公知情報の情報提供を前提に継続的にインプットすることで、自身の知見が高まることを前回のコラムでお伝えしました。
公知情報の具体的な情報収集手法とは (ironman1977.com)
しかし、情報収集をする営業マンは世の中に沢山います。
しかし、その情報を役に立つと想定する人に継続して提供している人はどれだけいますか。
公知情報というのは、顧客情報や社内機密情報とは違い、誰とでも共有できる情報です。
その情報を社内外で共有するだけで、相手との信頼関係が生まれます。
今回のコラムでは、公知情報をもとに相手との関係構築をしていく術をお伝えします。
①公知情報の提供によって生まれる信頼関係
公知情報の提供には、自部門の守秘性が高い情報などを外に漏らす心配はなく、社内外のどんな相手ともやり取りすることが可能です。
自社の動きや商品に関する内容の開示の場合は、毎日公開できるような内容を提供することは難しいでしょう。
そもそも守秘性もあり、のべつ幕なしに社外関係者に提供する内容でもありません。
一方、公知情報であれば、日々継続して提供できるため、関係性を保ち、深める一つの手段となります。
有益な情報を相手に提供すればするほど、より信頼感は得やすくなる、しかしその情報は公知のものなので、自部門、自社、他社の区別なく提供できます。
②公知情報の提供による幅広い関係者のネットワークによる面での市場理解
以前の会社で東南アジアで製鉄プラントの営業をしている際に、直接の顧客及び顧客と繋がりを持つ地元の鉄鋼商社にも足を運んで継続的に情報収集をしていました。
その際、相手からしても、直接の取引先ではない私に時間を使って会う意味がないと継続的な関係性は作れません。
そこで活用していたのが、
①公知情報を元にした日本及び東アジア地域の情報提供、
②東南アジア他国の公知情報提供及びそのヒアリング、
③上記②によって知った自らが直接得た情報を武器に、他の関係者と更なる情報交換をしていました。
例えば、東南アジアの顧客にとっては、日本を含めた東アジアの鉄鋼業がどういった考え方で経営をしているのかなどは、あまり把握していません。
そこで、日本の鉄鋼企業幹部談話などの記者に語っている公知情報を伝えるだけで、彼らにとっては貴重な情報となりえます。
また、自社の設備投資や事業範囲の拡大について、検討を重ねる上で、例えば他国の先進事例がどのような動きになっているかなどを気にします。
商社にとっても、自分たちが普段接している顧客や競合他社がどのような動きをしているのか、私のようなプラント設備を販売する立場からどのように見られているのかを知る意味で、情報交換をする価値が出てきます。
その際にも、鉄鋼商社がどういった戦略をもって経営に携わっているのかを最低限の公知情報にて知ることで、より相手の懐に入る内容を引き出したりしていました。
③優良企業ほど、情報に対する感度が高い
世の中で競争力が高い企業と低い企業の差は何か。
私は、情報収集能力の差がまず一番に来ると考えています。
かつてインドネシアで一番の建材加工会社は、新商品がどのようなものか、世の中のトレンドがどうなっていくのかをグローバルで見極め、自社に取り入れるために、アメリカ、欧州、中東、ロシアなど世界中の展示会を訪問し、世の中の流れを掴んでいました。
鉄鋼市場動向については、私の方がプロであるはずにもかかわらず、その顧客から中国の顧客情報を教えてもらうこともありました。
このような企業にとって、私が持ち込む公知の情報も基礎とした面での市場情報というのは、極めて大切なものとなります。このようなやり取りを継続して続けることで、具体的な取引が始まる前から、信頼感を勝ち取ることが可能になります。
ちなみに、私がインドネシアを訪問し、顧客と何度も食事をする際に、私が食事代を支払うことは殆どありませんでした。
(私と対話する意味も多少あったと勝手に自負しています。)
纏め
①公知の情報は、収集するだけでは、片手落ちで、その情報を継続して関係者に提供することで、信頼関係が生まれます。また、公知情報のため、守秘性などを気にする必要もなく、社内外に提供することができます。
②上記公知情報なども基とした幅広い関係者とのやり取りにより、幅広い面での市場理解が進みます。また、直接の利害関係者でなくても、相手の企業の公知情報を把握し、必要な情報を掴み、提供することで、より関係性を深めることができます。
③優良な顧客は、得てして情報収集能力も非常に高く、そういった顧客にとって、面での情報を提供してくれる人は貴重です。このようなやり取りを通じて、具体的な商談に入る前から信頼関係を築くことができます。
幅広い関係者との信頼関係を構築するための公知情報の提供。
まだ、やったことがない方は始めて見ては如何でしょうか。
なお、具体的な相談事項があれば、コメント欄にてお知らせください。