「稼ぐコンサルタントの起業術」を読んで

本日は富田 英太さん著作「稼ぐコンサルタントの起業術」を紹介します。

私自身は、ゆくゆくは海外営業のコンサルタントをやってみたいと考えていますが、今何が必要で、何をすべきなのか一つ一つ課題を設定し、対応していきたいと思い、この本を手に取りました。

著者の富田さんは、SEから行商まで様々な職業を経験した後、26歳で会社を設立。

店舗経営コンサルタントとして、1500店以上の開業支援、売上改善に携わったそうです。

このようなコンサルタントとして成功した著者が、起業する道が大変であることを踏まえて、「独立1年目から仕事が途切れない方法」を紹介したのがこの本です。

目次

第1章 コンサルタントとはどんな仕事か

第2章 コンサルタントになる前に必ず準備すべきこと

第3章 コンサルタントは「5つのルート」で稼ぎなさい

第4章 「形のないノウハウ」を売るコンサルタントの営業力

第5章 クライアントを獲得する10の手法(オンライン編)

第6章 クライアントを獲得する10の手法(オフライン編)

第7章 「ニーズ×強み×ツール」でコンサルテイングを行う

①まずは小さな分野で1位を狙えるようにコンサルテイング分野を決める

肩書は、それを聞いただけで、何をしてくれる人なのか。

どの分野のコンサルタントなのかがわかるようにつける必要があるそうで、自分の得意とする分野で、かつクライアントがメリットを感じやすい肩書を選択するよう心掛けるそうです。

また、顧客は「5店舗までの小規模経営を営んでいる美容室に特化したサービス」など、専門性を持ったコンサルタントに頼みたいそうです。

ターゲットを絞れば絞るほど、その条件に合った顧客の反応率は高くなるそうです。

まずは小さな分野で1位になることが最初の目標だそうです。

では、顧客を見つけるには、どうするのか。

あくまでお客様から仕事を依頼していただく仕組みを作ることが必要だそうです。

筆者は店舗経営の手伝いを主にするコンサルだそうですが、通信販売、士業、工務店など様々な業種業態のコンサルテイングを手掛けてきたそうです。

実は業界知識と、経営を改善する手法に関しては、あまり関係がないそうです。

具体的には次の7ステップを踏み、必要に応じて何度も繰り返すそうです。

1.目的を決める

2.目標を決める

3.現状を分析する

4.目標と現状の間のギャップを見つける

5.経営上の問題に優先順位をつける

6.改善策を実施、検証する

7.継続して数字を管理する

まずは、クライアントの目的を明確に決定する、この「何のために経営をするのか?」という目的を、経営では「理念」といい、目的(理念)を明確にすることは、非常に大事な最初のステップになるそうです。

次に目標設定ですが、ゴールまでの通過ポイントを決めるということで、数字で事業計画を立てていきます

そして、現状を分析した結果、未来と現実の間にギャップがあることがわかり、それが経営上の問題であると考えます。

この問題を見つけたら、優先順位をつけ、行動プランを作成し、実施、検証するそうです。

②クライアントの計画を考える前に自分自身の事業計画を定めよう

起業する前に、自分自身がしっかりした事業計画や人生の計画を持たなければ、アドバイスなどできないそうで、「起業してから5年後、自分はどんなことをしていたいか」そしてその答えをまずは紙に書きだすそうです。

