本日は、アンカージャパン代表取締役CEOの猿渡 歩さんが書いた「1位思考」を紹介します。
アンカー・ジャパンは、2013年に設立。
初年度の売上約9億円に対して8年後の2021年に売上300億円を達成し、モバイルバッテリーや充電器などで国内オンラインシェア1位を獲得したそうです。
アンカージャパンが進出した市場は、3LOW(Low Passion=消極的な購買姿勢、Low Recuring Rate=低いリピート率、Low Average Selling Price=低い平均販売価格)市場。
そこへ、バッテリー、充電器といったコモデイテイ製品で参入し、シェア1位まで成長してきたそうです。
難しい選択をしながら、アンカー・ジャパンが勝ち続けている理由が、「1位思考」だそうで、後発でも逆転を可能にする思考法なんだそうです。
猿渡さんの考えによると、
成果=インプット×思考回数×試行回数/時間×ミッション×バリュー
で表されるそうで、6つの習慣の根幹を持ち、意識することが、仕事の結果に決定的な差に繋がるそうです。
目次
第1章 全体最適の習慣
第2章 バリューを出す習慣
第3章 学ぶ習慣
第4章 因数分解の習慣
第5章 1%にこだわる習慣
第6章 サボる習慣
➀個人目標よりチーム目標、チーム目標より会社目標
全社員が同じ目標に向かって進んだとき業績は最大になり、個人も大きく成長する。
仕事で一番大切にしているのは、「全体最適の習慣」の考え方だそうです。
個人よりもチーム、チームよりも会社全体を考えようと日頃からメンバーに伝えており、全体最適の習慣を身につけることが、個人の成長でも1位になるための最善手だと猿渡さんは考えているそうです。
また、仕事におけるNGワードとして「それは私の仕事じゃない」だと定義しており、「全体を考え、協力しながらやろう」という意識があると、会社だけでなく、個人の成長スピードが格段に速くなるそうです。
企業が将来に渡って事業を継続するには、負けないゲームをする。
そのキーワードも「全体最適」と考えているそうで、理想はヒットを積み上げて売上や利益を上げつつ、新規事業といったホームランを狙うことだそうです。
ちなみに、アンカーグループでいえば、充電器やバッテリーなどコア事業でキャッシュを確保しつつ、新たにロボット掃除機やスマートプロジェクターに挑戦するイメージだそうです。
更に、新規事業をやる場合は、1プロジェクトに集中的に投資するより、常に複数のプロジェクトを走らせた方がリスクを減らせると考えるそうです。
また、アンカーはノートPCの交換用バッテリーからスタートしており、当時のバッテリーは価格1万円程度の純正品と、1000円程度の保証、品質不安定な製品に2極化している中、3000円程度の保証付きの料品を出したこと。
そしてスマホ発売後、モバイルバッテリーに注力したことで、Eコマース市場、スマホ普及の波に乗れたそうです。
つまり、後発で1位になるには、レッドオーシャンでも差別化できる強みがあるかどうか、それを常にお客様目線でやりきれるかどうかが大切と考えているそうです。
また、ビジネスは継続性がなにより重要であることを意識する必要があるそうです。
スタートアップや大手企業が新規事業で最初に考えるのは、短期間で利益を稼げる勝ちやすいゲームをどう作るかであるが、それは合理的で正しい一方、他社が参入してくると負けやすいゲームになる。
自社が勝ちやすいときは、競合も勝ちやすい。
それは中長期では自社が負けやすいということだそうで、D2C(Direct to Consumer)企業が1時期かなり増えたが、その多くが継続的な事業運営が困難になっているそうです。
それらの企業の多くがとりあえず製品をつくり、影響力のあるインフルエンサーに商品を紹介してもらうなどのプロモーション戦略に力を入れていたそうですが、勝ち残った企業の大半は質の高い製品を開発し、販路拡大などプロモーション以外にも取り組んでいると分析しています。
