「The Home Depot」の紹介-40年間で1900倍株価が上昇した会社

本日の紹介は、米国ジョージア州にある住宅設備、住関連修繕部材、部品、工具、園芸など住宅周りのDIYニーズに特化したホームセンター「The Home Depot」です。

例によって柳下裕紀さんの講座

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及び書籍「真のバリュー投資のための智慧と実践」

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からの紹介です。

この会社の株価推移が、投資家の間でも良く話題になります。

1985年から40年間この会社の株を持っていた人は、1900倍上昇していた・・・。

それが、新たなテクノロジー企業などではなく、ホームセンター事業というところが面白いところです。

2024年度の売上高は1595億ドル(約24兆円)、営業利益は215億ドル(約3.2兆円)、純利益は148億ドル(約2.2兆円)の規模となります。

日本のホームセンターの総売上高が約3兆4千億円だそうなので、1企業で日本全体の約7倍の売上だそうです。

実はアメリカの住宅資産は木造でも60年の耐用年数があり、住宅を購入後、その改善を投資として行い、資産価値を高めてより大きな家を購入するといった習慣があるそうです。

また、過去に住宅製造販売のNVRを紹介した際に、

NVR Inc(アメリカ住宅製造販売+住宅ローン金融会社)の紹介 | すがわら あつし

アメリカの住宅は実質ノンリコースローンとなり、金融機関からの借入に対して、担保となる不動産を渡したら債務支払いは完了となる事。

更に、Home Equity Loanでは、住宅ローンの返済が進み、担保掛目が低下した場合、担保掛目の75%まで、新たに融資Or与信枠を与えるといった仕組みとなっており、その仕組によりアメリカ人は消費拡大を実現しているそうです。

実は、HOME DEPOTは、2000年代は、1000店舗から2000店舗へ拡大、更に中国と世界展開を視野に広げたのですが、サブプライム問題によって住宅市場が最も影響を受けた時期に、拡大基調の反動で業績が大きく不振。

そこで、高級家具類に特化し羅ブランド店舗の閉店、中国事業からも撤退し、2010年以降は出店をほぼ凍結したそうです。

一方で、1店舗の価値を最大限に挙げていく方向に戦略を大きく変え、その結果、約3000坪の1店舗当たりの年間売り上げは約50-100億円にもなったそうです。

地域密着と専門性の高い従業員による顧客ロイヤリテイの強化、これを組織的に担保する仕組のために、出店前に数年かけて事前調査をし、木材から石積み、冷蔵庫、照明などばらばらに入手しなければならなかった商品をワンストップですべて提供。

更に、従業員教育に多額の投資を行っており、全員に徹底して専門知識や技術を習得させるためのトレーニングをトータル100万時間、3000近いコースを提供しているそうです。

Home Depotが出来た結果、従来購入した住宅に手を入れるのはプロの職人を抱える高額所得者のみだったものが、住宅のImprovement需要に火をつけ、米国民3億人の生活スタイルを変えたと創業者のBarnadr Murcusさんの著書に書かれているんだそうです。

なお、HOME Depotが対象としている顧客は3つに分かれ、

①DIY(DO IT YOURSELF)-自分自身でHOME DEPOTで商品を購入し、修繕や据え付けをやる層、

②DIFM(DO IT FORME)-HOME DEPOTで住宅用部品を購入した後、据え付けもプロに任せるタイプ。

この修理、修繕施工業者の選択肢を広げるために、REDBEACONというオンラインマッチングプラットフォームの運営会社を買収し、業者とのイメージのすり合わせを助け、屋根、窓、フローリングなど大がかりな据え付けはプロに任せるが、ペンキ塗りや家具の据え付け程度は自分でやるなど多様なニーズをすべて囲い込む仕組を-配電工

③プロ-家の建築を行う住宅施工業者や工務店、リフォーム業者、電気技師、-配電工などで、顧客数は1割程度ながら、年間1万ドル以上を支出することで、売り上げベースは50%を超えるプロ層顧客。

HOME DEPOTは今後、このプロ層顧客の売上を強化して伸ばしていこうとしています。

2010年までの積極的な出店戦略を完全に転換し、規模の経済性の追究ではなく、オムニチャネルリテーリング体制の構築を行い、店舗のバリューを最大限に引き出してきたこと。

その設備投資の多くをDX構築によるオムニチャンネルリテーリング促進に注力し、オンラインの売上が全体の15%に達する。

そのうち、購入者の50%はネットで注文してお店でピックアップし、ついでの購入に繋がる仕組がオムニチャネル展開の相乗効果となっていそうです。

ネットの購入を拡大させるよりも、物理的なリテールプレゼンスとデジタル機能による摩擦のないインタラクションを融合させることに重点をおいて投資を続け、完成度の高い仕組みを構築する。

この作りこみが、プロにとっても、1分1秒の遅れが、その分の機会損失につながるような客にとって大きな価値になっているそうです。

なお、このコアプロ市場、リノベーションやリフォーム業者、塗装工などによる小規模な案件の需要を殆ど取れていなかったと分析し、2017年に小型重機のレンタルを手掛けるコンパクトパワーイクイップメントを買収。

更に2024年に建築資材販売のSRS Distributionを買収。

このSRSは全米760店舗で屋根工事業者や造園業者、プール施工業者に建材や資材を販売しているそうです。

更に2015年に住宅や設備の保守、修理、点検の商品とサービスを手掛けるインターラインブランドを買収。

2020年には建設資材販売のHDサプライホールデイングスを買収。

更にWalmartとの配送サービス業務の提携等により、配送サービスを充実化させたようです。

また、プロ客への機動性をもたせるために、2023年から5年間で80店舗増やす予定としており、プロ顧客向けの囲い込み戦略を突き詰めているのだと思います。

尚、柳下さんの本では、このプロ向けの売上伸び率を計算した株主価値を弾いています。

なお、2024FYAnnual Reportを眺めてみましたが、直近の利益率は落ちているんですね。

逆に2022FYのROIC44%は凄い数値です。

また、2024FYは上で上げたSRS Distribution買収など、投資にしっかりとCashを使っているのもよくわかります。

HD_2024_AR_IRsite_v2.pdf

柳下さんは、企業DNAが強固で、競争優位を保つ仕組が作られていれば、右肩上がりで企業価値は増大すると言います。

プロフェッショナル向けサービス強化への投資がどういう結果が待っているか、凄く楽しみです。

私は、日本の長期投資に値するであろう企業への投資と共に、アメリカの長期投資に値する会社として、先日紹介した 

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に微々たる金額ですが、投資をすることで、よりアメリカを理解していこうと考えています。