノベーション事業でグローバルカンパニーをめざせ」といわれていた。

そこで東原さんは社会イノベーション事業を「デジタル技術を用いて高度な社会インフラを提供し、社会の利便性を高め人々の生活の質を向上させる事業」と定義したそうです。

つまり、鉄道や電力、環境、医療などの社会インフラの分野の企業に、日立のデジタル技術やソリューションを提供して、社秋インフラの効率性や利便性を高めることで、人々の生活の質を向上させる事業。

今風に表現すれば「社会インフラをDXする事業」となる。

例えば、デンマークのコペンハーゲンメトロ向けに開発した運行管理システムでは、もともとイタリアの鉄道会社アンサンドブレダが車両を、アンサルドSTSが運行管理システムや24時間自動運転システムを納入していました。

それを2015年に日立が両社を買収し、保守運用を引き継ぐ中で見えてきた課題は以下でした。

「デンマークの地下鉄運行には、大きな課題があり、展示会のような大きなイベント開催期間中は混雑する一方、閑散とする時間帯もある。

空いている時間帯を基準に運行本数を決めると混雑時の利便性が低くなる。

一方、混雑時を基準にすると乗車率が低くなり利益が上がらない。」

そこで、日立のIT技術を活用し、駅の各所に人感センサーを設置し、リアルタイムで混雑状況を把握し、混雑してきたら運行間隔を短くして閑散とし始めたら間隔を開けるという運行管理システムを構築し、実証したそうです。

鉄道車両などのプロダクトのモノづくりには創業以来100年以上の経験値の蓄積、運行管理システムには鉄道会社と一緒に成熟させてきた操業技術、更に他分野である発電所での発電量の調整や浄水場の送水など、運用制御に関する操業技術(OT)の蓄積、このIT、OT、プロダクトに高い技術と経験、人材、ソリューションが蓄積されていることから、One Hitachiで取り組むことができる体制の構築が必須と東原さんは考えたそうです。

特に、当時の日立は、多種多様な事業を抱えながら、事業同士の相乗効果が生まれず、企業価値が各事業の事業価値を足し合わせた額より小さくなってしまうコングロマリットデイスカウントの状況に陥っていたことも課題感としてあったそうです。

一方、に東原さんの構想にあった「自律分散型グローバル経営」を発表したところ、各地域がそれぞれ独自の取り組みをはじめ、似たようなプロジェクトが重複するケースがあったこと、

そこで、日立のショールームとしてサービスやプロダクトが一覧できる場所を提供することのために、ルマーダ(IlluminateとDataを組み合わせた造語)をつくり、ITとOTの融合により、IOT関連ソリューションの開発と容易なカスタマイズを可能とするIOTプラットフォームを世界に示したそうです。

現在のルマーダは、日立の各部門がこれまで蓄積してきたITやOTなどのテクノロジーに加え、それを活用してお客様と新たなソリューションを創るための顧客協創の方法論、そして協創を通じて創出、パッケージ化された様々なソリューションやユースケースなどすべてを包含したコンセプト事業として位置づけられているそうです。

お客様との議論を通じて課題を特定し、それを解決するためにルマーダとお客様の持つOTやITの技術やデータをつなぎ、新たなソリューションやビジネスが生まれる。

その一例として、ダイセルというエアバック、インフレータの製造工程で画像解析システムを開発。

作業時の関節位置情報収集と標準動作モデルを比較、逸脱動作を判定し、管理者へ知らせることで製品の不備や不具合を未然に防ぐ。

この技術が確立したのち、ダイセルからの紹介でダイキンとも協業。

空調機の内部の冷媒が通る銅管の接合のために、合金を溶かして隙間に流し込むろう付けと呼ばれる職人技を画像解析技術をもとに熟練者と訓練者の技能の違いを人、設備、材料、作業方法の4つの観点から定量的に評価できる技能訓練支援システムの開発につなげたそうです。

