本日は、岡島悦子さん著作「抜擢される人の人脈力」を紹介します。
岡島さんは、Newspicksで初めて拝見した際、「転職がありか無しか」という議論の際、新しいところに転職する前に、徹底的に今いる会社で活躍する術を見出すべきという主張をされており、他の論者と一線を画していたことから、そもそもNewspicksに出演するということも含めて、気になっていた人でした。
彼女の経歴を見ると、三菱商事、マッキンゼーを得て、グロービス・マネジメント・バンク立上、代表取締役。2007年にプロノバ設立。
更に経営共創基盤(IGPC)にて、支援先の経営チーム組成支援なども担当。
と、旬な事業/会社の立上支援をされていることが分かりました。
今日は、その抜擢される秘訣を彼女の人生を踏まえながら、説明した本を紹介したいと思います。
はじめに-活躍できる人、できない人の差は「抜擢」
第Ⅰ部 なぜ今、「人脈」なのか?-人脈の重要性再考と将来仮説
第2部 人脈スパイラルと人脈レイヤー-抜擢される人の戦略的人脈構築モデル
第3部 人脈スパイラルの先には何があるのか?-戦略的人脈構築の本当の目的
➀ハーバードで学んだ人脈の哲学と人脈スパイラル
<script async src="https://pagead2.googlesyndication.com/pagead/js/adsbygoogle.js?client=ca-pub-9104132109621755"
crossorigin="anonymous"></script>
岡島さんが、当初「プロと言われる人材になれば、人脈は後からついてくる」という考え方を変えるきっかけとなったこと。
すなわち、「戦略的に人脈を構築する方法」である「人脈スパイラル・モデル」が大切と考えるに至った経緯は、三菱商事から派遣され、ハーバード・ビジネス・スクールに留学した時だそうです。
1998年、32歳の時。
1学年全員(880人)が一堂に会して、100人ずつに分かれて、一人30秒ずつ自己紹介をし、スタデイグループを作っていくそうです。
その際、バリュー(付加価値)を出しているか否かで、自分と補完関係にあるスキルや経験を持っているかなどを判断し、グループ内でシビアに見るそうです。
ここで大切なのが、ポジション(立ち位置)を明確にしながら、自分のユニークさ(特別さ)を提示し、グループへの貢献度をメンバーに上手にアピールすることだそうです。
例えば、経営知識や分析力に加え、他の人の持っていない経験や視点をグループに反映させられるかという点が大事だそうです。
岡島さんは、最初このユニークさを出すことが出来なかったため、「相手が自身の何を貢献と見なすかを探す」という作戦を立て、手巻き寿司パーテイーに呼び、日本のどの部分に興味を持っているか探ったそうです。
その結果、「岡島さんが三菱商事の中で、一番高いマネジメントレベルの女性である」というタグが、相手にとってキャッチーだと分かり、日本企業の多様性への取組や日本企業のガバナンスの仕組みなどの質問をしてもらい、「こいつは意外に、多様な経験をしてきているし、洞察も持っているらしい」ということが認めてもらうきっかけとなったそうです。
つまり、自分視点で考えてばかりいても、自分の特殊性は分からないこと。
ある程度の仮説を持っていくつかのネタをぶつけてみた上で、相手の関心事を探り、自分の貢献ポイントを探し当てるというアプローチが有効であることに気づいたそうです。
また、アメリカのビジネスパーソンには、若いころから、相手目線のキャッチコピーを考え、「自ら機会を創り出すための努力をする」という人脈作りの習慣が根付いているそうです。
そして、もたらされた機会における貢献が、次の機会を呼び込むことにつながり、良い循環を創り出し、活躍するステージも自分の能力も人脈もさらに上のレベルに昇華していく。
その為には、
➀自分にタグをつける(自分が何屋なのか訴求ポイントをはっきりさせる)、
②コンテンツを作る(「お、こいつは」と思わせる実績事例を作る)、
③仲間を広げる(コンテンツを試し合い、お互いに切磋琢磨して、次のステップを共創する)
④自分情報を流通させる(何かの時に自分のことを思い出してもらうよう、種を蒔く)、