つまり、重要なのは、プロモーション(販促)以外の部分、つまりプロダクト(製品・サービス)とそれに紐づくプライス(価格)、プレイス(販売場所、提供方法)であり、正直これまでと違うことをやるのは面倒だが、自分達が面倒くさいと感じることは、他社にとっても面倒くさい。
面倒くさいことをやって勝ち切ると、他社の参入障壁は高くなるそうです。
アンカージャパンとしては、量販店での販路拡大や直営店事業に参入したそうです。
直営店とオンライン販売を比較すると、オンラインのほうが利益率は高い。
店舗スタッフも必要なく、家賃も要らないため、固定費が圧倒的に少ない。
一方、直営店はオンラインより中長期的なお客様との関係性を構築しやすく、製品を見たり触ったりという体験価値を提供でき、加えてファン化も促しやすいそうです。
また、企業は一部の社員だけが完璧な仕事をしているのではダメで、メンバー全員が仕事をやりきろうという意識があるかないかが重要なポイントだと考えるそうです。
アンカーのモバイルバッテリーやケーブルなどを競合製品と比較した時、劇的な差別化ポイントがあるわけではなく、少し充電が早い、サイズが小さい程度であるため、最終段階での1%の詰めの部分を徹底的に突き詰める作業をしているか否かでマーケットシェアが大きく変わる。
つまり、他社製品より少し速く充電出来る。
サポート体制がしっかりしているなど、ラスト1%のこだわりの積み重ねによって、ファンになってくれる人が増え、ブランド力が高まってくる。
また、アンカージャパンでは、少数精鋭の組織作りを目指し、一方、全員がヒーローでもサポーターでもなく、全体として高いパフォーマンスを発揮するチームが最強であり、部門間に優劣はないと猿渡さんは意識しているようです。
売上を直接のKPIとするビジネス部門だけでなく、カスタマーサポートや製品開発部門等も売上の最大化、長期的な成長というゴールを共有しているそうです。
更にアンカージャパンでは、3つのバリューを設定しており、➀Rationalism=合理的に考えよう、②Excellence=期待を超えよう、③Growth=共に成長しようを掲げているそうです。
「合理的に考えよう」は、「論理的思考に基づいた問題解決が大事で、また売上・利益を伸ばすには、全社最適の習慣が欠かせないこと。
2つ目の期待を超えようは、「常に顧客を意識し、顧客にとっての真の価値を想像する」という文化だと言います。
3つ目の共に成長しようは、成長意欲が高く、自分の仕事が周囲にどんな影響を与え、どんなサポートが必要なのか、一旦立ち止まって想像する。
自分ではいいと思った企画が全体最適ではない可能性もある。
メンバー全員が想像力を働かせることでマイナスが少なくなり、リカバリーする時間を減らせればより高みを目指しいやすくなり、なにより同じ目標に向かって部門を超えて気持ちよく仕事が出来る。
②大局観を持つ
ビジネスで着目すべきは、市場規模と伸び率だと猿渡さんは考えます。
一方、一人ひとりが全体最適を考えながら仕事をするには、組織のミッションとバリューへの共感が必要で、猿渡さんのモチベーションの源泉は、アンカーグループへのミッションへの深い共感。
それは、「Empowering Smarter Lives=テクノロジーの力で人々のスマートな生活を後押しすること」、
言い換えれば、人々がスマートで快適な生活をするために、それに寄り添い支える優れたハードウェアを届けることなんだそうです。
多くの人が仕事の成果というと、「インプット×思考回数×試行回数÷時間」をイメージしがちだが、チーム、企業として大きな成長に繋げるには、「ミッション×バリュー」がとても大切で、それを共有、共感、体現することで、思考や行動がミッション・バリューに沿ったものとなり、全体最適の意識を育むことができるそうです。