このルマーダは様々な事業分野で様々な職種ごとに1000件を超えるユースケースが蓄積され、様々なソリューションをパッケージ化して集積している。

立ち上げ後5年目の2020年度は約1兆1100億円、2022年度は2兆円近くを達成、更に2024年度には2兆7000億円を目標値としているそうです。

2024年3月期連結決算の概要および2024中期経営計画の進捗 (hitachi.co.jp)

④日立のDNA

日立の創業者 小平浪平さんは、東京電燈で発電所建設に携わった後、日立鉱山に入社。その当時使われていた電気機械が輸入品であったことから、国産モーターの開発に乗り出し、日立製作所を創業。銅鉱山の掘削機械に使うモーターから、水力発電用発電機、電気機関車を自作。

今日もエネルギー関連事業や鉄道関連事業が日立の基幹事業なんだそうです。

更に情報・通信の分野も戦前から参入。

1950年代にはコンピューター開発に着手したそうで、コンピューター技術を応用したオンラインシステムや工場、発電所、交通システムなどの自動化の基盤技術となる制御システムの開発にも参入。

国鉄の座席予約システム、銀行オンラインシステム、新幹線の運行管理システム、原子力発電所の中央監視制御システム、上下水道監視制御システム、JR東日本と共同で東京圏輸送管理システムなどを開発していったそうです。

一方、2008年の大赤字後就任した川村さんは、日立情報システムズ、日立ソフトウェアエンジニアリング、日立システムアンドサービス、日立プラントテクノロジー、日立マクセルの5社の完全子会社化、テレビ生産の撤退、大型ガスタービンの生産が得意な三菱重工と中小タービンの生産に長けた日立の火力発電システム事業の統合、カンパニー制の導入。

またそのあとの中西さんが社会イノベーション事業を日立の柱となる事業と定め、デジタル技術を活用したソリューション事業への転換とグローバル化の加速。

ハードデイスク装置事業の売却、空調事業の合弁事業化、鉄道システム事業の買収、スイス起業ABBとの高圧直流送電システム事業での提携を図ったそうです。

更に東原さんは、価値を重視した経営の方針を打ち出し、「顧客協創」で事業を作り上げていく際に、顧客にとっての余剰価値がどこにあるのか、どのような余剰価値を求めているのかを理解し、それをターゲットにする「オフィスで残業するより、異業種交流会に参加したり顧客の事業分野について勉強したりして顧客にとっての価値を見つけることの方が、よほど意味がある」と言い続けてきたそうです。

鉄道システム事業では、ドーマーさんに欧州エリアへの事業拡大をし、イタリアの鉄道会社アンサルドブレダとアンサルドSTSの買収が、その中核の役割を果たしており、フランスのタレスから鉄道信号関連事業買収を目指すことで、世界一をめざしているそうです。

また、プロダクト提供ビジネスからサービス提供型ビジネスへの重心移動という方針に基づき、自動車部品事業のホンダ系列会社との統合、医療機器事業の富士フィルムへの売却、更に日立とデジタルでシナジーを発揮できる優良企業の買収という意味で、スイスのABBからパワーグリッド事業の1兆円の買収、米国のグローバルロジックの1兆円の買収。

一方、英国の原子力発電事業からの撤退、南アフリカの火力発電事業での多額の損失の補償の代わりに、三菱重工との合弁事業からの撤退も決めたそうです。

更に2016年には日立物流と日立キャピタル、2017年には日立工機と日立マクセル、2018年には日立国際電気、2019年にはカーナビ事業 クラリオンの売却、2020年には日立化成、2021年には画像診断事業、2022年から2023年に掛けて日立建機、日立金属と売却。

その背景には、優秀なグループ会社を連消して営業利益を挙げても、実際には少数株主に利益がどんどん流れて当期利益が大したことはない。

また、経済のグローバル化の急速な進展により、ビジネスはどの分野であれグローバルな競争力を持たなければ淘汰される時代になっていると東原さんは判断していること。

そこで、適切かつ軽い保有資産への転換を図り、大きな資産を保有する重たい事業を整理し、保有資産の少ないサービス中心の事業への転換を目指す。

この基準で運営する日立グループと、ほかのパートナーとの強化するのと互いにとって最適解なのかを選別の基準にしたそうです。

その結果、かつて22社を数えた上場子会社のうち、社会イノベーション事業と親和性の高い7社は完全子会社化でグループに残り、プロダクト中心の15社がグループを去ることになったそうです。