⑤チャンスを積極的に取りに行く(実力以上のことに挑戦し、レイヤ-を上げる)
が抜擢される人の特徴を表しているそうです。
尚、「○○ができる」という能力や実績、若しくは思考やスキルをタグにする人の場合は、自分の信念や使命感といったものとどこかで結びついていないと、説得力の弱いタグになってしまうこと。
そして、このタグのユニークさを証明する「コンテンツを作る」こと。
相手に「できそうだ」と思わせる裏付けとなるような、分かりやすい事実やエピソードで客観性を立証することが必要だそうです。
これはすでにできあがってる実績の見せ方を工夫するという場合もありますが、多くの場合、タグの表現を磨きつつ、ビジネスの現場でそのタグと結びつく何らかの成果を上げる努力をし、成果が出たところで、タグの裏付け証拠となる「コンテンツ」として表現できるものが完成するそうです。
尚、殆どの場合、他者は、その人のコンテンツの現時点での優劣よりも「どこまで真剣にがんばっているか」の意欲を見ており、その「コミットの姿勢」や「思いの強さ」を見て、相手を信頼するそうです。
次に「仲間を広げる」こと。仲間を増やすことによって、仲間と共に人脈を共創し、仲間の人脈からも「抜擢される機会を増やす」。
つまり「人脈をレバレッジし合える」仲間を増やすとも言えるそうです。
「抜擢をされて活躍したい」「もっと自分の可能性を試したい」という同じ志を持つ仲間と、人脈の核となるグループを形成する。
これが三つ目の行動ステップだそうです。
自分のタグやコンテンツと関連するような切り口での勉強会やコミュニテイを形成し、定期的に開催していくことが出来れば理想だそうです。
尚、何か共通の興味関心をフックに、学び合ったり、討議し合ったりしながら切磋琢磨することが目的であり、タグやコンテンツを試すことは、あくまでも互いを知る手段の一つと認識すべきだそうです。
このとき「誰を仲間に入れるか」を真剣に選ぶことは非常に大切で、仲間は、とことんまで膝を付き合わせて話ができる同志であり、同時に成長を換気し合えるライバルでなければならない。
皆が同等レベルの貢献をしていく、フリーライダーは許されない、というゲームのルールを全員が共有しなければ行けないそうです。
同じような志の仲間が集って始まった勉強会が中心となって、ベンチャー企業が設立されたり、業界の大規模カンファレンスに昇華していったりという事例も豊富にあるそうですが、まずは「小さく産んで大きく育てる」くらいの気持ちで、少人数で初めて見ることがお勧めだそうです。
四つ目のステップが、「自分情報を流通させる」こと。
仲間内で試し磨かれた自分の「コンテンツ」を仕事の場や業界の会合等の場で発信したり、ブログなどで発信したりして、世の中に流通させていく。
また、自分のコンテンツだけでなく、仲間のコンテンツを発信し合う。
「自分仲間にはこんなスゴイ人がいる」と仲間が勝手に自慢してくれるかもしれない。
この行動も、自分のタグやコンテンツが世の中に発信されていく一つの形態だと言えるそうです。
コンテンツの流通に際しては、目的を絞り込むというよりは、何かの時に誰かが自分のことを思い出してくれるように「種を蒔く」という姿勢が大切だそうで、幅広く情報を流通させてくと、誰かが頭の中で「○○ができる(やりたい)人」を検索するときに、自分のタグやコンテンツが脳内検索に引っ掛かる確率が上がるそうです。
1回の発信では、コンテンツが活躍の機会に引き込むことに直接つながるという効果は低い為、色々な局面の機会をチャネルと思い、多様なチャネルや方法で、自分や仲間のコンテンツを発信し続けることが大切だそうです。
尚、人はいろいろなチャネル経由で見聞きした情報を信用するものだそうで、複数の人からの口コミや、複数媒体で頻繁に見るコンテンツは、その人の関心領域の引き出しに入れられるそうです。
何かの抜擢の機会などに、「想起されやすくなる」効果は、確実に上がるそうです。
そして最後のステップが「チャンスを積極的に取りに行く」こと。
面白いもので、自分や仲間からコンテンツを発信していると、思わぬ所から抜擢の機会が舞い込みます。
