「会社人生は「評判」で決まる」を読んで

今日は「会社人生は「評判」で決まる」を紹介したいと思います。

この本は2012年に刊行されたもので、当時自分自身が読んでみて、強く印象に残った本です。

しかし10年経って読み直してみると、世の中は更に変化/進化していることを実感することになりました。

著者は、相原 孝夫さん。1965年生まれ。

マーサージャパン副社長を経て、2006年にHRアドバンテージ社長を創業された方です。

この本は、会社員の出世などに関して、その基準は、実績等の評価だけではなく、周りの人の評判で決まるという内容を様々な事例を取り上げて語っています。

これは、自営業やフリーランスにとっても当たり前の話で、サラリーマンはぬるいとも思われると思いますが、社内で出世を目指す人は、社内人脈も意識した方が良いという視点の話です。

目次は以下となります。

プロローグ すべては評判で決まる

第1章評価が高くても、評判が悪ければ意味がない

第2章驚くほど少ない情報と言葉で、印象はつくられる

第3章中途半端な立場の人ほど、高圧的になりやすい

第4章結果を出す職場では、他部署の社員は油を売る

第5章評判を高め維持する、シンプルな考え方と働き方

➀評判とは主観の集合体である

評判形成とは、「萌芽→強化→拡散」のプロセスで始まるそうです。

つまり誰かが誰かの行為に対して、良い印象あるいは悪い印象を抱き、それを第3 者に伝えた場合に、そこから評判の形成がスタートします。

聞き手が同様の印象なり感想を持っていた場合や、それと同様の意見からも聞いたことがある場合は、評判は強化され、拡散へ向かいます。

また、その印象は、驚くほど少ない印象から作られるものだそうです。

この評判は、社内評価だけではなく、転職の際にも、ヘッドハンターが「他者と良好な関係で仕事ができる能力」をポイントとして、採用先にPRしたりもするものだそうで、極めて重要だという主張をされています。

②評判を上げるためにはどうすればよいか。

まず、職場の他者に十分な配慮ができる人が上げられており、特にリーダーは例外なく個々人に対して、ポジテイブフィーリングを持つ人が大切である点を上げています。

また、メンバーについては、評論家にならずに実行力のある人、組織に対して本質的な役割を果たせる人とあります。

ちなみに、職場能力とは、個別のスキルや専門知識ではなく、①周囲と協力して良好な関係で働ける力、②他者に必要とされる力、③他者を動機づける力がある能力を指すそうです。

また、一人ひとりの出会いは必然があると考え、各々に十分な関心を持ち、最大限重んじることも大事だとあります。

私の所感について

著者が主張する評判を大切にするという意見は、今も大事な部分だと感じます。

一方、この評判という曖昧な定義で、これまでの人事制度が運用されてきたことに対しては、今後テクロノジーの進化により、ようやく変わっていくのだろうと思います。

例えば、以下YouTubeの山極毅さんの動画では、社内外の人間との繋がりを科学的に把握することで、誰が組織のキーパーソンとなってるかを見つけ出す手法を紹介しています。

評判というものが、周囲と協力して良好な関係を働ける力とするのであれば、周囲とどれだけやり取りをしているのか、影響を及ぼしているのかをデータから客観的に導くことも可能な時代だと思います。

更に、本の中ではあまり触れていない点として、社外とのやり取りの強化によって、社内を変革したり、社内から社外に向けて対応する力を強化することが非常に大事となってきます。

このような社外との人脈、繋がりもデータから客観的に導くことも可能だと思います。

上の点を踏まえると、社内の「評判」は大事であるものの、テクノロジーの変化に伴い、提供するサービスも変わりうる時代は、社外の情報を元に社内を変革したり、社内外と対話しながら、物事を進める力、つまり評価/ 実績が大切な時代となってきていること。

また、「評判」という曖昧な言葉ではなく、人との繋がりというデータで測定する科学的な手法も生み出されているのではないかと2023年の私は感じました。