本日は、いつもの柳下裕紀さんの講座で勉強したCadence Design Systems(CDNS)を紹介します。
https://ameblo.jp/yukiyagi7/entry-12920654630.html
半導体の業界は凄く複雑で、今話題のNvidiaやIntel、TMSCといった半導体メーカーに加えて、半導体製造装置メーカー、半導体材料メーカーなど様々なプレイヤーが存在します。
その中でも、Cadence Design Systemsは、半導体の回路を自動で設計するEDA(Electronic Design Automation)ベンダーとなります。
1980年後半以降、半導体回路が複雑化するなか、設計は自動化の方向へ。
また、製造もIntegrated Device Manufacturerから製造に特化するFounderyが誕生する水平分業の世界へと移っていきます。
そんな中で、1988年にICレイアウト検証ツールを提供していたECADがSDAを買収したことで、Cadence Design Systemsが誕生。
製品の開発力、市場での競争力を生み出す上で、EDAが重要な要素技術の一つとして確立。
ハードウェア設計者が単純作業や計算作業から解放され、また業界標準のハードウェア記述言語と論理合成ツールを開発したことによって、抽象的な回路の動作に関する記述から論理回路の実装設計を行う工程が自動化されることによって、先端の設計が可能になったそうです。
この設計工程は、
①仕様設計(システム設計)完成品を搭載する製品が必要とする処理スピード、消費可能な電力、サイズや価格などの仕様を決める
②機能設計 使用を実現するために必要な機能を示すブロック図を作る、
③論理設計 各機能ブロックを論理回路に変換した図をつくる、
④回路設計 論理回路をトランジスタレベルの回路ブロックに変換する、
⑤レイアウト設計 トランジスタ回路ブロックを配置したり、配線を施したりする、
⑥フォトマスク作成 レイアウトを元にしてフォトマスクをつくる
といった一連の設計工程の中で、各設計工程では、その都度シミュレーション用ツールを使って回路やシステムが想定通りに動くかどうかを検証し、不備があれば修正。
レイアウトの自動化、設計、ルール通りに配置されているかの確認もEDAを使って行われるんだそうです。
このEDAベンダーは1990年代にSynopsis、Siemens(旧Mentor)とともに、Cadenceが積極的に他社を買収することで、製品ラインナップを急拡大。
3社による寡占化が1990年代後半には固まっていったんだそうです。
現在の半導体メーカーとなるNvidia、AMD、クアルコム、ブロードコム、そしてインテル、サムソン電子、キオクシア、SKハイニックスなどは、半導体設計の際に、必ずEDAベンダーの製品を使っており、そのマーケットがほぼ3社に寡占(約8割)されている状況です。
また、近年半導体の回路規模が拡大し、すべての回路をゼロから設計することが不可能になっている中、既存の設計資産、具体的には設計に必要な機能ブロックを有効活用し、高機能な半導体を短期間で設計するIP(Intellectual Property)を購入することもあります。
このIPベンダーで有名なのがArmであったりします。
なお、CadenceとSynopsisの違いは、Cadenceが物理(下流)設計、シミュレーションに強い一方、Synopsisは上流設計(論理合成)に強いんだそうです。
また、SiemensはCalibre物理設計検証ツールと自動車向け設計ツールに強く、3社がガチンコでの競合にはなっていないそうです。
(ちなみにChat GPTによれば、
半導体設計フローである
①フロントエンド設計(論理設計・検証)、
②バックエンド設計(物理設計・配線)、
③アナログ設計のうち、フロント設計はSynopsis、バックエンドはCadence、アナログもCadenceといった組み合わせが一般的であること。
EDA分野ではそれぞれの会社が強みを持つツールが異なり、全工程を単一ベンダーで完結させるのは効率や成果物の品質の面で不利になることが理由だそうです。
大半の半導体メーカーでは両方とも契約し、設計者がフローの中で複数ベンダーのツールを行き来するのが普通と出てきました。)
なお、売上高はSynopsisの方が高いものの、ROICでは常にCadenceの方が高く、柳下さんは、Cadenceに投資しているそうです。
また、EDAは3年間契約、月ベースのリカーリング契約であり、ストックビジネスであること。
全ての半導体メーカー及びファンダリーメーカーが顧客となっていることから、ビジネス基盤が極めて安定していること。
EDA設計のビジネス特性上、
①システム機能、LSI製造技術を前提とした物理設計の両方が最先端であること、
②抽象的な概念から具体的な部品、装置まで多段階の工程を持つこと、
③更に高集積、微細化が進んでいる中、既存技術の陳腐化が激しいこと
から、切り替えが困難なため、1990年代から3社の寡占状態が変わっていないんだそうです。
更に、Cadenceは、2020年代に、
①AI活用による自律型チップ設計への取組、
②EDAとCAE(Computer Aided Engineering)をデジタルツインで繋ぎ、3D集積へのリーダーシップを図るなどを目指しているそうです。
また、CadenceはEDAツールのクラウド化を他社に先がけ10年以上前に実装しており、膨大なシミュレーションや並列なデザイン空間探索が必要なAIチップ開発に向けた圧倒的な優位性があること。
結果として、Nvidiaの主要EDAパートナーにも選ばれています。
柳下さんの投資企業選定は、NVIDIAといった市場で最も注目されているAI半導体開発企業(但し、競争は激しい)へ投資するのではなく、その周辺企業で、NVIDIAの開発の恩恵を受ける中で、競争優位性が高く、参入障壁を築いている企業を選ぶことが、長期の価値創造に繋がるという考え方だそうです。
その行きついた先の一つの企業がCadenceだそうです。
私自身は、昨年の講座でこの企業を知り、多少投資を始めていますが、このようにM&Aを中心に、企業を強くしていく企業は、欧米企業に多く、一般的な日本企業にはなかなかない発想だと感じました。
今からも、十分に企業価値を上げる余地が高そうなCadence、良かったら投資してみては如何でしょうか。