例えば、この本を書くきっかけは、「習慣エコノミスト」に寄稿した文章を見た東洋経済新報社の編集者の方が興味を持ち、ブログを読んで企画を持ち込まれたことがきっかけだったそうです。
突然にやってくるチャンスは、喩えるなら「突風のような上昇気流」だそうで、この流れに上手に乗れば、活躍の機会ができ、成長して実績ができるそうで、この実績ができたことによって、目線が上がり、思っていたよりも簡単に、活躍するステージのレベルが上がり、付き合う人脈のレイヤーがぐっと押し上げられるそうです。
この五つのステップを踏んで、一つ上のレイヤーに昇った後、活躍するステージのレベルが上がることによって、改めて自分のブランデイング確率と人脈構築、能力開発を行う必要が出てくるそうで、再び自分のタグを見直し、タグに見合ったコンテンツを作り直し、仲間を増やして新たなスパイラルを生み出していくそうです。
この人脈スパイラル・モデルを成功裏に回していくためには、与えられた機会に実績を出して期待に応えること。
抜擢のチャンスが舞い込んだ時に、抜群の成果を発揮できるように、知識やスキルを常に向上させていることが、上昇気流に乗っていくための大前提になるそうです。
②人脈のパラダイム・シフトに伴う戦略的人脈構築の必要性
成功を収めた人に話を聞いてみると、「自分でも良く分からないが、なぜか抜擢をされるチャンスが到来し、そこで実績を作れたお蔭で、次のチャンスに恵まれた」という人が殆どだそうです。
この抜擢されるには、「自薦」ではなく「他薦」が必要となるそうです。
抜擢の機会というのは、そもそも通常は非公開情報であり、誰かがあなたのことを思い出し、かつ、適切な候補者だと推薦してくれなければ、あなたの名前は抜擢候補者リストには入らないそうで、自薦ではなく「他薦」されることが必要だそうです。
重要なことは、あなたを「知っている」だけでは、相手は「他薦」はしてくれず、どのような意欲と学習能力と結果を出す力を持っているのか、どんな貢献ができそうなのかなど、ポテンシャル(潜在能力)を信じるだけの材料が伝わっていなければ、機会が出現した時に、貴方の名前は思い出して貰えないそうです。
プロジェクトのキーワードとあなたのタグが合致した時に初めて、あなたの名前が相手の脳内検索に引っ掛かるそうです。
そして重要なことは、「他薦」だからといって運任せにはせず、自分から動くこと。
「あの人はいつもチャンスが回ってくる」とあなたが思っている人とは、こうした努力を、意識的、無意識的にかかわらず、継続している人だそうです。
更に、これからの時代、人脈構築力は、飛躍的に重要性を増す。
逆に人脈構築の努力をしていない人は、淘汰される時代になる。
何故なら以下が理由だそうです。
1.企業の組織寿命が短命化し、個人のビジネス寿命が長くなる
2.組織は、定常型組織から、プロジェクト型組織へと移行する
3.人は、クリテイカル・ワーカーとルーテイン・ワーカーに二極化し、ルーテイン・ワーカーの仕事はグローバルな労働力に代替される
4.リファレンス文化が普及し、所属組織名での評価から、個人の実績や仕事ぶり重視へと、評価の質が変化する
特に多品種少量生産の現在は、「何をすれば儲かるか」が分からない状態のた、あえて定常的な組織をおかず、課題ごとに必要とされる機能を定義し、該当する専門性を持つプロジェクトメンバーを自薦・他薦で集め、配置していく組織で、プロジェクトは期間有限であり、一定の目的が終了した後は解散となる。
更にエンタテイメントの世界では、社内だけにとどまらず、業界横断的に蘇生されているケースも増えてきているそうです。
一度一緒に働いた仲間は、お互いの働きぶりや貢献度を良く知っているため、強い人脈として存在することになり、相互に他薦しあい、次も一緒にプロジェクトを推進していくといった循環が出来ている事例もあるそうです。
近い将来、部門間の壁が低くなり、企業という組織の壁すらも低くなり、業界横断的な組織が目的ごとに作られていく形態になるのではないかという将来仮説を岡島さんは持っているそうです。
このようなプロジェクトのメンバーとなる人材は、社内のエリートコースに乗った人とは限らず、ユニークな能力や実績を持ち、プロジェクトでの貢献をチームの他のメンバーに予感させる人だそうです。