一方買収したグローバルロジックは、デジタルエンジニアリングサービスを提供しており、客がサービスをどのように体験するかというデザインから実際のシステムなどの設計、開発をグローバルナチームでワンストップで実行するそうで、米国マクドナルドの店舗で普及しているタッチパネル式の注文システムのデザインなども手掛けたそうです。

2025年の世界を考えたときに、デバイスの中にソフトがあり、直接クラウドと通信できるようになる。

例えば、自動車だと車自体がデバイスとなり、その中のソフトとクラウドが直接リンクできるようになる。

そういう時代に5Gの世界で戦い抜くにはデジタル人財が全然足りない。

デバイスからクラウドまで対応できる技術力やスピード感ある開発力、新たなサービスを顧客と共創できるデザイン力や培ってきた顧客基盤も魅力的だったそうです。

ABBからの買収によりパワーグリッド事業で世界一の企業となり、タレスから鉄道信号通信事業の買収が完了すれば、この分野でもトップになる。

そして、社会イノベーション事業の世界ナンバーワンを目指すそうです。

⑤自律分散型グローバル経営

各拠点がローカルローカルで始めたビジネスの成功体験やノウハウをほかと共有して、グローバルに最低化したビジネスを展開する。

その共通のデジタルプラットフォームの構築がルマーダであり、その原点は、東京圏輸送管理システム(ATOS)にあるそうです。

制御コンピューターシステムは、2つの大別され、1つは権限を中央のコンピューターに集中させ、ネットワークでつないだ末端のコンピューターに指令を送って全体を統一的に制御する中央集権型。

もう一つは中央のコンピューターから送られてくる情報をもとに、末端のコンピューターが菅あk津する範囲だけを自律的に制御する自律分散型。

後者の自律分散型システムには均一性、制御性、協調性という3つの特徴があり、各駅のコンピューターには、共通の情報以外に駅の代やや列車の遅延や事故が発生した時の対処法などの情報が入力。

制御性とは、各駅のATOSが判断して管轄範囲を制御する。

最後の協調性とは、「ほかに迷惑をかけない」システムだそうです。

このATOSは中央本線の相模湖駅から1駅ずつ順番に導入していったそうですが、東原さんの自律分散型グローバル経営という考え方にも、均質性、制御性、協調性の3つが備わっているんだそうです。

均一性は、企業理念、ブランド、人事などのコーポレート部門が担当し、企業理念やブランを守る。

経営の制御性とは、グローバルに展開する日立の各地域代表や国内の各BUに権限と責任を持たせ、本社の意思決定を待たずに独自の判断で自律して事業を遂行できる体制。

そして、各地位の事業のトラブルが一定地域のビジネスに影響を及ぼしたり、他地域のトラブルから影響を受けないようにそれぞれが自律して事業を遂行することにしているのが経営の協調性なんだそうです。

尚、この均一性を機能させるために活躍したのがABBから獲得した経営資源だったそうです。

ABBの経営は自律分散型の理念に近く、死者や現地法人の財務、人事、調達、社内DXなどの機能をGBSに集約していたそうです。

⑥所感

従業員としては、大変であったであろう日立の大改革。

その改革をトップが仕切っていった様子がよくわかります。

また、あの欧州の鉄道事業に食い込み、イタリアやフランスの鉄道関連事業を買収できたこと、ABBの送電線事業を買収しただけではなく、欧米の経営システムを取り入れられたこと。

そしてグローバルロジックの買収など、日立の株主からすると、素晴らしい経営を実践していると言えます。

この日立の実例を見ても、日本製鉄の実例を見ても、今の時代は優秀な経営を行う企業の株主になるのが、長期的に報いられる気がしました。

今後、生成AIの活用を含めたルマーダ事業の拡大等も含めて、日立はその恩恵をたっぷり受ける立場なのではないかと考えます。

長期的にみて日立は、楽しみですね。