本日は、今村久美さん著作「NPOカタリバがみんなと作った不登校親子のための教科書」を紹介します。
NPOカタリバは、ある投資家の方が推薦していて、何年か前から私自身寄付をしていました。
一方、青少年の経済的事情を抱える家庭に対する学習支援をしているという視点のみ持っており、不登校の生徒に対する支援に関する本を出しているとは思ってもみませんでした。
今回、私の子供たちが不登校になったのを契機に、不登校について勉強してみようと思い、この本を手に取りました。
著者の今村さんは、2001年にNPOカタリバを設立。
高校生の為のキャリア学習プログラムを開始。
また、コロナ禍以降、経済的事情を抱える家庭に対する学習支援やメタバースを活用した不登校支援を開始するなど、社会の変化に応じてさまざまな教育活動に取り組む。とあります。
私自身は、時々受け取るメールでの活動報告を斜め読みしながら、なんとなく地道に活動をされているのを好意的に見ていました。
第1章 不登校は、誰がなってもおかしくない
第2章 「学校へ行きたくない」。その時、どうすれば?
第3章 不登校の子に寄り添う時の七つの心得
第4章 学校や先生との関わり方
第5章 大丈夫!相談機関や支援施設はこんなにある!
第6章 「オンライン」という新しい解決法
第7章 こんな時、どうする?先輩親子からのヒント
第8章 不登校の子の進路選択
終章 不登校の未来を変える
➀不登校は、誰がなってもおかしくない
政府が定める年間30日以上学校を欠席する子供を「長期欠席者」として分類しているそうですが、その数は訳41万人。
更に特定の理由のないいわゆる「不登校」の子供達は24万5千人(令和3年度)に達したそうです。
これは30年程前 1991年の5倍以上になっており、さらに毎日朝から夕方まで教室で過ごしているわけではない子供たちは、「不登校」とカウントされている子供達の3倍以上もいると言われているそうです。
割合で言えば、全中学生のうち10.2%、つまり10人に1人以上の子供が隠れ不登校状態という統計もあるそうです。
(不登校3.1%、1週間以上連続休んだ経験のある子1.8%、仮面登校8.4%)。
尚、今村さんが言うには、「不登校は子ども自身のせいではない」ということ、また学校も少し気に掛かる子供達をサポートする余裕がもうないこと。
家庭も家族形態の変化により、それが難しくなっていると捉えているそうです。
また、文科省は2019年に「不登校児童生徒への支援は、「学校に登校する」という結果のみを目標とするのではなく、児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて、社会的に自立することを目指す」という通知を出したそうで、子どもにとって学ぶことは「義務」ではなく「権利」という意識に切り替えていく必要があるそうです。
②心のエネルギーが回復していくプロセスがある
学校を休み始めても、心のエネルギーはしばらく下がり続けるそうです。
➀休みはじめ、②初期、③休養前期、④休養後期、⑤回復期、⑥復帰期とあり、休養後期になって初めて、エネルギーが回復し、何かをやる意欲が出てくる、更に復帰期になり始めて登校できるラインになるそうです。
また、学校に行かない理由を聞いても、本人が気づけていない部分があったり、言語化するのが難しいそうで、原因の究明よりも、まずは休ませてあげることが先決だそうです。
また、休む単位も1週間単位で子供と一緒に決めることで、「あなたが休むことを受け入れている」ということが伝わるそうです。
更に出来れば家での過ごし方のルールを話し合い、朝ご飯を一緒に食べるとか、ゲームをする時間を決める、更にお手伝いをしてもらうなど役割を与えることも居場所を作る一つになるそうです。
③まずは学校の中に相談できる人を見つける
子どもが不登校になった時に、まずは担任の先生、担任との不和が原因の場合は、他の先生やスクールカウンセラーなどにも相談すると良いそうです。
④思春期という世代を理解する
思春期世代の心の動きで特徴的なのが、両価性というもので、親に甘えたいけど、親って面倒くさいしウザイ。
両極にある考えを行ったり来たりしている状態にあること。この気持ちが揺れ動く中で、だんだんと振れ幅が狭くなり、人間関係や学校生活、社会との折り合いのつけ方を学んで自立していくという過程にあるようです。
この中で、学校の人間関係を持ち歩いている子が殆どだそうで、今住んでいる世界が、実はとても小さな世界で、外にはもっと広い世界が広がっていること。
今住んでいる世界から外に出るのは自由と示すことが重要だそうです。そんなことも性質の内発性に火をともすキーマンになりえるのが、年上だけど利害関係のない「ナナメの関係」の存在だと今村さんは考えているそうです。
子供が不登校になった時、親ができることのひとつは、子どもにとって安全な「ナナメの関係」の人に出会える可能性のある場所に誘い出すことだと言います。
⑤相談できる機関は、公的にもプライベートにも、オンラインにも沢山ある
学校で相談して解決できなくても、住まいの地域の自治体にある教育支援センター、こども家庭センター、更にはフリースクール、オルタナテイブスクール、更にはカタリバも立ち上げたオンラインメタバース空間{Room-K}などもあるそうです。
今村さんが言うには、こういった機関との連携を取りながら、子どもを誘い出すきっかけが大事だそうで、また学校に行くことを目的とせず、自立を目指して学び続ける環境があることが重要だそうです。
⑥進路については、早めに情報収集と相談を
高校には、全日制、定時制、通信制とあり、更に高等専修学校、特別支援学校もあります。
高校から学校生活を楽しみたいと考えるか、自分に合った時間を選んで毎日学校に行くか、自分のペースを大切に、通学、学習するかで選ぶポイントは変わります。
更に高校を卒業しなくても高卒認定を取得できれば大学受験は出来るそうです。
今村さんは、子どもたちが、安全なナナメの関係の他者と出会える社会にしていくことだそうです。
⑦自分の所感-不登校はうつ病に似ている
私自身は、小中高校生と比較的悩まずに学校に行き、受験もクリアしたので、それほど悩みはありませんでした。
しかし、大学そして社会人になった後に何になりたいかといった課題に直面した際、色々と考え込みました。
今の小中高校生は、その悩む時期がもっと早く来ているのかもしれないと感じています。
また、不登校のメカニズムは、うつ病のメカニズムと似ています。心身が壊れるほど働き、心の余裕がなくなり、ダウン。
その後回復期から寛解(病気が治り、復帰できるようになる)まで長い期間がかかります。
まずはじっくりと時間を与えることからスタートだと感じました。
尚、人生の挫折など幾らでもあります。
そういう意味では、若い時期に自立に向けて考えるのは悪くもないとも思います。