つまり一流企業に新卒で入り、人事部が用意したキャリアパスを一つ一つ積み上げてきたような人にとっては、いわば裏切られる事態になりつつあり、社内に存在しなかったスキルやノウハウが前提となっていると岡島さんは考えているそうです。
こうした状況の中を生き残っていくために有効なのが、「戦略的人脈構築」だといいます。
プロジェクトのメンバーの誰かが、あなたが技術に精通しているということを知っていれば、「どの会社が信頼できるか」いという提携企業選定の相談を持ちかけられたり、プロジェクトメンバーそのものに誘われたりするという抜擢の可能性もあるかもしれません。
ここで重要なのは、プロジェクトが新たに生み出す仕事のうち、クリテイカル(重要)な業務は、個人の名前でできるタレント(才能)が担い、それ以外の代替可能な仕事はマニュアル化されて、安く買いたたかれ始めるということだそうです。
また、すでに時代は「だれでも自由に情報発信ができる」という草の根メデイア革命から一歩進み、「一人の個人でも大きなムーブメントを起こすことができるようになってきた」と分析されている。
つまり私達を取り巻くビジネス環境の変化から、個人事業主だろうが、どこかの組織に属していようが関係なく、自分自身の「個人ブランド」を独自に展開することが可能となり、一人の個人でも多くの人を巻き込んで影響力を持ち、大きな変革を推進することが出来るようになっているといいます。
更に、今後日本にもリファレンス文化が普及することで、抜擢される際に、そのリストに上がっただけでは不十分で、推薦者が推薦理由を上げるとともに、一緒に働いたことがある人やあなたの「貢献意欲×学習能力×結果を出す力」を知っている人など、数名からのリファレンスがあれば、あなたが最適な候補者として抜擢される確率は、飛躍的に高くなるといいます。
リファレンス文化の普及により、抜擢されることを目指す人は、次の3種類の自分の理解者を人脈の中に埋め込んでおくことが必要になるそうです。
①想起者「抜擢の機会」の出現時に、タグを思い出し、自分を想起してくれる人、
②ストーリーテラー あなたのポテンシャルを信じ、意欲や現在の能力を適切に理解し、推薦理由のストーリーをあなたのコンテンツを交えて、意思決定者に説明してくれる人、
③後援者 あなたのコンテンツ事例などを提示し、リファレンス情報で意思決定者を後押ししてくれる人
そして、これらの理解者を人脈の中に増やしていくためには、日々の仕事にプロとしてきちんと従事すると同時に「人脈スパイラル・モデル」にあるような方法を使って、タグやコンテンツを相手に伝え、「自分が貢献できるポイントを、相手に明確に理解してもらう」という努力を実行していく必要が増しているそうです。
③人脈を広げるプロセスはブログのアクセス数を増やすのと同じ
抜擢される人脈を作るプロセスは、実はブログを立上、人気ブロガーになる過程と似ているそうです。
まず、他にないユニークなテーマ設定を行い、コツコツとコンテンツをアップ。
その後、自分と相乗効果が生まれそうな魅力的な他のいくつかのブログに顔を出し、お互いのコメントやトラックアックを残しながら、企画やテーマを共有して切磋琢磨していく。
そのうち、だんだんとアクセス数が増え、「このブログはなかなかいいことを書いている」から「この人はこの間起きた事件に対して、どんなコメントをしているのか」といったブランデイングの確立に繋がる。
やがて自分よりも更にトラフィックの大きい著名ブロガーのブログに顔を出したり、コラボレーションを申し出たりすることで、自分の情報がどんどん流通するよう工夫する。
著名ブロガーに名前を覚えられるようになれば、様々なブログで引用されたり、紹介してもらえるようになり、その評判と推薦から、大きなチャンスが舞い込むようになる。
この一連のプロセスの最初に行うべきことは「他にないユニークなテーマを設定する事」つまり他人から見て「自分が何者なのか」の訴求ポイントを明確にする作業だそうです。
所属先の社名や肩書の価値が相対的に下がってしまった現在において、勤め先の企業や肩書以外に、そこでどんな能力を持ち、どんな実績を出しているかが重要です。
