「運の方程式」を読んで

今日は、鈴木 祐さんの「運の方程式」をご紹介します。

この方は、出版社に勤務した後、独立。

10万本の科学論文の読破と600人を超える海外の学者や専門医へのインタビューを重ね、多数の執筆を手掛けているとあります。

私は、「最高の体調」「科学的な適職」などを読み、欧米の最新の研究から幾つもの学説や論拠を元に、一般の日本の著書にはない説得力のある考え方をもたらす方と認識しており、書評で取り上げてみたいと考えていた人でした。

この本を読んで、まさに営業をしている人にも紹介したいと感じた本です。

目次は以下の通りです。

はじめに-人生はどこまで運ゲーか?

序章 ”運”のアルゴリズムを学ぶ―幸運=(行動×多様+察知)×回復

1章 ワールドマップを探索するー幸運=(行動×多様+察知)×回復

2章 攻略のヒントに気づく―幸運=(行動×多様+察知)×回復

3章 メインクエストに挑む―幸運=(行動×多様+察知)×回復

4章 コンテイニューを繰り返す―幸運=(行動×多様+察知)×回復

終章 別のゲームを始める―幸運=(行動×多様+察知)×回復

おわりにー運ゲーをイージーモードに切り替える

➀運を方程式で表す。幸運=(行動×多様+察知)×回復

まず、最初の断りとして「私たちの成功は、大半が能力よりも運で決まる」から入ります。

例えば

➀先進国に生まれた方が年収が高い、

②収入と満足度はルックスに影響される、

③収入と地位は生まれつきの数学力で決まる、

④地位には、生まれ月が影響する(早生まれの方が高い地位になる確率が高い)など、一般的に運が自分がコントロールできない部分が多いという話から入ります。

一方、運に関する科学的な大学研究も進んでいるそうで、その研究結果では、幸運=(行動×多様+察知)×回復で表されるという考え方に纏められているそうです。

②行動を続けるということ

まず、行動については、結局運はランダムで訪れるもので、成功するか否かは誰もコントロール出来ないことを理解することが大切です。

その上で結果的に成功するには、継続した行動力(打席に立ち続ける)が大切という話です。

これは、一般論でも良く出てくるものだと思います。

(一方、自分は行動力があると自負していても、他人から見たら、行動力不足の人は沢山います)。

③多様性を持つということ

多様については、一般人は、新しいことに目を向けないことに対して、天才は好奇心を持ち続け、人生を探求することで、結果的に成功することを上げています。

そのためには日々新しいことにチャレンジすることの重要性を上げています。

また、社会的に広いネットワークを持つのも、大切なことで、好奇心を向ける対象として、「趣味」、「仕事」、「住居」、「アイデア」などもある中で、最も重要なのは「新しい人」に出会うこと、つまり予期せぬ幸運の大半は他者からもたらされることだそうです。

私もあまり期待は出来ないかと考えていた新規面談から、新しいビジネスのチャンスが生まれたことは何度かあります。

大事なのは、新しい人や仕事、アイデアなどを求め続けるという姿勢にある気がしました。

④察知すること

もう一つ、大事な要素として、察知というものがあるそうです。

約8割の人が幸運が訪れていないことを分からずに、通り過ぎてしまうようです

その察知能力を高めるためには、問いを増やすのが良く、問いが問いを生む体験を重ねることで、私達の脳が身の回りの小さな変化に注意を向けるのがうまくなり、その分だけ察知力も高まるそうです。

またこの察知できない人が何故多いかという説明の中では、「人生においては、ほとんどの人がもう少し自信を失ったほうが良い。自分の信念や意見に関しては、誰もが必要以上の自信を持っているからだ。」とあります。

「知的謙虚さ」「柔軟な精神」が察知力を高めるために欠かせない要素で、自分の考え方にしがみついていたら、運をつかむのは不可能だそうです。

⑤回復すること

上のような行動力を高め、多様を求めて活動すると、当然幸運の機会も増えますが、その裏に不運に見舞われる機会も増えることになります。

大事なのは、その一回の失敗/不運をとらまえてあきらめるのではなく、失敗をただのデータポイント、仮説/検証の一部と捉え直すと、正しい方向に進んでいくものだそうです。

特に、天才は幅広い実験と一点集中を繰り返した後、成果を上げた後は同じテーマに集中することで大きな成果を上げる傾向があるそうで、世界を幅広く探索した後、リソースを一点に集中させる、その失地からの回復が長期的な成功の大前提だそうです。

⑥「成功者のほとんどは運に恵まれていたのが明白にもかかわらず、実力だと過信して、運の方程式の追求を止めてしまう」

最後の結びも最初と同じ。

勝者ほど自分の才能と努力を過大評価する傾向にあるそうです。

例えば、高学歴な者ほど自分の能力を上に見やすい事実。

起業家の80%以上がビジネスの成功率は70%と回答していることなどです。

実際は、5年で起業の8割が廃業に追い込まれるのが実態であり、成功者の殆どが運に恵まれていたのは明白だと著者は説明しています。

「私は成功できる」と思い込んだら、もはや自分の行動と思考に疑問を抱く必要はなくなり、そこから更に新たに知識を学んだり、活動の範囲を広げたりという気は失せるでしょう。

過信により好奇心が下がり、世界の探索がおろそかになってしまう

成功も失敗も多くが運の産物であることを理解し、上の方程式を使い続けて、ゲームを忠実に追いかけることが大切

⑦私の所感

この本の概要を理解しただけで、十分に役に立つ人は多いと思います。

これは、私のような社会人でもある程度の年齢を重ねた人にとっても更に大切な知見だと思います。

また、この本の内容をより理解し、自分自身が実践したければ、実際に上の➀から④の力を上げるためのアクションリストも鈴木さんらしく、莫大な量を披露されているので、是非買って読んでみて頂ければと思います

➀日々顧客や関係者と対話する機会を十分に作っていますか。

②既存の顧客だけでなく、新しい顧客、新しい商流を掴むべく、対応していますか。

③日々のやり取りの中で得られた情報を踏まえて他の人がまだ気づいていないビジネスの変化に気づいていますか。

④失敗しても歩みを止めていませんか。また失敗から仮設と検証というデータと捉え、次に生かしていますか。

私はこの本で上げる運の方程式は、営業にも使える必須のアイテムだと感じ、今回取り上げました。