本日は、安達 裕哉さん著書「頭のいい人が話す前に考えていること」に関する書評を書きたいと思います。
私は、「頭のいい人が話す前に考えていること」というタイトル/キーワードそのものは読み終わっても、筆者が伝えたい中身を表している?という気がしました。
一方、内容を読んで、法人営業の観点から考えた時でも、「自分が話したいことを伝えるのではなく、相手の課題や置かれている立場をしっかりと把握した上で、提案すべきことを伝える」という私が提唱する手法が、この本で書かれているコンサルテイングの手法に似ている点に共感できたため、その内容及び感想をお伝えしたいと思います。
著者の安達 裕哉さんは1975年生まれ、デロイトトーマツコンサルテイングに入社。
その後独立されています。
この本では、特に傾聴及び整理、最後に言語化する点に私は深く共感しました。
目次は以下となります。
第一部頭のいい人が話す前に考えていること
その1 頭が悪くなる瞬間、頭が良くなる時間
その2 頭の良さを決めるのは「だれ」だ?
その3 なぜ、コンサルは入社1年目でもその 道30年の社長にアドバイスできるのか?
その4 頭のいい人は、論破しない
その5 「話し方」だけうまくなるな
その6 知識が「知性」に変わるとき
その7 承認欲求をコントロールできる者がコミュニケーションの強者になれる
第2部一気に頭のいい人になる思考の深め方
第1章まずは、バカな話し方をやめる-客観視
第2章なぜ、頭のいい人の話はわかりやすいのか?-整理
第3章ちゃんと考える前に、ちゃんと聞こう-傾聴
第4章深く聞く技術と教わる技術-質問
第5章最後に言葉にしてインパクトを残す‐言語化
➀自分自身の頭がいいか否かの判断は、相手が決めるもの。
本の記載では、頭のいい人というキーワードを用いて章立てしていますが、結論は「頭の良さを決めるのは他人であって、自分ではない」。
また、自分の話をひけらかしても評価はされないということを話しています。
特にコンサルテイングの世界では、相手が「その人が相手自身のことをよく考えてくれていること」が、評価の対象となっていること。
その評価軸を社会的知性といい、他者との関係において高い知性を発揮する能力だそうです。
具体的には「他者の思考を読み、他者の信頼を得て、他者を動かす能力」を言うそうで、所謂IQのような論理的能力は知性の本質ではなく、副産物だそうです。
論理的思考が大事なのは、立場も価値観も違う他人と考えを共有するために必要だからであり、つまり他者がどう思うかを想像した時に、人間は論理的に話を組み立てようとすることが大事であるという考え方です。
②相手の立場に立ち、深く考えるためには、「1.客観視」「2.整理」「3.傾聴」「4.質問」「5.言語化」
信頼される人は、「客観視できるだけの材料を集め、事実を言葉の定義/成り立ち等に分けて整理し、理解度を深めること。
そのためには、相手の話をしっかりと聞き、整理し、仮説を持ちながら質問する。
そしてその内容を言語化することで、アウトプットの質が高まる」
これが著者の言いたいことです。
詳細については、逆説的な言い回し(頭が悪いとされる人の事例)をもとに、本書の中で丁寧に説明しています。
③私の所感
冒頭でも述べた通り、この本では「頭のいい人」とはどういった人かというキーワードを軸に記載されています。
しかし、コンサルタントの方が問題を解決する際に活用する術を丁寧に説明した内容のため、タイトル/キーワードが「信頼される人=頭のいい人が話す前に行っていること」の方が内容にはあっていると思いました。
実際に法人営業をしている身からしても、相手の話を十分に聞かずに自分の話をしてしまう人、対話した内容を言語化しない人が多いと感じます。
また、私自身も客観視できるデータ探索、整理の部分については、コンサルの方に比して劣っているだろうと感じながら、読ませてもらいました。
尚、他人に質問する際にアメリカ政府が公開している構造質問として、以下を組み合わせることだけで、相手の話を深堀出来るというのは、初耳だったので最後に紹介します。
①何をしていたのですか(過去の行動)
②そのとき、どんな状況だったのですか(状況の深堀)
③その状態でどうしたのですか(行動の深堀)
④その結果どうなったのですか(成果・結果の深堀)
⑤今度仮に、こういう状況になったらどうしますか(仮定の状況における行動)
その他にも第2部は、コンサルタントの方が対応されているであろう方法論 1客観視、2整理、3傾聴、4質問、5言語化に沿って記載されているので、興味があれば是非買ってお読みください。