会社の看板を外してしまったら同じ実績が出せないということであれば、それは個人の実力ではなく、組織の実力だと考えるべきです。
この「タグをつける」ために、どのように作成するか。
まず取り掛かれる方法として、
タグ①将来、どんな仕事をしたいか。
タグ②自分にできることは、何か。
タグ③相手にどんなメリットをもたらすか
がポイントだそうです。
抜擢の局面では、多くの場合、推薦者は、「この人ならできるかもしれない」という仮説に基づいて抜擢するか否かを判断します。
たとえば未経験の仕事であっても、「このチャンスはその人のアスピレーション(野望)と合致しているから、今まで以上に努力ができ、成果を出せるのではないか」という仮説が持てれば、抜擢を行うそうです。従って、「やりたいこと」をあらかじめ表明しておく必要があるのです。
より望ましいのは、「やりたい仕事を手にするために、今どんな努力をしているか」もあわせて話しておくことで、真実味がぐっと増すそうです。
従って、自分の志向をタグにする場合には、
「自分の魂が震えるくらいのめりこむことは何か」
「自分は何をするとワクワクするのか」
という自己実現欲求に立脚した意欲・アスピレーションを突き詰めることが必要だそうです。
自分のタグに説得力を持たせるためには、「自分のタグ」を作る作業の中で、自分を突き動かしている原体験や価値観といったものは何なのか、ということを掘り下げる機会を作ることも、ここでお勧めすることだそうです。
次に大切なのがタグ②「自分にできること(能力=Skill)は何か」を考えることだそうです。
「やりたい」と同時に「何ができるか」を明確に伝えなければならない。
いわば推薦者が①をもとに立てた「この人ならできるかもしれない」という仮説を補強するために、「できること」を示します。
岡島さんの場合は、「年間200人の経営者の相談に乗っている」ができることでのタグだそうです。
一方、「某社の経営チームに3名を送り込み、2年でこのような効果が出ている」という実績事例は、次のステップでご紹介する「コンテンツ」になるそうです。
この「できること」のタグを作成する際には、これまでの職業経験をもとに考えていくとよいそうです。
そして最後に、タグ③の「相手にどんなメリットをもたらすか」
相手に自分のタグをみせるときは、自分がいかにすごいか、役に立つかを一方的にアピールするのではなく、相手が受け入れやすい形に加工する必要がある事。
そこで重要なのは、「販売促進」ではなく「購買支援」の発想だそうです。
「購買支援」とは、「いまこういうものをもとめていませんか。だったらこれがお勧めですよ」というやり方だそうです。
「私は〇〇ができて、将来はこうしたい。そして、それはあなたに役立つはずだ」ということを端的に示すタグが必要になる。
一番重要なことは、抜擢する側、つまり舞台に乗せる側が何を考えているかです。
肝心なことは自分のビジネスの相手となる人たちの目線に立って考え、抜擢のチャンスが舞い降りそうなときには、相手に迎合するくらいの気持ちで相手の期待値に合致するようにタグの見せ方を工夫する事が大事だそうです。
尚、上手にアピールすることはリマインドであり、どこまで当事者意識をもって貢献について考えているか、そのために何をしているかといった「コミットメント」の強さを周囲の人は見ているそうです。
大切なのは、まずその場にコミットすること。
そして、それを相手に自然な形で伝えることだそうです。
自分のタグが決まったら、次はそのタグの信憑性をますエピソード(事績事例)であるコンテンツになります。
コンテンツとは、たとえ小さな成功体験であっても、あなたの訴求ポイントを裏付け、第三者が「なるほど、この人のタグは本物だ」と納得するような実績や事例のことを意味します。
そのためにもコンテンツを作るというよりも、目の前の仕事やチャンスに対して真剣に打ち込めば「この人なら、こっちの仕事も出来るかもしれない」という「信用」に繋がります。
そして何より「がんばる」というある意味で愚直な反復を繰り返すことで「実力」が付き、結果として大きなコンテンツに結び付くそうです。
