「1000人のトップセールスをデータ分析してわかった営業の正解」を読んで

今日は、山田 和裕さんが書かれた「1000人のトップセールスをデータ分析して分かった営業の正解」について説明していきたいと思います。

山田さんは、1984年大学卒業、総合商社丸紅からIT業界へ転身、SFAの営業を行う過程で、「結果を出すためのプロセスの見える化」を意識するようになり、現在は株式会社フリクレアを起業しています。

この方が本書で提案する「できる営業には、業種・業界を超えて共通する普遍的なノウハウがある」ということです。

 このご意見は私もあくまで3業界だけですが、何となく同じ感覚があります。

また、どの業界でも、営業は「顧客訪問→概要説明→ヒアリング→提案」というプロセスが殆ど同じで、このプロセスの過程の中で、「顧客の課題を共有し、一緒に解決するお手伝いをすること」が「できる営業」とあります。

目次

第1章営業の正解、導入編 1000人のトップセールスをデータ分析してわかった営業の正解

できる営業は業種や業界を超えて共通する特性がある

当たり前のことを掘り下げると秘密が見えてくる

これからの営業はデータによるエビデンス重視

できる営業とできない営業の違いはどこに?

複数のトップセールスが口にした『できる営業の見分け方』

薬と旅行の営業プロセスが同じ?

第2章営業の正解、初級編 これからできる営業を目指す人へ

第3章営業の正解中級編ワンランク上の営業を目指す人へ

第4章営業の正解、上級編 絶対的エースを目指す人へ

①できる営業とできない営業の違いは、顧客との対話に使う時間、及びヒアリング・提案・クロージングに掛ける時間が違う

端的に言ってしまうと、できない営業が、顧客のヒアリングもそこそこに、資料作成、そしてアフターサービスに時間を掛けるのに対して、できる営業は、まず顧客からのヒアリング、そして提案、クロージングといった実際にお客様とあって商談をしている時間を最大化していることです。

更に言えば、顧客からのヒアリングを通じて、相手の課題を本質的に掴みだす力を持ち、その内容を踏まえて大きな視点で提案していく力、そして最後に成約化に向けてしっかりと購入してもらうという一連のプロセスが確立している営業が「できる営業」というわけです。

面白かったのは、旅行会社が地域の観光を売るところから、地域ブランデイングや観光資源開発のために、地域活性化・地域振興におけるコンサルティングやプロデユース業務を行っていること、その結果として交流人口や関係人口を増やし地域に貢献しているそうです。

結果として、コロナ禍で旅行業界の売上が激減した際に、旅行会社の業績を支えたのが、この地域創生で培ったB2G(行政からの受諾事業)だったとのことなのです。

また、昔から言われる営業の格言、「足で稼げ」「接点を増やせ」「宿題をもらってこい」「案件数を増やせ」は今でも生きていることを伝えています。

また、業績アップ=案件数増×金額増×成約率の改善/商談期間の短縮で表されるそうです。

案件数増=プロセス指標(KPI)として見える化する(まずは面談数/案件数を増やす)

金額増=関係構築・上流提案による選考営業・予算化

成約率の改善-できる営業の成功特性の真似・実践・徹底

商談期間の短縮-勝ちパターンづくり、ノウハウや成功・失敗パターン共有による営業効率化・生産性向上

38項目の「できる営業」「できない営業」の行動特性

営業支援ツールの販売過程で800人のTOP Salesに聞いただけあって、流石に納得感のある特性が並んでいます。

そのできる営業の特性の中から特に私が共感できるものを拾ってみました。

1.メモを戦術的に活用し、小さな約束を必ず守る

2.当たり前のことをするのに、難しさが身に染みている

3.言葉で結果が変わる怖さを知っている

4.上司にも助けてもらう

5.ヒアリングの制度を上げるために、聞き漏らしを心配する

6.業績アップの一番の近道は、質より量(案件数を増やすこと)。成功要因、分析を行い試行錯誤、成約率を上げるのはそのあと。

7.クロージングに向けて必殺技を使う

8.時間を見える化する

9.資料づくりでは、100点を目指さない。(時間を掛け過ぎない)

10.提案で失敗しないために逆算して準備を始める

11.顧客の決定権者向けに提案、プレゼンすることにこだわる

12.顧客のために社内の関連部門に頭を下げる

13.顧客と一緒に課題を解決する

14.顧客との関係を定義して測る

15.顧客の本音の課題の解決というコトから入る

16.顧客の本当の課題に気づかせる

17.顧客の役に立つことを先に考える

18.社内調整のお手伝いをする

19.社外のパートナーも大切な仲間としてリスペクトする

20.結果につながるプロセスに時間をかける

21.人に任せることに決める

22.本当の営業のための時間に最大40%使えている

23.行きづらい客のところも攻める

24.営業の正解を見つけるためにプロセス思考を繰り返す

25.成功だけでなく失敗からも学ぶ

26.戦略戦術よりも、何とかしてやりきることを重要視する

③私の所感

流石に営業支援ツールの販売を通じて、各業界の営業マンと何千人と対話してきただけあり、沢山の事例から必要な営業の特性が網羅、整理されていると感じました。

「顧客の課題を気づかせ、その解決に力を尽くす」「メモを取る、約束を守る、商談数を増やす」というところなど、うなずける点が非常に多いです。

あえて、私が行っている海外営業の立場及びテクノロジーの進化から派生した意見を加えると、以下の二つです。

①海外の場合は中国や韓国など日本と同じ儒教国でない限り、上司の同行を意識する必要はない事、

(むしろ時間とスピードを考えると機会を逸してしまうこと)、

但しその情報をタイムリーに階層、他部署にも共有する事(まさにSFAの考えの一部ですね)

顧客課題の発見は、ヒアリングからだけではなく、毎日の公知情報収集にて顧客の競合動向や商品動向を把握することで、類推できることも多く、日々顧客や関係者情報を網羅的に把握し、意識を切らさないことが、結果として顧客からの満足度を更に上げることに繋がる事

既にできる営業は、日々の情報収集を専門紙等から欠かさずやっているとは思いますが、その情報の取り方を漏らさないようGoogle Alertなどを活用して毎日情報を取ってくること、そのキーワードを継続して見るだけで、顧客への意識が高まるものです。

いずれにせよ、この本は営業で成果を上げたい、TOP Salesを目指す人にとって、役に立つと思いますので、興味があれば、是非お読みください。