「失敗のしようがない華僑の起業ノート」を読んで

本日は、大城 太さん著作「失敗のしようがない華僑の起業ノート」を紹介します。

これまで印僑やユダヤ人の考え方については、幾つか触れてきました。

「頭で考える前に「やってみた」人が、うまくいく」を読んで – アイアンマンブログ (ironman1977.com)

「これからの時代のお金に強い人、弱い人」を読んで – アイアンマンブログ (ironman1977.com)

「ユダヤの商法」を読んで – アイアンマンブログ (ironman1977.com)

一方、私が東南アジアで製鉄プラントの仕事を頂いてきたのは、印僑やユダヤというよりも、華僑の方々で、お金儲けが上手、そして地元に根付く覚悟を持っているためか、華僑にとっても外国となる現地ともうまく付き合っている印象があります。

今日は、大城さんの本から、その華僑の哲学について探っていきたいと思います。

大城さんは、外資系保険会社、歯科用医療機器メーカーに勤めた後、華僑の方に従事した上で、医療機器販売会社を設立し、独立したそうです。

目次

第1章大物華僑に学んだ「100%起業」のマインド

第2章起業1年で結果を出す「華僑流ビジネス」のスタートアップ

第3章最強の合理思考で「人」の悩みをシンプル化する

第4章折れない心を養う華僑流「社長論」

第5章人間心理をグサリの思考法でお客とお金を引き寄せる

第6章華僑流の人脈術&交際術でひとつ上のステージへ

➀まずは「やりたいこと」より「お金になること」

他の国へ来た華僑がまずはるのは3Kの仕事だそうです。

時給の高い仕事をしてお金を作って、自分のビジネスを始めるそうです。

それも最初は儲かるビジネスをやるのが基本で、やりたいビジネスをやるのは儲けてからと考えるそうです。

また、華僑の根本的な考え方として、人間が目指す共通のところは「富」と「貴」、つまり「お金」と「地位」と割り切ります

華僑にとってお金は自分の能力の証なので、そこそこの成功では納得しないハングリー精神があるそうです

更に、華僑は貧乏な時はお金儲けのチャンスは外にしかないと考え、なるべく外に出てチャンスを取る機会を増やし、人に使ってもらうことが大切と考えるそうで、そこそこ成功しても、もっと上に行きたいなら、自分よりレベルの高い人に使ってもらうようです

起業に至っては、人の3倍のスピードで動いたら、3倍長く生きるも同然、つまり、稼ぐお金も3倍と考え、なんでも早く早く

何をやるのもハイペースで動くことを意識するそうです。

人がお金を使っている時に働いてお金を稼ぐ、人が遊んでいる時に勉強することで、あっという間に回りとの差が開き、ハイペースで長時間仕事に打ち込むため、成功するのも早いそうです

特に、最大限に頑張るべきは、起業して基盤が出来るまで。

華僑はやる時は突関、短期集中。勝負は最初の2年で、2年でできなかったらできない。

日頃のニュースを見ていても、中国人や華僑の考え方が分かる気がします。

②ビジネスは、「アイデア」、「お金」、「作業」の役割分担を徹底する

お金があっても、アイデアつまりビジネスプランがなければお金の使い道がありませんし、アイデアがあってもお金がなければ絵に描いた餅だそうです。

そしてアイデアとお金があっても、作業をしなければ、何も進まない。

スタートアップ時に➀アイデア、②お金、③作業の3つの役割を最低1人ずつ分担するのが、華僑のチーム作りの鉄則だと著者は言います。

日本では自分で考えたビジネスプランと自己資金で起業し、初期は実務作業も自分でやるという人が多いが、華僑から言わせれば間違いなく失敗する最悪のパターンだそうです。

例えば、アイデアを出す人とお金を出す人を1人で兼ねると、お金を出す=投資のため、短期回収プランになりがち。

一方、アイデア優先の場合は、アイデアを早く形にしたいという気持ちが資金計画を狂わせる恐れがある。

更に作業をする人とお金を出す人が一緒の場合、個人の技術や才能を売るモデルなので、スケールの大きなビジネスにはならないこと。

事業のお金と個人のお金をごっちゃにすることで、本来かけるべき経費をケチってしまうという問題点もあるそうです。

技術が売りのビジネスであってもスケールを広げたいのであれば、「お金」と「作業」は絶対分けるべきだそうです。

尚、事業を拡大する場合には、このトライアングルを追加していくのが、効率面から考え、一番良いそうです。

③商売のタネの見つけ方

場所を変えると価値が変わる

中国の富裕層向けに日本のトップブランの製品を輸出するだけで何倍もの高値になったり、中華料理が日本で本格中華という価値がつくといった現象を差すそうです。

場所軸+時間軸を合わせる

人が持つリソースの価値も場所と時間軸で変わるそうで、筆者によると今の日本は物を作る人より物を売る人が価値が高く、一方中国では技術者が不足している等の傾向があるそうです。

事実と現象の間にビジネスチャンスがある

筆者がビジネスで関与するデンタルユニットは高価であるという事実と、設備が新しく清潔な医院に患者が集まるという現象の隙間を埋めるために、新しい清潔な機械を輸入品として安く提供することで、ビジネスチャンスが生まれると言います。

更に、相手のメリットを徹底的に考え、その内容を顧客に伝えるだけで、売れると言います。

人が面倒くさいことを発見して代行する

人が困っていることの大半は、簡単だけど面倒くさいことを発見して代わりにやってあげればよいそうです。

自分が役に立つことは何かを人に聞く

それでも思いつかなければ、自分ができても人ができないことが意外とあるもので、お勧めなのは周囲の人に自分が過去にやった事で役立ったことを聞いてみるのが早道だそうです。

④自分の所感

華僑の経営の考え方を改めて確認すると、

➀異国で成功するしか生きる術がない、

②他人が遊んでいる時に働く、

③富と名声を得るために徹底してハングリーになる。

④やりたい仕事の前に儲かる仕事をする

⑤スケールを大きくするために、金、アイデア、作業の役割分担をする

でした。

これは私が接してきた東南アジア華僑のビジネスに通じるところがありました。

また、お金、アイデア、作業の3つの役割に分けて、人を配置するという発想は、私にとって商売の広がりを考える上で、新鮮でした。

本書では、それ以外にも従業員の使い方、社長の仕事に関する華僑の考え方も紹介されているので、興味を持った方は是非お読みください。