尚、岡島さんのヘッドハンターとして「経営のプロ」人材の実力の客観的評価を行う上で、市場価値=能力×実績×意欲で表されるそうです。
能力とは、具体的な知識やスキルを指し、業務を通じて習得したり、ビジネス書などでも身に付けることは出来ますが、その知識を適切に「使える」力があるかがポイントです。
また、コンテンツとなる事績は、仮に思わしくない結果に終わった経験でも、「そこで何の役割と責任を担ったか」「どんな努力をしたか」「経験を通じて何を学び取ったか」が相手に伝われば十分プラスの判断材料になるそうです。
コンテンツの要素の最後の意欲。
これは、Commitment(コミットメント)と言い換えてもいいそうです。
つまり「目標を共有し、その達成のために努力すること」と考えるそうです。
④ステップ3 仲間を広げる
人材スパイラルモデル構築の第3の行動ステップが「仲間を広げる」だそうです。
「もっと自分の可能性を試したい」という同じ志を持つ仲間と、人脈の核となるグループを形成すると考え、実行していくそうです。
自分のタグやコンテンツ、すなわち「やりたいこと」「できること」「価値観」と関連した切り口での勉強会、コミュニテイを形成し、定期的に開催していく。
これを岡島さんに披露していたのがグロービスの堀義人さんだそうで、「勉強会をやるときは、幹事という面倒なことを引き受けた方がいい。
なぜなら、ノウハウや情報、人との繋がりはすべて幹事に集まってくるものだから。
それにメンバ-の人が仕事で困ったときは必ず幹事のところに相談が来るはず」とのことだったそうです。
それ以来、岡島さんはいろいろな切り口で勉強会やコミュニテイを組成し、勉強会に外部の講師を読んだり、さまざまな集まりに積極的に参加したりするようになったそうです。
ちなみに社内有志の勉強会や、業界有志の勉強会などはそのなかでも比較的着手しやすいといいます。
尚、議論のクオリテイを高めるために、「目的を共有し、お互いを高めあえるか」極端な言い方をすれば「次のステージを目指している同志」でなければならないそうです。
更にメンバーが集中力を発揮しやすい場にしておく必要がある。
できれば4-5名の少人数-最大でも8名ぐらいにしておくべきだそうです。
こうして近い関心領域を持つ仲間と、深く議論し切磋琢磨することにより、互いのタグやコンテンツはもちろんのこと、その根底にある価値観や使命感をも、相互に深く理解しあう仲間が出来上がっているそうです。
結果として活躍の機会を提供しあったり、仲間が新たな人脈を呼び込んでくれたりするようです。
他にも勉強会ではないですが、岡島さんは昭和41年生まれの友人達と食事会を3か月に1度開催しており、会のルールは同じ年でお互いの刺激になる人が集まるというものだそうです。
誰かを仲間に招き入れる時には、自分が責任をもって「この人を仲間に入れれば、みんなにとってもメリットがあるだろう」ということを考え招待するそうです。
結果、最初4人で初め、メンバーも厳選しているにもかかわらず、今や20人の素晴らしい仲間のコミュニテイとなったそうです。
⑤Step4 自分情報を流通させる
仲間が増え、人脈の核となるグループを形成できたら、次は「自分の情報を流通させるようにする」
これが人脈スパイラルモデルの第4ステップだそうです。
それは、あなたという商品を識別する「タグ」と商品説明である「コンテンツ」を世の中に発信するそうです。
ちなみに後に経営共創基盤を設立した冨山さんが、産業再生機構に在籍していたころから、岡島さんは声掛けをしていたそうで、結果として「人材投入型支援」という新しいモデルで企業価値向上を支援し、それによって経営人材に成長の場を提供するという話を受け、一緒に働くこととなったそうです。
実際には、
「どこで、誰が、どんな情報に反応して自分を覚えていてくれるか」
「どのタイミングで自分のタグを思い出してくれるか」
は全く予測できないもので、偶然に任せるほかありません。
人脈における投資は、当たればかなり大きいリターンを見込める。
極論すれば、1勝99敗でも、その1度のヒットで元を取れることが多いそうです。
自分の情報を流通させるとき、まずは「口コミ」を作ることに重点を置くことが重要だそうです。
仲間が誰かに会ったときに
