「ドーン」の紹介-この企業の業績は固いです。

本日は、地理情報システムを活用したシステム開発・販売を行う株式会社ドーンを紹介します。

この会社も12月27日の柳下由紀さんの講義で取り上げられた会社でもあり、以下の本にも最終的な企業価値算定まで載っていますので、興味がある方は、講座動画を買うか本を読んでみると良いかと思います。

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ドーンという会社は、1991年設立。

1995年の阪神・淡路大震災後神戸市長田区復興支援GIS構築事業を開始し、震災被害解析GISシステム。

つまり人工衛星や現地調査から得られる地理情報をベースとした表示機能、図形の作成・編集、検索、空間解析、主題図作成機能などを官公庁の仕様に合わせて、ソフトウェアの開発とシステムインテグレーターとして、主に地方自治体向けに受託開発を行ってきました。

官公庁に対して、ソフトウェア、マニュアル、導入教育を基本パッケージとして販売。

また、ライセンス販売では、アプリケーションを開発する権利とエンドユーザーに販売する権利の2種類のライセンスを許諾、販売しているそうです。

その際、ドーンが開発した「GeoBase」と「GeoBase.NET」というミドルウェアを組み込み、エンドユーザーの業務に必要な機能や仕様に応じたアプリケーションを開発して初めて機能するそうです。

この二つのミドルウェアが、地理情報システムに関わるアプリケーションを構成する関数の集合体であり、エンジンと呼ばれる基幹部分を含む各種機能を有しているそうです。

更に2005年から自治体向けにクラウドサービスを提供。

初めてクラウド型の地図配信サービス「まちかど案内まちづくり地図」を提供したのがスタートで、地方自治体や警察等の公的機関が保有するさまざまな地図情報を住民に対して公開するサービスを提供しました。

2009年には、自治体の庁内業務に対応し、地方自治体の庁内各課で保有する地図情報等を共有した統合型GISを低予算で構築し、庁内各課で保有する空間データを共有するクラウド型サービス事業「まちかど地図Pro」を開始したそうです。

このクラウド事業は、サービス開始の為の環境を構築する初期構築費、サービス提供期間に継続して徴収する月額利用料で成り立っており、ストック型ビジネスとして利益率が高いそうです。

2025年度の決算説明資料では、クラウド利用料を含むストックビジネスが全体の60%を占めているそうです。

2010年には、現在主力商品となる、聴覚や言語の発話に障害を抱える人向けに、スマートフォン等のインターネットやGPS機能を利用し、簡単な画面操作で素早く119番通報ができる「NET119緊急通報システム」を地方自治体や消防庁向けに開発。

神戸市、川口市などの自治体で導入された後、東京消防庁、大阪消防局で稼働を開始したことで、全国の消防局への導入が加速。

2018年には、国内標準化促進に向けた標準仕様を実装したことで、総務省が全国に早期導入促進することを正式決定し、このシステムを導入する際の運用経費を地方交付税でまかなう措置を通達した結果、2020年以降、仙台、広島、福岡、大分、長野、川崎などの多くの自治体で採用が加速し、2024年時点の消防人口カバー率は72%を超えているそうです。

2023年には、同じ事業を行う両備システムズから事業承継を受け、より寡占化が進んでいくようです。

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また、同じく消防向けに映像通報クラウドシステムのLive119の本運用が神戸市と兵庫県小野市で開始。

このLive119は、119番の通報者がスマートフォンでビデオ通話を行い、通報現場の状況を撮影して消防に伝送するシステムで、消防管制室では、通報現場の事故・火災や傷病の詳しい状況を画像で確認し、音声だけでは難しい視覚的な状況をリアルタイムに収集出来るシステムです。

こちらも全国の消防での導入、試行運用が進捗し、2022年から東京消防庁での本運用が始まり、2025年時点で50%の人口カバー率に達しているそうです。

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更に、このLive119の映像通報の技術を応用し、映像通話システム「Live-X」を開発。