具体的には、5年後の未来から逆算して、4年後、3年後、2年後、1年後、半年後に自分がやらなければならないことを決めていくそうです。

5年後、どのようなクライアントに囲まれ、どんな生活をしているのか

どんな仕事に取組み、どれほどの収入を得ているのか

ワクワクしながら想像することから、事業計画は始まるそうです。

そのイメージを実現するためには、起業準備中にさらに詳しい計画の立案や、資金調達、情報収集をしておかなければいけないそうです。

なお、起業しようと決めてからの準備期間は、「約2年間」が多数だそうで、

①コンサルテイングに必要な情報収集、

②一連の事務フロー関連の情報、

③1年間無収入で生活するために必要な資金を作る事(最低300万円)、

④仕事の依頼を確約してくれるクライアント3社を見つけること、

⑤自分の専門分野外のプロフェッショナル(弁護士、税理士、会計士、司法書士、行政書士、社労士、不動産関係者)などの人脈を持つ

といいといいます。

また、起業準備期間中に1円でもいいので、自分の力で人からお金を頂くという経験をすることで、稼ぐ過程で得られた小さなヒントがコンサルタントとして独立したあとにも活きてくるそうです。

③経験値を積むためにまずは営業力を磨く

セミナーを主催して、クライアントを見つけ、小さな仕事でもいいから受注する。

それが新しい経験に繋がり、更なる仕事を呼ぶ。

その具体的なコンサルタントのキャッシュポイントは、5点あるそうです。

1.コンサルテイング契約(顧問契約とスポット契約)

2.セミナー講師(主催と外部講演)

3.会員組織の回避

4.マージン(紹介手数料と企画手数料)

5.執筆収入

コンサルタントという職種が基本労働集約型、自分の時間の切り売りのため、顧問料や講演料だけでは、すぐに収益の限界に達することから、会費、マージン、執筆収入など不労所得に近いルートも確保した方が良いそうです。

尚、筆者はサービスに対する顧問料5万円から始めたそうですが、3倍の15万円の粗利を生むというモットーで仕事をしていたそうです。

また、セミナー講師は近頃講師が増えており単価が低くなっているそうですが、その実態も理解しながらも、自分でセミナーを主催して経験を積んでいくのが現実的だそうです。

更に情報発信していくコツをつかむことができたら、ゆくゆくは有料の会員制メールマガジンに移行する形もあるそうです。

筆者は月に1回情報を提供し、年に4回までのミーテイングとメール相談無制限の権利を会費と引き換えに提供しているそうです。

なお、会員組織立上のポイントは、顧客ターゲットを絞り、サービスを限定することにあるそうです。

また、本の執筆については、ブログなどでの文章の執筆になれたら、次は業界紙への売り込みを図るといいます。

最初は無料でよいから記事を寄稿させてもらうことで認知度が上がり、そのうち有料での執筆依頼が少しずつ増えていくはずだそうです。

1.業界紙への無料寄稿

2.業界紙の記事の原稿料収入

3.書籍の出版と印税収入

の3ステップで執筆収入のルートを作るとよいそうです。

その際、普段どのような話を講演、セミナーでしているのか。

どのくらいの人がその講演・セミナーに参加しているのかが編集者が興味を持つポイントになるそうです。

④ぜひあなたに仕事を依頼したいと言われるための3つのポイント

コンサルタントにとって一番いい契約の状態とは、「ぜひあなたに仕事を依頼したい」とクライアントからお願いされることだそうです。

その際に、①マーケテイング、②ブランデイング、③セールスの3つの要素が大切だといいます。

マーケテイングとは、自分が持っている商品を欲しいという顧客を、自分の目の前に連れてくることだそうです。

コンサルタントにとっても、どうすれば自身の見込み客を目の前に連れてくることができるのかを自問自答する必要があります

また、ブランデイングで「あなたの信頼性」を表現し、「自分の言葉」でセールスをする。

コンサルタントは目に見えないノウハウを売るため、契約に際してその信頼性が問われます。

従い、コンサルタントにとってのブランデイングとは「ありとあらゆるツールを使って、あなたの信頼性を表現する事」だそうです。

その為にもブログにて、提供するサービスをしっかりと記載する事。

ブログではまずは質より量を追求し、記事の最初に必ず肩書と名前を入れること。

継続的にセミナーを開催し、参加者の何を解決するか、何を伝えることができるか、何を感じてもらえるかといったゴールを明確化することで、1つの信用が生まれること。

またセミナー参加者の特典として無料相談を受けれるようにしておくことで信頼性が上がるそうです。

更に書籍、業界紙の執筆を行うこと、そのセミナーなどのイベント情報や著書の出版に関する情報をプレスリリースとして記事に取り上げてくれそうなメデイアに送ることがブランデイングに繋がるそうです。

