本日は酒井威津善さん著作「儲けのしくみ 50万円からできるビジネスモデル50」自由国民社出版を紹介します。
この本は、
1.中小企業、個人事業主向けのビジネスモデルの紹介、
2.50の公式を抽象化した概念とその具体例を用いてアイデアを提供していること、
3.実践的な内容を取り扱うことで、毎日アイデアに触れ、その取り組みによって、成功への足掛かりを作るための本
という視点で書かれた本だそうです。
著者の酒井 威津善さんは、元々東洋情報システム(現TIS)にて法人向けシステム提案、企画設計に従事したのち、不動産証券化、住宅建設業、人材紹介業、システム開発業、遊技機製造業などでCFOを歴任、その後独立。
様々な業界の財務モデルに基づく新ビジネスモデル構築を実施し、財務コンサルテイング、新規事業の企画、設計サポートを行っているそうです。
目次
第1章ビジネスモデルは一部の天才だけのものではない
第2章ビジネスモデルを生み出す発想法
第3章実例で見るビジネスモデルの公式50
①新しいビジネスモデルを考えるのは超簡単
新しいビジネスを生み出すには、分厚い専門書を読むのではなく、自分で発想すること、そのためにはすでにあるものを掛け合わせること。
既存のもの×既存のもの=今までにないものを発想する。
世の中の多くのビジネスが、すでにあるものをヒントにして成功しているといいます。
また、そのビジネスをシンプルにすればするほど飛躍的に成功へと近づくそうです。
そのためには、人にこのビジネスがどんなものなのか、できるかぎり単純に説明してみることを勧めています。
また、ビジネスモデルと聞くと、難しく考えがちですが、ビジネスモデルの正体とそれを解くための公式さえわけあれば、誰にでもたやすく、苦手意識を持つことなく、簡単に作り挙げることができるそうです。
②新しいビジネスモデルを発想する「4つの軸」とは?
ビジネスモデルを発想するための4つの軸があるそうです。
第1の軸「対立概念」
つまり、反対に存在するものが使えないかという視点だそうです。
例えば外食と自炊という概念でいえば、外食で用いられている食材を自炊用に販売できないか。
若しくは「日常性」「非日常性」ですみ分けて考えると、福岡のA店ラーメンをコンビニの商品で取り扱う。
もしくはおふくろの味を外食産業にしてみるなどです。
第2の軸「シーケンシャル」
シーケンシャルとは、順番に並んでいることをいいますが、並びを変えてみることだそうです。
例えば、「価格」価格の順番となると、高価格から低価格までありますが、高価格のものを低価格に、低価格のものを中価格にということだそうです。
ほかにも「時間」についてもあります。長時間から短時間。
短時間のものを長時間に切り替えるビジネスでいえば、JR九州、東日本が提供するクルーズトレイン(2泊3日)など、長時間かけて列車の旅として提供しているサービスもあるそうです。
第3の軸「ビジネスプロセス」
ビジネスプロセスは、提供側=企業と利用側=顧客の両者にあります。
例えば、企業側のバリュープロセスでは、倉庫業の場合、①倉庫建設→②営業活動→③契約締結→④保管業務→⑤付帯業務となるそうです。
また、顧客プロセスは、Attention(注意認知)→Interest(興味関心)→Desire(欲求)→Motive(動機)→Action(行動)などです。
この流れのどこかを変えられないかと考えることだそうです。
例えば倉庫業の付帯サービスに追加してセキュリテイーサービスを提供するなどだそうです。
第4の軸「カテゴリー」
最後の軸はカテゴリー。
地域、産業、業態、種類などのカテゴリーを今属しているものとは別のものに置き換えてみるということだそうです。
例えば、地域。
北海道でしか売られていない商品を東京に持ってくる。
東南アジアで流行っているものを日本に持ち込むと考えてみる。
産業のカテゴリーなら、自動車産業で使われている販売手法をホテル産業に持ち込んでみるなどだそうです。
この時にビジネスの「性質」を抑えて、あてはまるのか確認が必要だそうです。
また、具体的なサービスを抽象化してみることで他のサービスとの共通点を見つけることになり、その共通点が見つかれば、別のものに置き換えることができないか考えることで、新たなビジネスモデルができるそうです。
また、他社との差別化という観点では、コンセプトを変える、顧客の資産を活用するなども有用だそうです。
またビジネスモデルを生み出す6つの切り口として、
1.顧客を変える(買わない人、利用者でない人、層を変える)、
2.商品・サービスを変える(簡略化、無料化、イージーオーダー、コンセプトチェンジ)、
3.価格帯を変える、
4、場所を変える、
5、時間帯を変える、
6、プロセスを変えるなどだそうです。
③実例で見るビジネスモデルの公式50
上記で説明した概念を活用し、具体的なモデルを50上げています。
公式07 既存のビジネスの流れを逆にするという章では、その一例として書店が読者に本を出すという付加価値をつけることで、著者→出版社→印刷会社→取次→書店という流れに対して、書店が本を売るだけではなく、著者になれる窓口を作った事例が紹介されています。
公式08 新しい常識を創るでは、自己負担5万円で100人の結婚式サービスを提供する(参加者は会費制)
公式13 ニッチな情報を狙うでは、例えば趣味、仕事若しくは海外情報(例えば日本の出張者向けの現地情報)の提供による価値情報の提供、
公式24 他人の力を借りるでは、旅行中に、近所の愛犬のホストを探すサービス(Doghuggy)なども紹介されています。
公式26 情報をまとめるでは、インターネットでは情報を集め切れない類のものを対象とするなどもあるそうで、私の書評ブログにもアイデアが活きそうです。
④私の所感
この本は「終わりに」もありません。
兎に角ビジネスモデルのアイデアの出し方を実例と共に紹介した本です。
初版が2017年となるため、紹介されているサービス/事業自体は終わってしまったものもありますが、そもそもこのように新規事業やビジネスモデルを考えることが知れたのが、私にとっては収穫でした。
興味ある方は是非読んでみてください。