いつでもだれの端末でも利用可能で、3者通話や4者通話でもカンタン案操作で転送が可能なため、映像通話をしながら、テキスト文書や図面などを共有することができる。

新型コロナウイルス感染症対策の非接触相談業務に最適ということで、神戸市が保育所の入所手続き相談に導入、滋賀県大津市の水道ガスの検査業務でも活用がスタート、更に民間分野への導入が検討されています。

2024年度決算では能美防災、NEXCO東での導入事例が公表されていました。

さらに、Live-Xの設計技術の横展開として開発されたクラウド型の災害時共有サービスDMaCSは、大規模災害時に被害情報や避難所、物資管理等の情報を共有し、迅速な災害を支援するサービスです。

災害時に、災害現場や避難所、事務局や災害対策本部を結び、被害情報等を収集・一元管理し、初動期の災害対策本部の意思決定を支援したり、被害報告を迅速に確認し、対応指示を連絡したり、関係部署と行動計画他現場画像を含めた被害情報を共有。

災害時の各避難所からの物資の要求と全体における必要状況や物資数量を把握し、配分情報も管理・通知ができるそうです。

デジタル庁がクラウドの活用を推進し、内閣府でも2025年にかけてクラウド型被災者支援システムに活用できる地方財政措置を公表しており、DMaCSがデジタル庁の防災DXカタログに掲載されたことも契機となり、新規導入が進んでいるそうです。

加えて、2023年にTIWAKIというエッジAI画像解析、つまりカメラや映像を通じて状況を解析する会社を買収することにより、、端末に搭載した AI の部分で判断した結果を本部へ通知する、といった技術を活用できるようになりました。

具体的には、 市販のカメラに AI を搭載し、カメラ内の AI でナンバープレートを判定したり、水かさが増えている量やその早さといった 度合などを判断することにつながります。

この技術を「ナンバープレート を読み取るタイプの駐車場管理システム=スマートパーキングシステム」、「セルフガソリンスタンドにおける人手不足 解消に向けた AI による自動給油許可監視システム」、「AI を活用した防犯関連のサービス」につなげていくそうです。

その結果、ここ何年間も、継続して売上、利益ともに伸びていること。

ドーン第34期報告書_WEB

そして中期経営計画でも2027年にTIWAKIを連結するなども含め、更に成長するといった計画を発表しています。

こちらに加え、自然言語処理となる「聞く」「話す」の技術を持つ会社を買収し、スマートフォンや様々 な機器の中で、人の代わりとなるような音声対話型の仕組みを実現することを狙っていくそうです。

従来、公共事業については、競札を前提としていたこと。

一方支払いリスクがないことから、様々な会社が入札に参加しており、ドーンのように高いシェアを誇る事例は少なかったかと思います。

一方、ドーンの報告によれば、最近は大手電機メーカーがより利益率の高い民間取引にシフトしたり、過去のシステムに囚われ、新しいサービス展開が出来ていない。

このような中で、事業を子会社に移行したり、撤退する動きが見え、ドーンのような政府向け防災専業メーカーへの引き合いが増えているそうです。

柳下さんの分析によれば、統合型GISサービスは、その構築をすべて受託されているので、一度受託を開始すると、顧客側が社内でその機能のノウハウをもつことはできず、他社に乗り換えられる可能性が低くなるので先取特権を持ちやすいこと。

そしてドーンが位置情報・空間情報の加工技術を用いて社会的弱者を支援するシステムや災害や犯罪の危険度を低減させるシステム開発に特化してきたことで、専門性の深堀に繋がり、ほかの企業が専門性に追いつけなくなる点が価値創造のビジネスモデルとなったこと。

特に公的機関システムといった特定市場において、技術的優位性を武器に低価格で品質の高いサービスを行うことで、高いシェアを獲得することにより、特許戦略も含め、非常に価値創造力の高い参入障壁になっているそうです。

売上高はまだ20億円以下、時価総額も100億円以下と小さな会社ではありますが、30年超、政府関連の仕事を継続してシェアも高く受注できている企業として、競争力が高い面白い企業だと思いました。

良かったら、皆さんも投資も検討ください。