「最近こういう面白い人に出会った」
「こんな勉強会をしていて」
と貴方の名前とタグやコンテンツを紹介してくれるようになったら成功だそうです。
尚、口コミを作る第一歩は、その場を楽しんでもらうことにあるそうです。
誰かと話をして楽しかったり、ワクワクした経験はたとえば翌日に、つい他の人に話したくなったりするものです。
こうした評判を上手に創れば、今後はその話を聞いた人が他の人に、「〇〇さんと話をすると面白いらしいよ」と伝え、やがてその評判が口コミに発展していきます。
口コミまで発展させるためには、自分のタグやコンテンツが、相手にとってワクワクするものでなければなりません。
そのときに重要になるのが、自分が「アピールしたいこと」や「伝えたいこと」を優先するのではなく、相手が「得をすること」「求めていること」にまず応えるという姿勢が大切だそうです。
それにふさわしい環境として、対面で自分情報を流通させようとする場合には、できれば一対一で会って話をするべきだそうです。
まずは少人数で、相互にギブ&テイクしながら信頼関係を構築する事が大切です。
更に勉強会などの仲間と話をする場合にも、自分の思考や関心事について、しっかりと話をしたい場合には、勉強会メンバーとも勉強会の場ではなく、一対一でランチをするなど場所を変える工夫が必要だそうです。
その上で、「最近、こういうものに興味がある」「あれをやってみたいと思っているんだ」という自分のタグを相手に伝えていきます。
仲間にタグを伝えておくと、どこかで誰かにあった時に、〇〇さんが「あれをやってみたい」と言っていたと伝えてくれる確率が高まります。
但し、自分の希望だけ伝えていると、人の話には興味がないと言われてしまう可能性があるため、「〇〇について興味ある?」とか「〇〇って最近注目されているらしいけれど、何か知っている?」など、相手の興味・関心を巻き込む質問をすることからスタートするようです。
また、お互いが相手の時間を投資してもらっているという認識に達し、貴重な資源を際てもらっている以上、「相手の時間を無駄にしない配慮」、すなわち「相手にとっても何かWin-winの成果を生み出す」ことを目指すべきだそうです。
それは、たとえば「自分のタグを押し付けるだけでなく、相手のタグを拾って広める」「相手が困っていること、求めていることを見抜いて、それに応える」などです。
仲間に「口コミ」を作ってもらうことは、自分から情報を流していく手段、いわばプッシュ型の手段だそうで、そのためには能動的ン動かなければならないため、ある程度の時間と労力が掛かります。
一方、誰でも自分情報を閲覧でき、興味を持ってくれた人にはより詳細な情報を提供できる仕組みを作るプル型のやり方、それがブログやメルマガだそうです。
「抜擢される人脈力」を身に付けるには、プッシュ型とプル型の両方からアプローチするほうが効果的だそうです。
ブログには、多くの人にリマインド効果を与えられること。
もう一つは自分が何者かを示すレジュメになる事だそうです。
ブログの効用は、自分のタグやコンテンツを磨くためのテストマーケテイングの場になるそうです。
例えば〇〇をやりたい。
××に挑戦しようと思っている。
という自分の志向を流通させたときに、読者や周囲の人がどんな反応を示すかを知ることができます。
自分の構想を発信したときに、「それは面白いね」という肯定的なレスポンスが多ければ、その方向性で考えを深め、逆に「だったらこうしたほうがいいんじゃない」という反応が多いようなら、もう一度方向性ややり方を考え直してみるという感じだそうです。
また、上手な形で「問題提起」を行うコンテンツを作成することができれば、いろいろな意見を集めることができ、それこそ、同じタグに関心のある仲間という人脈を形成することもできるそうです。
勿論ブログを書いているだけでは人脈は広がりません。
しかし、何かのときに思い出してもらう。
自分のことをやり深く知ってもらうための側面支援と考えれば、ブログを人脈力を強化する格好のツールとなります。
日々のアクセス数やコメント数を気にする必要もありません。