最後にセールスとは「自分の言葉で自分の商品を説明し、契約していただき、お金を受け取る」ことだといいます。セールスは何度も成功と失敗を繰り返すことで、受注までの黄金パターンが見えてくるそうです。

⑤ブログ、書籍化、セミナー開催に関するノウハウ

ブログについては、例えば開業サポートをメイン業務にするコンサルタントであれば、「資金調達」「店舗物件」「法人登記」「人材採用」「事業計画の作り方」といった言葉で検索することを見据えます。

従って、ブログ名を「開業・創業の際の資金調達支援コンサルタントの日記」などにするとよいそうです。

1日1記事、「あなたの世界では当たり前だけど、意外に知られていないことを掲載する」のがブログ記事を書くコツだそうです。

また、書籍化をする際に自分自身のノウハウの棚卸をしてみましょうとのことで

1.あなたができる社会への貢献は何ですか

2.自分の中にあるノウハウで史上1位になれるものは何ですか。それは他者と圧倒的に差別化できるものですか。

3.あなたが、他人よりもほんの少しでもすぐれているところはどこですか。

4.あなたは周りの人にどう見られていますか?どう見られたいですか。

5.あなたは自分にどんな肩書をつけることができますか。

を意識すると、ノウハウが見えてくるそうです。

ちなみに、著者が最初の作品を出版した際、社長から教わった7つのポイントは以下だったそうです。

1.失敗事例、成功事例をすべて記録してノウハウを作りなさい

2.読者対象を明確にしよう(たった1人の存在に対して本を書く。問題を解決してあげるという気持ちで)

3.面白い魅力的なキャラクターを演じよう

4.自分のテーマに関係した書籍を20冊くらい読む

5.キーワードを先に書いてキーワードごとにキャッチコピー、ストーリーを作る

6.浪花節人生は、他人を感動させる

7.販売価格が1,300円だった場合、その人が十倍得する1万3000円の価値がある内容にする

セミナーについては、継続的にセミナーを開催することによって、一つの信用が生まれるそうです。

毎月決まった日に必ずあのセミナーが開催されているということを参加者に周知させることを目的に、なんとしても継続することを目標に、必ず参加費を取った上で、小さく始めてみましょうとのことです。

なお、セミナーでは、

①自分が参加者にどのようなことを提供したいのか。

②ずばりその内容を一言でいうと?

③自分が具体的に伝えたいことを小学生でもわかるレベルで20秒以内に表現すると?

④このセミナーで、どのような気づきを得てほしいのか。

⑤このセミナーでどのような感情を持ってほしいのか。

⑥このセミナーの後に、どのような行動をとってほしいのか。

⑦このセミナーの後にどのような状態になってほしいのか。

を意識するとよいそうです。

⑥自分の所感

この本には、最初に店舗の販促コンサルタントとしてサービスを提供していた筆者が、その後販売促進と組織運営は両輪であることから、指導に関する知見を高めていったこと

更に経営理念や財務管理など、12の項目に渡る経営ニーズを導きだしたことなども記載しています。

ご本人がコンサルタントとしての準備がないまま、起業してしまったことに対する反省から、「準備8割」を念頭に置いて、起業前の2年間で準備すべきことを具体的に伝えています。

この本は2012年に出版されていますが、筆者の気持ちのこもった凄く役に立つ本だと感じました。

購入した1,500円の10倍となる15,000円の価値があると私は思います。

コンサルタントに興味がある方は、是非手に取って見られるとよいと思います。