③すべての行動に「価値」をつける
猿渡さんは常に成長していたい。
大切なのは、成長するために必要なことをやり続けることで、毎日、前日より1%ずつ成長し続けると1.01の365乗は37.8倍。
初期値のコンマ以下の差は、やがて圧倒的な差になると考えるそうです。
何より、人も企業も永遠の未完成、永遠のβ版と捉え、時間が経っているのに同じというのは、価値が減少していると考えるそうです。
また、バリューを出すうえで大切なのは、「お客様の声を聞く」ことだそうで、アンカーグループはお客様の声を聞きながら製品改善を続けてきたそうです。
更にお客様に求められる製品をどう作るのかというと「プロダクトは永遠のベータ版」という意識を持つことだそうです。
また、常にバリューを出すことを意識し、異なる視点、俯瞰的視点から意見を述べ、アイデアを出すこともバリューの一つだそうです。
更に人を形作るのは、「あり方」が9割、「やり方」が1割だそうで、あり方が合致している人をメンバーにし、スキルや能力だけでなく、組織との相性を見ることが、大切だそうです。
④インプット×地頭力=アウトプットの質
アウトプットの質は、インプット×思考回数で決まる。
そしてどれだけ思考回数を増やしたかが「地頭力」に直結する。
まずアウトプットは、自分の知識以上のバリューは出せない。
アウトプットの精度を上げたいなら、まず自分の引き出しを増やすこと。
その為の知識のつけ方として、猿渡さんは、読書、ツイッター、ニュースアプリ、そしてグーグルアラート、社外のネットワークセミナーを上げています。
更にラーニングを続けるためにも、アンラーニングを取り入れ、自分の得意な形に逃げないために、目の前の仕事とこれまであった仕事の変数の違いに注目するそうです。
更に、
➀これまでのやり方ではうまくいかないと自ら気づく、あるいは周囲から指摘される。
②気づきや指摘を素直に受け入れる、
③これまでのやり方はどこまで使えて、どこから使えないか分析し、修正するというプロセスを取ること
が継続して成果を出すためには、大事だと実感しているそうです。
⑤1%にこだわる習慣
周囲から見て完璧な状態を目指すこと、99.5%まではみんなが努力するので残り0.5%をやり切れるかで大きな差がつく。
アンカーの商品をお客様が選ぶ理由はほんのちょっとしたこと。
充電速度が少し速い、ちょっとデザインがいい、カスタマーサービスの印象、店舗へのアレンジなど、と言ったちょっとしたことに拘り続ける企業が勝てると考えるそうです。
特に、➀提供するプロダクトの価値を高める、そして②顧客が自社に触れるプレイスを増やす二つが活動の中心であると考えるようです。
まず、プロダクトの価値は➀機能的価値、②情緒的価値、③自己表現価値に分かれ、➀その商品を使うことによる機能価値のみならず、②気持ちが高まると言った情緒的価値、③更に自分らしくいられると言った自己表現価値が、顧客の大きな選定理由になると考えているそうです。
更にプレイスの観点では、積極的に販売チャネルの拡充を図っていく。
その中で広がりと深さを求めることでお客様の便利さを優先する。
また、限界まで頭をひねる人になる。
管理職や経営陣ほど限界まで頭を捻り、最後の1㌫に拘るべきだそうです。
更に仕事はハイパフォーマーに合わせる。と言う考え方だそうです。
⑥私の所感-全体最適の考え方は、サラリーマンが持つべき発想(市場/顧客中心に)
私は、猿渡さんのいう全体最適という考え方は、凄く大事だと感じました。
サラリーマンだとどうしても部分最適、自分の部署、己の立場を考えてしまい、特に大企業だと、自分が所属する事業部までが目の届く範囲な気がします。
一方、営業をしていると、社会全体の中で、市場、顧客、そしてようやく自分の会社の立ち位置を考える視点が身につきます。
その観点から考えても、他業界、他業種にしても、納得できる内容だったため、紹介させて頂きました!