情報発信する目的は、「より多くの人に見てもらうこと」ではなく「リアルの世界で自分に興味・関心を寄せてくれた人に追加捕捉情報を提供する事だからです。
⑥Step5 チャンスを積極的に取りに行く
ここまでの「人脈スパイラル・モデル」の行動ステップで、タグを作って、実績というコンテンツを磨き、仲間を増やして、情報を流通させてきた。
いよいよ収穫期であるチャンス到来。
第5の行動ステップは「チャンスには積極的に飛び込め!」だそうです。
大切なのは、上昇気流が来た時に、それを逃さないことだそうです。
気流を感じた時には、与えられたその瞬間に反応しなければ駄目だそうです。
この人脈によって、もたらされる上昇気流には、自分をワンランク上の活躍ステージである人脈レイヤーに一気に連れて行ってくれるという効果があるそうです。
活躍のレベル感が異なる人脈レイヤーというのは、現在のレイヤーとは非連続の位置に存在しており、上昇気流なしに人脈レイヤーの時空を超えるのは難しいそうです。
トップマネジメントとは、会社全体のバリューや強み、事業戦略など、Whatを考えて意思決定を行うレイヤー。
つまり経営陣や事業責任者クラスが相当するそうです。
トップには、高いコミュニケーション力や調整力、ビジネスセンスなど幅広い能力と知識が求められます。
ミドルマネジメントは、トップが決めた目標を達成するために、Howを考えるレイヤーだそうで、マネジャーとして人と組織を束ねながら、商品・サービスのクオリテイを担保し、組織としての成果を上げることが求められる。
ジュニアマネジメントは、ミドルが決めたHowをプレーヤーとして実行に移すレイヤー。
この3つのレイヤーには、大きな断層があり、同じレイヤーの仕事を続けているだけでは、次のレイヤーへと断層を飛び越えることは出来ない。
マネジメントレベルを上げるには、どこかのタイミングで「抜擢される」「小さなチャンスをもらうこと」によって、断層を飛び越えるきっかけが必要だそうです。
そして人脈がもたらず「上昇気流」こそが、このきっかけを提供し、レイヤーを上げさせてくれる絶好の機会だそうです。
では、上昇気流が吹いているかどうかは、いったいどのように判断すればよいか。
その目安は
「今までやれそうもなかった仕事に挑戦できそうなとき」
「これまで会えそうもない人と話をするチャンスが生まれたとき」
だそうです。
この時に大切なのが、「相手に自分の身を任せられるか」ということだそうです。
抜擢してくれる誰かには、必ず何かの思惑があります。
相手の思惑にかかわらず、目の前に与えられた役割を果たすために「何とかしよう」と成果を出そうとする姿勢こそが、周囲からの信頼につながるといいます。
自分が乗せられた舞台と、そこで求められている役割に徹し、最後までやり抜く。
この積み重ねをしていないと、なかなか次のチャンスがめぐってきません。
「自分にタグをつける」
「コンテンツを作る」
「仲間を広げる」
「自分情報を流通させる」
「チャンスを積極的に取りに行く」
このスパイラルが一度発生すると、最初にターゲットにした人たちよりワンランク上野人たちに合え、知恵を授けてもらえ、力を使ってもらえるようになるそうです。
そしていつのまにかやりたかったことがトントン拍子に進み、「最近こういう面白い人がいてね」と紹介し合い、さらにいろいろな人と有機的につながっていく現象が、自然発生的に起きていくそうです。
新しい人脈レイヤーに上がった時には、新たに自分にタグをつけるというステップを踏み、新たな人脈スパイラルを回し始めるそうです。
その結果、レイヤーの上昇に応じて、どんどん自分の予想を上回るようなレベルや種類の活躍の機会が舞い込み、自分自身の可能性が広がり、自分の自己実現のテーマが見つかり、自己実現に近づく道筋が見えてきたりするそうです。
⑦自らの所感-やはり上を目指そう
この本を見て、社会に変革を与える立場になる人が、どれだけ努力して、機会を得ているか凄く良く分かりました。
そして、その抜擢は20,30代から始まっていること。
私の歳では、少し遅い気もしますが、自分なりに、この環境を作ってみようかと思います。
しかし、三菱商事、マッキンゼー、グロービス、IGPIとは岡島さん、凄い経歴ですね。
良かったら、本もお読みください。
